空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

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短編集📻恋にならない恋

「コンビニにて。」

主人公  / 男子高校生

ヒロイン / コンビニ店員

 

ストーリー

いつも通うコンビニ、小学生の時には、無かったけれど、いつの間にか出来ていたコンビニ。

 

そこには、一人っ子の僕には、とーてー、釣り合わない、素敵なお姉さんがいた。

(自動ドア側、出入口が見える棚を整理する店員)

 

コンビニ店員「あ、来た。(笑)」

 

高校生「(^_^;) いっ、いらっしゃいませでしょ?そこは。(笑)」

 

コンビニ店員「相変わらず若いのに、小姑ねっ❤️(笑)、で、今日は何?、万引きっ?(笑)」

 

(コンビニの前ポケットから、スマホを取り出し、通報する素振りをする店員。その時一緒に何かが落ちた。)

 

高校生「すーるーかっ!(笑)」

 

僕は、年下にもかかわらず、いつも、フランクに接してくれた彼女に、・・・・恋してた。

 

高校生「あ、あの・・・」

 

コンビニ店員「ん、なに?、もうじき休憩さんと、交代しないと行けないから、手短にねぇっ🎵」

(鞄からラブレターを取り出し、渡そうとして、その足元の写真を拾い上げた。)

 

高校生「えっ・・・・」

 

コンビニ店員「あ、ごめん。見せびらかすつもりがなかったんだけど・・・やっとこさ両想いになって、結婚するのっ❤️。(笑)」

 

彼女の溢れ出すキラキラ感に、

僕は何事もなかったふりをして・・・・

 

高校生「あ、なんだ。早くいってくださいよぉ~、お姉さん、トリッキーすぎっ!(笑)」

 

ラブレターを握りしめ、スマホが、バイブレーションで、鳴ったふりをして、コンビニを後にした。

 

コンビニ店員「なんだ、変な子?(笑)」

 

僕は、公園のゴミ箱に、ラブレターを投げ捨て、その日から、そのコンビニを避けるように学校に通った。

 

数日後、母から聞いた話で、彼女は、コンビニで、一緒に働いた彼と結婚して、遠くの街に引っ越して行ったそうだ。

 

(終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

(1話完結)こんな私でよかったら ~女子高生×教師編

image song

ロンモンロウ「balloon me」from大塚家具

 

(本編・主人公の回想)

西暦20××年 6月、俺は、三十代で、ようやく結婚できる・・・・・

 

それも偶然であった、ファミレスの娘が、

見合い先の、財閥の家族だなんて・・・

 

(海辺の高台にあるチャペル。そこまで走ってかけ上がる女子高生が1人。)

 

神父(image温水洋一)「それでは、誓いのキッスを。」

 

(時おり咽びながら、休むまもなく、教会の扉を激しく叩く女子高生。)

 

女子高生(image紺野彩夏)「あーけーろーよーっ!」

 

(主人公は、花嫁のベールを上げる時に、聴き馴染みのある声に、戸惑う。)

 

杉田一平(image武田航平)

「う、うそだろ・・」

花嫁(image松井玲奈)

「え、だれ?・・・ぺーちゃん、他に誰かいるの?」

 

杉田一平「ば、バカ言うなよ。」

(扉の外で叫ぶ女子高生。)

 

南 華林(image紺野彩夏)

「先生!約束やぶんのかよ!」

 

花嫁「約束?!」

 

杉田「いーや、いやいやいや・・・」

 

花嫁「どうゆうこと?」

 

(教会の扉が開く)

 

華林「一平!」

 

杉田一平「か、華林・・・」

 

(フラッシュバックした瞬間、時は、三年前に戻る。ある日の夕暮れ、教室内で、告白する、南 華林)

 

華林「先生と、結婚したい。」

(男としての本能も疼いたが、グッとこらえ、自分の経済的立場を話す、杉田一平。)

 

一平「・・・・ごめん、今俺、インターンで先公やってっから、ガチで華林を幸せには、出来ない。」

 

(過去のトラウマが、引き金になったのか、一平の一言で、蓋をしていた筈の闇、即ち、心の底では、誰も信じられなくなっていた華林が顕れた。)

 

華林「あ、そう?・・・そーやってあんたも逃げるんだ・・・どーせ私は、交通遺児だから、ただ、かわいそーだなんて、近づいたんでしょっ!」

 

一平「華林、それはちげーぞ。」

(いきなり、制服をボタンを、自分を急かすように外す華林。)

 

華林「男なんて、皆同じ・・・」

一平「やめろ。・・・意味がない。」

華林「嘘だ。ヤりたいならヤりたいって、言えばいいじゃん!」

 

(下着姿で、一平に抱きつく華林だが・・・突然開く、教室の引き戸に凍りつく二人。)

 

校長(image柄本明)「杉田先生!何してるんですか!!」

 

(現実に戻る杉田一平。)

俺は、気がつくと、華林に手を引かれ、チャペルを後にしていた。

 

(教会下の、砂浜にたどり着く、一平と華林。)

 

南 華林「・・・」

 

杉田一平「どーすんだ?華林。三年前の件、校長に土下座して、見合い結婚と引き換えに、教壇に立てるようになったのに。」

 

南 華林「私を責めるのは勝手だけど、一平。地位や名誉って、そんなに大事?」

 

一平「・・・・・」

 

(一平の想い)

俺は、教育者の両親の元に生れた、一人っ子だ。

俺が生まれた頃は、

両親は仲が良かったらしいが、

俺が小学校に上がり出す前から、

夫婦なかは、

段々険悪に成っていった。

 

まー、今時の、見たくも聴きたくもない、

バットニュースみたいに、

家庭内殺人が無いだけマシだった。・・・・

 

一平「俺は、中学しか出てねーから、はくが欲しいんだ。」

 

華林「で?、いーとこの女と、できちゃった結婚して、え?、どっかの家に資産を掻っ払うために、入るんでしょ?名字や、出生まで変えて!」

 

(感極まって、右手を振り上げる一平。)

 

一平「いい加減にしろ!」

俺は、華林に、何処まで話せばいいんだろう。

 

華林「殴るの、いーよ、殴りなよ!・・・どーせ、生きてても、私なんか意味ないんだ、死んじゃえば良かった!」

 

(わんわん泣き出す華林。困惑する一平。)

 

一平「バカなこと言うなって!、亡くなった人のぶんまで、前向きに生きないで、どうすんだ?」

 

(一平の足元にすがり付き、激しく泣きじゃくる華林。)

 

華林「前向きに生きるって何?、

家族みんなしんぢゃったんだよ!!、

 

私の心のなかは空っぽなのっ!

未来を見守ってくれる人が、

居ないんだよ!・・・

 

先生約束したじゃん!、(結婚は無理でも、)私が卒業するまで見守るって!」

 

一平「それはだな?」

(花嫁の父と、仲人の校長が、一平たちに近付いてきた。)

 

花嫁の父(image奥田瑛二)

「これは一体何だね?、えぇっ!?・・・

私の娘に対する侮辱か?!おいっ!」

 

校長「すっ、杉田くん、君って奴は、まだ、そんなカネクイムシに、チョッカイ出してるのかね!」

 

華林「金食い虫ってなんだよっ!」

 

(校長のネクタイを鷲掴み、グイグイ前後に振る華林)

 

校長「フン、たかが身内が亡くなったぐらいで、・・・

どっかのアジア人見たいに、

税金で、三食食べて、

光熱費を払って貰って、

今度は男アサリかっ!・・・

 

杉田君はなぁ、

後々町長になってもらわなぁ、いかん人だ。・・・公民党の議員として。」

 

華林「はぁっ?、それって、政略結婚じゃん!・・・良いの?一平!」

 

一平「たかが、身内・・・・」

(聞き取った言葉の断片から、一平は、中学校から帰ってきた目の前に、首を吊った父、家のなかを夢中で、母親を探すが、最後に見つけた浴室で、手首を斬り、失血死している母の姿を思い出してしまう。)

 

校長「な、何をするんだっ、アバズレの野良猫風情が!」

 

(背広から、スマホを取り出し、高く頭上にかざす校長。)

 

校長「3年A組、南 華林!・・・警察に通報されたくなければ、名誉退学処分を受けよ!」

 

華林「名誉退学?!」

校長「そーだ、名誉退学だ。毎年、県内ベストテンには、入りずらかった我が校だが、南華林。君の編入により、たった3年間で、偏差値があがり、今じゃ御三家になった。その礼をしてやるっていってんだ?、大人の優しさに、君は深々と、感謝すべきではないのかな?(笑)」

 

華林「確かに、大人のお陰で、高校まで行けたけど、冗談じゃない。杉田先生が支えてくれたから、頑張れたんだ。一人ぼっちの私に力を貸してくれたから、今日までこれたんだ。」

 

(あきれてその場を立ち去ろうとする、花嫁の父。)

花嫁の父「やってられん。、期待をもって結婚を望む、うちの娘が可哀想だ。校長。学費支援、来年度で、打ち切らせてもらう。いいな。」

 

校長「ちょ、ちょっと待ってください。」

(花嫁の父を追う校長の隙をつき、一平は、右ストレートを、校長に浴びせてしまう。)

 

華林「い、一平?!」

一平「たかが、身内だと?」

校長「くっ、クビだ!杉田君、今すぐ出てけ!」

 

(仰向けに倒れた校長の上で、マウントを取り、胸ぐらを締め上げる一平。)

 

一平「ふざけんなよ!、親が先に、突然亡くなった子供が、どんな想いをして、生きてきたか、わかってんのか!」

 

(再び殴ろうとした一平を、背後から、抱き締めて、必死に食い止める華林。)

 

華林「わかった!。わかったからっ!、もうやめて!、一平の人生まで、おかしくなるから、ねぇっ!」

 

(我に返り、立ちあがり、校長に一礼してその場を立ち去る一平。後を追う華林。)

 

数年後、

俺らは結婚して、子供が一人生まれ、狭いながらも、アパート暮らしをしている。

 

(夜中に泣き出しそうな、赤ちゃんの声を聞き、赤ちゃんを抱き上げ、そっと玄関へ向かう一平。)

 

華林「大丈夫?徹夜明けだったんでしょ?」

一平「いいから、寝てな。(  ̄▽ ̄)」

 

今夜も、海辺に映る月が、綺麗だ。

(おわり。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

18 クリスマス企画小説(後)

Another songs(後編)

サンタクロースのトラックは、小雪舞う軽井沢駅のロータリーに着いた。

 

Another MEL(image芦田愛菜)

「ありがと、おじさんっ❤️」

 

サンタクロース(image小日向文世)

「メルちゃん、ボクはいま、サンタだから、サンタさんって、言ってね?(笑)」

 

メル「ごめんなさい。」

 

小井戸勇気(image小関裕太)

「さ、寒いっ!・・・は、早く暖を取りたいっ!」

 

トナカイ・オオタケ(image大竹一樹)

「うっせーな、ワケぇくせに。」

 

トナカイ・ミムラ(image三村マサカズ)

「まままま、オオタケさん、人間に噛み付いてもしょうがねーし。(笑)」

 

小井戸「あなたたちも、見た目は、人間に見えますけど?」

 

ミムラ「ほんと、こまけーな、コイツ。死んで当然かもな(笑)?」

 

オオタケ「でも、こっちが迷惑だわ!」

 

バインダーに着けていたリストを、見終わったサンタが、メルたちに声をかける。

 

サンタクロース

「いいかい。本来、時間は帰らないもの。

挫折にまみれ、一瞬を燃えるように、

生きる人も居れば、

 

変化を求めず、

たんたんと、日々を重ね、

一生を終える人もいる。

 

私は、何かを強いる事はしないが、

自分の判断(意思)で、

後悔しない、一生を送って欲しい。

ただ、それだけさ。」

 

ミムラ

「でちゃったよ、お言葉。」

 

オオタケ

「俺らには、そんなこと言ってくんねーし。」

 

再びエンジンキーを回すサンタクロース。

 

サンタクロース

「君らは、私の私財だから、特に言うことはない。(笑)」

 

ミムラ「私物かよっ!」

小井戸に、防寒着を渡すオオタケ。

オオタケ「あー、だりぃ~」

 

サンタクロースのトラックは、静かにその場を立ち去った。

 

小井戸「・・・・」

メル「どしたー?」

小井戸「いや、なんでも・・・・」

 

小井戸の手を握り、何処かへ行こうとするメル。

小井戸「どっ、どこ行くんだよ?」

メル「別荘。」

小井戸「お、俺、ロリコンじゃ、ないし。(・・;)(;^_^A」

メル「となりの国の風習じゃあるまいし、バカじゃん!(笑)・・・これから行くのは、あんたんちの別荘!」

 

ズンズン手を繋ぎながら、茂みを進むメル。

空から、粉雪が散り始めた。

小井戸「な、なんで、俺んちの別荘ナンだよ。(もう、人のものだろうけど・・・)」

メル「さぁ、着いたら、ちゃんと、相田よし子にコクりなさい!わかった?(さもなければ・・・・)」

 

うっそうな森林の中に、ひっそりと、たたずむ別荘は、高級感ある、二階建てログハウスだ。

小井戸「結構、車が停まってんなぁ。」

メル「クリスマスパーティーみたい。」

小井戸「高給取りで、いいご身分ですなぁ~」

 

背の高い、小井戸の突飛な大声に、飛び掛かるように、鼻と口を塞ぐメル

メル「うっさいっ!」

小井戸「(( ̄  ̄;)(い、息ができね。)」

 

別荘から、数人の女性が出てきた。

女子アナ③「ほんま、これでよし子が幸せになってくれたら、うちは、言うこと無しや(笑)」

首を傾げる、女子アナ仲間たち

 

女子アナ②「これって、不倫でしょ?」

女子アナ③「何ゅうてん?先輩、奥さんと別れるってゆうてたやん?」

 

女子アナ①「うちら、それ、初ネタですけど。」

 

女子アナ②「え?、うそ、よし子の憧れの先輩と、つき・・・」

 

全力で体で否定する女子アナ

女子アナ③「うそやんっ!うそ、うそぉっ!うちが、不倫なんかするわけないやん!バカクサ(笑;)」

 

買い出しでも行くのか、女子アナたちを乗せた、一台のワゴン車が、別荘を離れて行った。

 

小井戸「大したことないなぁ、まるで、所詮酒畜乱輪(犬猫)じゃね~か?・・・で、よし子さんは・・・・」

 

先輩アナウンサーが、酔いにまかせて、よし子に迫っている。

先輩アナウンサー「良いじゃないか?、相田君。」

スーツの上着を脱ぎ捨てながら、長テーブルの周りを逃げ惑うよし子を、ジリジリと、追い詰めてる。

 

小井戸「あーあ、こりゃ、スッポリだな?(笑)」

メル「さっさと、コクりなさいよ!小井戸勇気!」

小井戸の右足を、ギュッと踏むメルだったが、何故か痛みを感じないらしい。

メル「?!」

 

相田よし子

「あ、あの、ちょっと、困りますっ!」

 

先輩アナウンサー

「君、ほんとは、僕が目かけなければ、採用されなかったんだよ。」

 

よし子に、疑念がはいり、その場で動きが止まる。

    男は、ベリーロールのように、テーブルの上を滑り、よし子の両手を、手錠が掛かったような掴みかたをした。

 

先輩アナウンサー「俺の女になれよ。俺が潰されない限り、出世ができるぞ。」

よし子の瞳から、悔し涙が流れる。

よし子「・・・・」

 

男は、よし子の唇を奪ってしまった。

 

小井戸「あー、やっちまったなぁ~(笑)」

降り積もる雪の上で、時短打を踏むメル。

 

メル「ふざけんなっ!ばかちん!」

メルの両手の平が、柔らかくひかりのかけらとなり、空に昇ってゆく。

それはまるで、逆さ雪のように。

 

メル「う、うそだ・・・」

小井戸の両足も、静かに爪先から、消滅しだした。

小井戸「終った・・・。これでいい。これで。」

別荘の雨樋に、背を向け、天を仰ぐ小井戸。

メル「ちょっとまってぇ!」

その小井戸に走りよる、メル。

そして、その背後に、クラッシックカーが近づき、軽くクラクションを鳴らす。f:id:toorimagari20120708:20181227230355j:image

トナカイ・オオタケ「おー、小娘ぇ~(笑)」

トナカイ・ミムラ「あれ、手のひら、どうした?」

 

あっ!、て、気が付き、背後に手を回すメル。

 

すべてを知っていたのか、サンタクロースが私語く。

 

サンタクロース「さて、時間の旅に行きましょうか?(笑)」

ミムラとオオタケは、真っ白な、ずたぶくろを消滅仕掛けている、小井戸に被せ、押さえ付けている。

 

オオタケ「早くいっちめ~よ、間に合わねぇぞ、このままだと。」

 

ミムラ「おまえが帰ってくるまで、こいつ、抑えとっから!」

 

メル「わかった!」

 

サンタクロースが運転する、クラッシックカーは、別荘から離れ、山を離れた。

 

メル「おじさん、どこ行くの?」

サンタクロース「彼の、死の直前に行くよ。」

 

一年前の首都高。

軽井沢に向かう、小井戸の車が、煽り運転に巻き込まれ、その後の追突事故から、炎に包まれている。

 

煽り運転の加害者

「おっ・・・おめぇが、わりいんだからなっ!」

 

腰を抜かしながらも、向かいに来た車に飛び乗る男。

ワッと、炎が、クリスマスイブの夜空に立ち上る。

 

小井戸 勇気

「あっちぃ・・・腹から、血がドバドバ出てる・・・

 

焼き魚の焼かれる気持ちって、・・・・こんな感じかなぁ(笑)・・・」

 

遠くで、小井戸を呼ぶ声がする。

 

小井戸「だ、だれっ・・・」

メル「いっ、いま、助け出すからっ!」

 

車の後方に積んだ、もみの木に火が移る。

 

小井戸「む、無理だ。腹は・・・・血が出て、ひっ・・・左足は、挟まってる。」

 

煙に咳き込みながら、運転席のドアを引っ張ったり、後方席のドアを引っ張ったりして、小井戸を励ますメル。

 

メル「大丈夫!、私が、何とかするからっ!」

 

段々、意識が遠退く小井戸。

小井戸「もう、いい。・・・・ほっといてくれ。」

 

体が再び消滅を始めるメル

メル「だ、だめっ!・・・・。まだ消えないで....貴方が、・・・いま、あなたが死ねば、・・・・私は、生まれないのっ!・・・・・だから、・・・だからっ。生きろぉーっ!、パパぁ~っ!(泣)」

 

メルの襟首を掴んで、燃え盛る車から、引き離す、大柄の男。

 

角がない青鬼(imageくっきーfrom野性爆弾)

「おまえ、さがれ。」

メル「え。・・・・」

 

青鬼「この山、おれの庭。」

 

運転席のドアを、引き剥がす青鬼。

 

青鬼「おまえ、死ぬに至らず。」

 

力ずくで、燃え盛る車から、血まみれの、小井戸をひきずり出す青鬼。

 

意識を取り戻しかけた、小井戸の視線は、青鬼の足元で、フェードアウトするように途切れた。

 

そこから、半年を過ぎた、今年のクリスマス。軽井沢の別荘に華やかな、飾りと、色とりどりな、食事が並んでいる。

 

小井戸(相田)よし子

「また、ここで、クリスマスを家族と過ごせる何てねぇ~(笑)」

 

小井戸 勇気

「俺もまさか、親父から、別荘を譲ってくれるとは、思わなかったさぁ。」

 

写真立てを、丁寧に磨く少女。

 

小井戸

「おい、恵留。あんまり力入れると、割れちまうぞ(笑)」

 

恵留「じーちゃんは、私の恩人だから?」

 

小井戸「は?」

写真立てを見詰めると、サンタクロースと、あの冷徹だった、父(小日向文世二役)と重なって見えた。

 

小井戸「まさか、・・・・」

 

背広姿の父が、小井戸に頬笑む。

 

(終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

18 クリスマス企画小説。

Another Songs (前編)

この作品はフィクションです。

キャラクターイメージとして、実際の人物名を上げますが、作品とは、一切無関係です。

 

イメージテーマソング

「クリスマスがやってくる」

                                        スキマスイッチ

 

#一年前の、サヨナラ。

(東京の、テレビ局内の社員食堂。食堂内のハイビジョンテレビには、悲惨なニュースが、だだ流れている。)



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女子アナ仲間①

「ねー?、よし子。(笑)」

(よし子と呼ばれている女性は、テレビ画面を観ながら、箸が止まっていることにきずかない。)

 

相田よし子(image福田典子fromテレビ東京)

「・・・・・」

(テレビ画面には、未だに、煽り運転による、多重事故が収まらないことを、嘆いている。)

 

女子アナ仲間②

「おーい、よし子ぉ~?(笑)」

 

(よし子の左ほほに、一筋の涙が、落ちて行く。)

 

女子アナ仲間①

「あ、ダメだこりゃ。」

女子アナ仲間②

「無理ないってぇ、ドメステ(DV)の彼から、逃げて、やっとこ新しい恋に、目覚めて来た矢先でしょぉ?」

 

(ヒステリックに会話を止める友人)

 

女子アナ仲間③

「しっ!、誰が聞いてるか、解んないから

、もうやめよう。」

(ボソッと呟く、よし子。)

 

相田よし子

「私が、彼に・・・我が儘を言わなかったら、こんなことに・・・・」

女子アナ仲間②

「よし子ぉ~、あの話は、一年前の事故とは、関係ないってぇ~。」

女子アナ仲間①

「不可抗力。不可抗力。(笑)」

女子アナ仲間③

「ば、バカちん!意味違うやん!」

 

(よし子の回想)

福岡から、引っ越すために、都内を回る相田よし子。


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漸く半日かけて、都内を周り、

南青山の、南向きで、建物の前の坂道が特徴的な賃貸マンションに着いた。

 

不動産屋(鈴木拓fromドランクドラゴン)

「えー、お探し候補のぉ、南青山ですがぁ・・・」

 

不動産屋は、よし子に語り掛けながら、テンキーと、シリンダーキーを、ガチャガチャと、なにやら手こずりながら、ようやく、部屋の解錠をすると。

 

少々カビ臭いが、カーテンの無い、白を基調した壁の、フローリングのリビングが、目の前に広がった。

 

相田よし子「あの、御家賃は・・・・」

 

なにやら、キョロキョロしながら話を続ける不動産屋。

 

不動産屋「敷金礼金を含めないで、まぁ~、この辺だと、十五万が、妥当な相場ですか・・・ね?」

 

ノートパソコンを開き、画面を眼鏡越しで、細目で見ている不動産屋。

 

よし子「(何?何なの?、この・・・なんか、勿体ぶった、この言い回し。)あ、あの・・・・」

部屋の見分を終えて、部屋を出ると、

よし子の体を、なめ回すように見る、不動産屋。

 

不動産屋「い、いや、家賃の・・・・ふみ、」

 

不動産屋は、よし子の背後、つまり、隣の部屋に、誰か帰ってきたのが、わかった。

 

小井戸勇気(image小関裕太)

「あーっ、不動産屋さんっ!(笑)」

 

満面な笑みを浮かべる青年に、罰が悪そうな表情になる不動産屋

 

不動産屋「あ、はい。」

小井戸「こないだの件は、どうなりました?」

 

不動産屋「こないだの、件?」

明らかに、意地悪そうな笑顔の小井戸勇気。

 

小井戸「いやだなー、入居当時、ドレンパンが割れてて、無償交換を・・・・」

 

不動産屋「そ、それは、契約を交わし・・・」

不動産屋が言い切る前に、突然、三文役者並みの、わざとらしい驚き声をあげる小井戸。

 

小井戸「えーっ!、うっ!、うそでしょっ?、普通は、前居者が退去したら、チェックや、補修は、じょーしきですよねぇ?、ふてぎわ、すぎません?(笑)」

 

相田よし子「・・・・(お、おとなしい顔して、意外と大胆な人。てゆうか、意地悪そぉ~。)」

よし子の顔をフッとみて、小井戸の問いかけを答える不動産屋。

 

不動産屋「で、では、明後日の午後・・・」

小井戸「ダメです。(笑)」

よし子「えっ(間髪なしっ)⁉️」

不動産「(軽い咳払い)で、では、明日にでも。」

小井戸「あのさぁ、こっちのお姉さんを、乗ってきた車に、なんか、載っけてたよね?」

 

不動産屋「(舌打ち)・・・・・せ、洗濯機を退かしたりとか、ひ、一人で施工はしずらいんで、・・・・」

小井戸「あ、そのてんなら、大丈夫。(笑)」

不動産屋「はい?」

小井戸「学生時代、電気屋の手伝いでやってますから、手間が掛かるし、要領は、知ってます。(笑)」

 

不動産屋、「(小井戸勇気に向かって)あのっ、じゃあ、(やるなら)どーします?」

 

小井戸「やだなー(笑)、不動産屋さん、一人で切り盛りできないんだからぁ・・・」

 

不動産屋「ま、まさか、ドレンパン代・・・」

 

小井戸「いや、手伝いますからぁっ、その代わり、半額で済ませましょうよ。僕、給料日は、来月の15日だから。(笑)」

 

不動産屋「じゃ、じゃぁ、結局、払えねーんじゃないか!」

 

不動産屋を、のらりくらりと、言いくるめて、追い返してから数分後、小井戸の部屋に上がっている、よし子。

 

よし子「あのっ、不動産屋さんとは、中が悪いんですか?(・・;)」

 

小さい食器棚から、二人分のコーヒーカップと、粉コーヒーを取り出す小井戸。

 

小井戸「べっつにぃ~(笑)。あの不動産屋、要領悪いから、からかい半分で、つい絡んだだけ。あ、お姉さん、インスタントコーヒー、大丈夫?」

 

よし子「あ、お構い無く。(あ、そのまんまワッサー・・・・って、マジ?)」

 

小井戸「あ、僕の名前は、コイトユウキ。(笑)」

思わず、飲み掛けた濃い目のコーヒーを、吹き出すよし子。

 

小井戸勇気「あ、引っ掛かった!(笑)」

 

相田よし子「驚いたぁ。レディースコミックの作者(ペンネーム)みたいな、名前だから。」

小井戸勇気「よく言われんだよね~、コイトさーん。コイトユウキさーんってね?。そんとき、こう、つい、真顔で・・・」

 

よし子「ま、真顔で?」

小井戸「こいどって、読みます。って、みたいな(笑)」

ケラケラ何がおかしいやら、よし子の前で笑い転げる小井戸。

 

よし子「(なんだろ、このひとの、この単細胞感。)」

(よし子が回想のなか、向かいのビルから、よし子を見つめる人影。)


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セーラー服を着た、翼の無い天使(image芦田愛菜)「どうする?」

その場を、仰向けにねっころがって、 12月の雲の流れを見つめる小井戸

 

小井戸勇気「なにがぁ?(笑)」

 

翼の無い天使

「彼女、後悔しまくりじゃない?」

 

小井戸勇気「ん~、仕方ないんじゃないの?僕は、死にたくなかったけど。それより、クリスマスは、低気圧なんかが、気を使ってくれないかなぁ~(笑)」

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翼の無い天使

「後悔・・・・してんじゃんっ。」

天使が両手の指先で、小井戸が寝っ転がってる方へ、四角をつくると・・・・

(ノルウェーの某山間部)

 

小井戸「へ、へっくしょいっ!!・・・うわっさぶっ!!」

翼の無い天使「ドォ?、本場の寒さは?、人恋しくない?(笑)」

小井戸「寒いんですけどーっ。て言うか、何で君だけ、防寒着をぉ~(笑)」

翼の無い天使「あ、まだ寒さを感じるんだねっ❤️(笑)」

小井戸「鬼畜かっ?!」

翼の無い天使「天使でぇーすっ!(笑)」

 

二人のやり取りを見ていた、赤い防寒着を着た男が、声をかける。
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赤い防寒着の男(image小日向文世)「やぁ、ようこそ、サンタクロースの故郷、ノルウェーへ。(笑)」

小井戸「のっ、ノルウェー?」

 

翼の無い天使「ハイッ✋、サンタさん(笑)」

 

サンタクロース(image小日向文世)「ハイッ✋メルちゃん。なにようかな?まだ、クリスマスじゃないよ。(笑)」

 

Another MEL(image芦田愛菜)

「あのね、サンタさん。」

 

一方、相田よし子のいる世界も、クリスマスに向け、町並みが電飾で、色づき出した。

 

先輩アナウンサー(image要潤)

「あのっ、相田さん、今年のクリスマスは、時間ありますか?」

ピンク色のプラダのバックから、スヌーピーのスケジュールノートを取り出し、その場で確認を始めるよし子。

 

相田よし子

「そうですね?・・・あ、年末年始の収録は、数本残ってますけど、何れも、タレントさんとのスケジュール合わせに、時間がかかりそうです。」

 

先輩アナウンサー「はぁっ。良かった!(笑)」

よし子「はい?」

先輩アナウンサー「いや、なに、女子アナたちから、君が・・・・(言葉を軽く詰まらす)元気がないって言うものだから・・・」

 

給湯室から、通路側のよし子たちを見てる人影。

 

女子アナ①

「おほっ、これは(笑)・・・・」

女子アナ②

「なんで、既婚者の先輩を使うかなぁ~。!?」

女子アナ③

「なにゆーねんっ。うちに入社した時から、よし子が憧れとった先輩やないか、何を今さら?」

 

先輩アナウンサー「クリスマスは、軽井沢の別荘で、過ごさないか?」

よし子「・・・・」

 

女子アナ③

「あかん、NGワードや。」

 

(よし子の回想)

よし子が、小井戸勇気の隣の部屋に引っ越して、数日が過ぎたある日。

 

「キャーッ!」

 

小井戸「どしたどしたっ!」

よし子の部屋が未施錠だったことで、状況を瞬時に把握した小井戸。

リビングキッチンで、折れた蛇口から噴き出す水に、バケツを向けるよし子。

 

相田よし子「おっ、お昼の準備しようとしたら、み、水がっ、水があっ!」

 

小井戸「チョイ待ち!」

首巣を返し、再び戻ってきた小井戸の手には、工具入れと、ごみ袋が・・・

よし子「えっ、な、何でごみ袋なの!?」

よし子に工具入れを渡し、折れた蛇口に、ビニール袋の口先を向け、噴き出す水を溜め込み出した。

 

小井戸「な、流しの下、バルブがあるから・・・・閉めて!」

よし子「え?」

小井戸「早く!」

 

よし子が、流しの下の給水バルブを閉めて、漸く水漏れが収まった。

小井戸は、ビニール袋の水をユニットバスの浴槽に流し込んだ。

小井戸勇気「へっくしょいっ!」

すかさずバスの電源を入れるよし子。

よし子「すみません、おとなりさんに、ここまでしてもらって・・・っていうか、あなた、仕事は?」

小井戸「へっくしょいっ!・・・・自宅警備員(笑)」

床や、濡れた家財を拭くよし子。

 

よし子「(・・・・)嘘、ですよね?」

小井戸は、流しに戻り、モンキーレンチで取り外した蛇口あとを、軽くまし締めしている。

 

小井戸勇気「ほんとは、アルバイター兼、絵本作家志望さ。(笑)」

よし子「絵本、作家?」

切っていた野菜を鍋に入れ、ガス焜炉に火を点すよし子。

よし子に代わり、床や濡れた家財を拭く小井戸。

小井戸「そう。小学生のとき読んだ、グリとグラに憧れて、自分でも書いてみたいなーって、」

小井戸が、服を脱ぎ出したため、視線を鍋から目を話さず、話を続けるよし子。

 

よし子「じゃあ、美大か何処かに通ってるの?」

よし子は、小井戸がパンツを下げる寸前、脱衣場のカーテンを閉めた。

 

小井戸「ううん、我流(笑)」

ユニットバスから、湯が沸き上がったというガイダンスが流れ、バスタオルを腰に巻き、浴槽の温度を確かめる小井戸。

 

よし子「あの、食事は、水炊きでいいですか?」

小井戸「はいよ。・・・・でさ、」

よし子「はい。」

小井戸「一緒に入る?(笑)」

よし子「か、からかわないでっ。その間、着替えますから。」

 

それから二人は、こたつ越しの向い合わせで、食事を始めた。

小井戸「クリスマス、どうしてんの?・・・仕事?、それとも彼氏と、スッポリ(笑)」

 

よし子「か、(イケメン顔の割には、下ネタ好きね?)仕事です。アナウンサーですから、年末年始は、かきいれ時なんで。」

 

小井戸「ふーん(笑)・・・・良かったら、軽井沢の別荘行かない?」

 

よし子「別荘?」

 

小井戸「親父の持ち物なんだけど、親父は、その時期、日本に居ないんだ。」

よし子が瞬きをすると、回想がスキップして、よし子の脳裏に、首都高の煽り事故現場が、まるで自分で目撃したかのように映る。

(回想が覚めたよし子)

相田よし子「少し、考えさせて下さい。」

 

一方、フィンランドにいる、小井戸とメルは・・・・。

 

小井戸「マジかよっ!」

メル「マジだって!」

 

夕礼を終えた、サンタクロース達は、担当する各国に分かれ、プレゼントをソリに詰め込み出した。

 

小井戸「だって、人間は、死んだら焼いちゃうから、おしまいだって。(てゆうか、何でここで搬出の手伝いしてんだ?)」

メル「わっかんないかなぁ~、時に物事には、特例があるのっ。(ここで、妥協されたら、たまったもんじゃないっ!)」

 

茶色いスーツを着て、頭には、トナカイの被り物をしてる二人組の男がいる。

 

トナカイ・ミムラ(image三村マサカズ)

「おいっ!くっちゃべりながら、仕事すんなっ!」

トナカイ・オオタケ(image大竹一樹)

「早く仕事済まして、かえろーや。だリーから。」

 

トラック🚚の後部扉を開く、サンタクロース。

 

サンタクロース(image小日向文世)「おーい、終ったかーい?」

プレゼントをのせたソリを、四人がかりで、トラック後部に押し込んだ。

 

サンタクロース「じゃ、行こうか?」

小井戸「は?、ソリじゃないの?」

オオタケ「めんどくせー奴だな!」

ミムラ「早く乗れよ、間に合わねーだろ?!」

 

助手席に座ろうとする小井戸を、引きずり下ろすトナカイ達。

オオタケ「おめぇは、バカか?」

ミムラ「立場わきまえなっ!」

 

メルに促され、荷台に乗ると、トラックが夜空を走り出した。

 

小井戸勇気「いったい、何が何やら・・・」

メル「でも、あの日、煽り運転に巻き込まれて、命を落としたって事は、覚えてるでしょ?」

小井戸「まぁ、ね?・・・」

 

メル「それでね、天上界の審査会や、地獄界の死後裁判でね、貴方の生前罪状の正否の他、今回は特別温情で、故人の意思決定をするまで、執行猶予が付いたの。」

 

小井戸「ちょっと何いってんだか解んないや(笑)。」

メル「ガチめんどいなー、も~っ!」

 

乱気流にのまれる、サンタのトラック。揺れる車内。

 

小井戸「んで、メルとサンタの関係は?」

メル「サンタクロース協会日本支部、東京支店の本部長・・・今、運転してるサンタクロースは、私の遠縁のおじさん。」

 

小井戸「は?」

運転席から、荷台の小窓を開けるトナカイミムラ

ミムラ「もうじきつくぞ、軽井沢。」

小井戸「は?何でっ?」

 

(後半へつづく。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(後編)日テレドラマ❎空想携帯小説家「恋のバカンス~it's a Heartful comedy?」

(後編)
(渋谷のライブハウスから、駆け付けた萌琉、玉緒、小野寺太一、そして、ボーイフレンドの孝。

そして、薄暗い病室に、酸素マスクをつけた、萌琉の母である、晶が、目の前に横たわっている。)

黛萌琉
「あ、あのっ・・・マッ(あ、違っ。)・・・母の具合は・・・」

(問われた担当医は、キョトンとした顔で、晶の姉である玉緒に視線を向けた。

玉緒は、必死に首を横に降り、言いたくなさげだ。

そして萌琉たちの向かい合わせには、勘九郎達が、晶の様子を伺っている。)

勘九郎
「・・・・」

(死しても何時もは、口数の多い勘九郎だったが・・・)

中村金次郎
「黛君。・・・・だいじょぶだ。・・・・晶は、(病に)負けんさ。(笑)」

(わかりやすく強がる勘九郎。)

勘九郎
「ハァッ(笑)。そんなん解ってまんがな、あの女が、そんな容易くくたばりまっかいなぁーっ(笑)」

(真顔で言葉をつまらせる、金次郎)

中村金次郎
「・・・・・」

勘九郎「・・・・すんまへん。」

(突然誰かが、勘九郎の背中を叩く、いや、どつく。)

勘九郎「なんや・・・いま、取り込み中や・・・」

(だんだん背中を叩く力が強くなる)

勘九郎「やかましなぁーっ‼誰やっ‼・・・って、ありゃりぁっ?↗️」

(両手を、仁王立ちのように腰に手を回してる晶 )

黛(旧姓・中村)晶
「しっ‼・・・それは、こっちがしりたいわょぉぉぉ‼・・・」

(なぜか、小声になる晶。)

勘九郎「晶おま、だいじょぶなんか?身体?」

晶「・・・数ヵ月前にね、お医者さんにいったら、子宮筋腫だって。」

勘九郎「悪性なんか?」

晶「さぁ?。来月検査入院することになってたんだけど、このザマ。(笑)・・・・

てゆうか、
なんで、勘九郎(あなた)がこんなとこ、彷徨いてんのよぉっ‼」

勘九郎
「知らんがな!

なぁ、おとうはんっ?(笑)・・・うぅわ、ありゃりゃぁ~」

(笑顔で、背後にいると思っていた金次郎に、愛想を振り撒きかけた勘九郎だが・・・)

閻魔大王(image大竹しのぶ
「黛勘九郎っ‼・・・」

勘九郎
「は?・・・あれっ?おとーはんっ?」

(閻魔の顔を見ないように、金次郎の姿を探す勘九郎。)

晶「ちょっと、勘九郎‼」

勘九郎の右耳を吊り上げる晶。)

晶「あーんたが、あんなつまんない死に方してから、一人で、大変だったんだからっ!」

(左耳を吊り上げる、もう一人。)

閻魔大王
「黛勘九郎。・・・もう、年貢の納め時だ❗」

勘九郎「いたたたたっ‼・・・俺は、スポック星人かっ?!・・・二人とも、ちょと待ってくれっ!。・・・

晶‼・・・晶は、このままでええんか?」

晶「なにがよっ?」

勘九郎「かっわいい、一人娘が、路頭に迷うんやどっ?」


(ライブハウスから駆け付けた、黛萌琉達だったが、数時間経ち、気が付けば孝と、二人っきりで、晶の様態を見守っていた。)

黛萌琉
「私のせいだ・・・」

孝「は?・・・なにいってんだよ?。」

萌琉
「おまけに、今日のライブだって、作詞が間に合わなかったし・・・」

孝「小野寺オーナーには、黛のおかげで、(退去を)待ってもらってる。」

萌琉「それは、オーナーが、勘九郎(親父)の旧友(ダチ)だっただけで・・・・」

(花びんに、華をいけて、病室に戻ってきた小野寺太一)

小野寺太一
「萌琉ちゃん、ゆうたかな?・・・それは、ちゃうで。」

(花瓶にいけた華を、そっと晶の枕元に置くと、

鞄のなかにしまっていた、
タブレットから、高校生時代の萌琉が、作詞部門で最優秀賞をとった記事を検索して、萌琉に見せる太一。)


萌琉「・・・」

小野寺「おっちゃんな、確かに、先輩後輩の仲やったけど、萌琉ちゃんがうまれとったこと、ぜんっぜん知らんかった。」

(突然ボケる萌琉)

萌琉「て、事は、私っ・・・誰かの隠し子っ?」

孝&小野寺太一
「て、なんでよっ‼」

(困惑ぎみだが、ケラケラ笑う、太一)


小野寺太一
「ほんま、ゴリッゴリに、先輩の娘やなぁ~(笑)」

(何か安心したのか、堰を切ったように、うつ向きながら呟く萌琉)

萌琉「私、なにやっても、続かなかった。・・・

高校通っても、

マジ友は、
一人も出来なかったから、

バスケとか、

書道とか、

腕をあげて、
誰かに、認めてほしかった。・・・

空気みたいに生きてるのが、
息苦しくて、息苦しくて、堪らなかった。・・・

家に帰れば、将来のことを詰問されてばかりで、

何をどうしたらいいか、解んなくて・・・」

(瞳に涙を溜め、今にも泣き出しそうな芽琉に・・・)

孝「おいで。ハグしてやるよ。」

(いてもたまらない芽琉は、孝の胸に飛び込み、その胸で、声を殺すように泣く芽琉。)

孝「俺は、黛のそばにいっから・・・・
本命じゃなくても、いい。

お前の親父さんの、
真似事が、させてもらえればいい。

・・・ただ、それだけでいい。」

金次郎「いまどき、珍しい青年ですな・・・」

勘九郎「ほんまでんな。」

(深夜。病室の外で、ライブ用の作詞をする芽琉。)

(回想)
「世間知らずだった少年時代から」

晶にひっぱられ、桜の花びらが舞う、小雨混じりの、小学校の門をくぐる芽琉。

「自分だけを信じてきたけど」

高校時代、当時の親友に裏切られ、

どしゃ降りのなか、
交差点で泣きながら、立ちつくす芽琉。

「心ある人の、支えの中で、
何とか生きてる、現在の僕で」

就活しながらも、
作詞家の夢が捨てられず、

東奔西走を繰り返す芽琉。


「弱音さらしたり グチをこぼしたり

他人の傷みを 見て見ないふりをして」

将来を心配する晶に、
愚痴をこぼしたり、

晶が時折具合悪いのを知りながら、自室にこもる芽琉。

「幸せすぎて大切な事が
解りづらくなった 今だから」

漸く、大手商社の採用が決まり、ホームパーティーの中で、喜びを分かち合う芽琉。


「歌う言葉さえも見つからぬまま、

時間に追われ途方に暮れる」

そして今、晶が緊急入院して、動転する芽琉。

「愛すべき人よ 君も同じように
苦しみに似た 想いを抱いてるの」

就職先で、
使えないやつと苛められ、

女子トイレの中で、
ガラホの待ち受けの、
勘九郎の写真を見つめて、

無言の助けを求める芽琉。

「STAY

何を犠牲にしても 守るべきものがあるとして」

せっかくの就職先を辞め、
作詞家の道を、模索し始める芽琉。


「僕にとって今君が それにあたると思うんだよ」

渋谷のライブハウスで働く、孝と出逢う芽琉。


「夢追い人は、旅路の果てで、
一体何を、手にするんだろう」

ウエディングドレスで、

砂浜を歩いてるなか、

熊のぬいぐるみを、

両手で救い上げるが、

すべて芽琉の指先から、

すべてが、零れ落ちて行く・・・


「嘘や矛盾を両手に抱え

『それも人だよ』と悟れるの?」

真夜中に帰宅する、両手にコンビニの袋を抱えた、勘九郎を問い詰める晶。

襖からちょこっと顔をだし、二人の口喧嘩を見ている、幼少の萌琉。

「愛すべき人よ 君に会いたい

例えばこれが 恋とは違くても」

勘九郎の墓前で、手を合わせながら、何かの思いをぶつける萌琉。



「STAY

僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て

君は新しいドアを 開けて進めばいいんだよ」

渋谷のライブハウス。

萌琉の作詞の曲を、
丁寧に歌って行く孝。

その曲の間奏に、舞台袖から、エレキギターを奏でながら、壇上する萌琉。

(萌琉が演奏する、エレキギターをみて、絶句する勘九郎。)

勘九郎
「あれ、ワシの大事にしとった、デニムのずぼんやないかいっ!あんの、バカ娘!ズタズタに切り裂いて、ギターに貼り付けおってからに!」

(舞台に飛び出そうとする、勘九郎の肩を掴む晶。)

晶「あたしが、萌琉に言っとくから。」

(薄い光の粒達が、晶を飲み込んでいく)

勘九郎「まぁ、たの・・・・むわ。」

(勘九郎が、背後を振り向くと同時に、微笑みを残しながら、消えて行く晶。)


勘九郎「晶・・・・」



「STAY

何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして

それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして

自分を犠牲にしても いつでも

守るべきものは ただ一つ

君なんだよ

いつでも 君なんだよ 。」

(曲が終わり、ライブハウスは、大盛況で幕を閉じた。

翌朝、二日酔いで、ベッドのなかでモゾモゾしている萌琉。)

中村玉緒(晶の実姉)「でも良かったわね?、単なる貧血で。(あきれ顔)」

黛 晶(旧姓・中村)
「まー、よかったんだか、悪かったんだか(笑)」

(晶と玉緒が、朝食の支度をしている二階では・・)

勘九郎「ワシのお気にのデニムを、ギターに貼り付けよって!」

(勘九郎から、エレキギターを取り上げ、デニムの張り付き具合を見てる、中村金次郎)

金次郎「ほぅ、なかなか器用な仕上がりじゃないか?・・・」

勘九郎「そぅでっしゃろ?(笑)」

金次郎「さて、どっちに似たのやら(笑)」

(可愛く くしゃみする晶)

玉緒「あら、風邪?」

晶「ううん、なんか、・・・・勘九郎(あいつ)かな?」

(大きいくしゃみをする、勘九郎に驚き、ベッドから転げ落ちる萌琉。)

勘九郎「大丈夫か?萌琉?」

(頭に被ったシーツを取ると、目の前に、亡くなった、勘九郎の笑顔が)

萌琉「うそ・・・-」

勘九郎「ワシや(笑)。」


萌琉「出っ歯・・・・(笑)」


勘九郎「なんでや!(笑)」


(勘九郎には、上から聞きなれた声がする)


閻魔大王「黛勘九郎!」


勘九郎「はあい(笑)・・・、わ!」



(終わり)