空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家の作品を公開しています。

(前編)angel song(不定期更新読み切り小説)

12月24日 24 : 00

島崎遥香の夢の中)

蔵王か、湯沢のような雪景色が、目前に広がり、

凍てつく夜空には、赤い月。

さ迷いながら、何処かの屋敷前にたどり着く、島崎遥香

たどり着いた屋敷は、
ベル薔薇か、
キャンディキャンディに出てくる

少女マンガのような、古臭い洋館だ。

フードつき白装束の女(image谷 花音)
「後悔は、しないんですね?」

島崎遥香
「あ、はい。」

フードつき白装束の女
「次に赤い月が現れたら・・・・」

島崎遥香
「あのっ、それって・・・・?」

門柱に絡まる、薔薇の鎖を引く白装束の女。

島崎遥香
「あのっ、ちょっと!」

12月24日 09:30

ふと、夢から覚めると、
島崎遥香の左どなりに、
少々毛が長い
ラブラドールレトリバーが、目を覚ました。

島崎遥香
「いっ !・・・犬っ!・・・な、なんで?・・・てか、なんなのよぉっ!(汗)」

島崎遥香に、羽毛枕で数回頭を叩かれたラブラドールが口を開く。

ラブラドールレトリバー(image谷 花音)
「痛い痛い‼・・・暴力反対!児童虐待で通報するよっ!・・・てゆうか、こっちが聞きたいよぉ!」

ベットから転げ落ち、腰を抜かす島崎遥香

島崎遥香「うそぉっ!・・・犬が・・・しゃべっ・・・た。」

ラブラドールレトリバー「えーえー、喋りますけど、なにか?・・・あ、私の名前は、【マル】」

噴き出すの堪えて、惚ける島崎遥香

島崎遥香「え?(∩゚д゚)(笑)」

マル「あーっ、今聞こえないフリしたでしょっ?・・・タチ悪っ。」

島崎遥香「聴こえてましたけどなにか?(笑)・・・てゆうか、貴女は何者?」

マル「私は元天使。わけあって、ラブラドールレトリバーの身体を借りてまーす。」

島崎遥香「わけ?」

島崎遥香の顔に、マルは顔を寄せる。

マル「私と観たでしょ?・・・雪景色と赤い月。」

フンフンと、ラブラドールレトリバーの鼻息意外、聞こえない

暫く無音状態がつづくが・・・

島崎遥香「はいっ?(∩゚д゚)(笑) 」

マル「だーかーらぁ、私がぁ、貴女の願いを叶えたのっ!。#自由になりたかったんでしょ?」

島崎遥香「・・・・」

姿はラブラドールレトリバー故に、島崎遥香に甘える
もと天使、マル。

マル「今度わ、私の願いを叶えてほしいなぁ~(笑)」

島崎遥香「え?マジなんなの、突然‼」

外見の可愛らしさと、
何が原因で喋る犬が、
目の前に居るのか?
少々困惑気味の島崎。

マル
「明日のクリスマスが、終わるまでに、

貴女の大事なものをちょうだいっ?・・・

実は天使仲間で、
私だけノルマが足らなくて、罰としてラブラドールの体に閉じ込められちゃったの・・・・」

島崎遥香「え?・・・急すぎでしょ?・・・」

部屋のなかを物色し始める、ラブラドールのマル。

マル「次に赤い月が登って、イブの鐘が成るまでに、ぱるちゃんが、大事にして・・・あっ!」

島崎遥香「あのっ、人のへやウロチョロされるのめいわ・・・それ、止めてくんない?Σ(゜Д゜)」

マルがくわえてきたものは、写真縱だ。

マル「このお兄ちゃん、だーれ?(笑)」

口ごもる島崎。

マル「🙉きこえませーん。(笑)」

島崎遥香「私の・・・彼氏。」

マル「へぇ~、そうなんだぁ~(笑)」

島崎遥香「・・・・なにっ?」

マル「この人の命ちょーだいっ!(笑)」

島崎遥香「えっ😱💥!」

(前編終わり。)

image song

angel song ~イブの鐘~

the brilliant green

smile again後編(サウンドラブレター・シリーズ)

幸子:涼太からの貸しって、
私の初恋話だ。

誰かが、誰かを好きになる・・・・
それは、誰しも必ずあること・・・・

私の場合、
あのときだけ・・・

女の子が好きだった・・・。

(高校時代・幸子の回想)

幸子:あれは、いつかのバレンタインデーだった。

(体育倉庫の裏、可愛い包装とリボンで括られた、チョコレートと、少々のかすみそうを背後に持ちながら、誰かを待つ幸子。

そこに、走り寄る女生徒。)

幸子「ごめんね、突然呼び出して(笑)」

下級生:日奈子(image桜井日奈子)「何ですかぁ、改まったはなしって?(笑)」

(もじもじしながら、チョコレートと、かすみそうを渡す幸子。)

幸子「あ、はいっ!これっ!」

(日奈子は、一瞬喜んだが・・・)

日奈子「先輩・・・気持ちは嬉しいんですけど・・・」

幸子「え?(笑)」

(柔らか目な言葉を探す日奈子。)

日奈子「私たち、そんなかんけいじゃぁ・・・・無いですよ・・・ねっ?」

(人影の少ない体育倉庫の裏とあって、日奈子にグイグイ迫る幸子。)

幸子「そ、そんな関係って?・・・わたし、日奈ちゃんの事・・・」

(キスしようとする幸子を、完全拒絶した日奈子。)

日奈子「やめてっ!・・・先生と相談して❗」

(チョコレートと、かすみそうを落とす幸子。)

幸子「え?・・・ワケわかんないんですけど・・・」

日奈子「わたし、高校を辞めて、結婚するんです。・・・・」

幸子「そんな・・・」

(膝を落とし泣き出す幸子を置き去りに、立ち去る日奈子。

そして、サッカーの部活を終えた、涼太が日奈子と入れ違いで、幸子に声をかける。)

涼太「ねぇちゃん?・・・ねぇちゃん、大丈夫?」

幸子「私、・・・振られちゃった・・・。私、女の子を好きになっちゃ・・・可笑しいかな?」

(涼太は、一瞬引いたが、幸子の想いを理解した。)

涼太「ねぇちゃん、カラオケ行こう‼(笑)」

幸子「いまそんな気分じゃない・・・・」

(傷心の幸子を立ち上がらせ、ハグして慰める涼太。)

涼太
「ねぇちゃん、メソメソしたって、仕方ないじゃん‼(笑)・・・

こー言うときは、
ぱあっと、

こう・・・(北島三郎の力むマネ)

大声だして、スッキリしちゃおうよ‼(笑)」

幸子:いま考えると、涼太
はカラオケはヘタクソだったなぁ(笑)・・・・

そして、高校をでても働く気に成らなかった私に、涼太が・・・
夢を与えてくれた。

(ぷーたろう時代の幸子の回想)

幸子:そんな涼太の奴、
昔っから、お金もそんなに持ってないのに、
ボロアパートに引きこもって居た私に、
よく差し入れを持ってきたっけ・・・

(二人分の牛丼を置く涼太。)

幸子「なあに?・・・また買ってきたの?」

(山積みになった、就職誌をパラパラめくる涼太。)

涼太「ねぇちゃん、大学行かないんだったら、アルバイトしなよ(笑)・・・生活行きつまっちゃうよぉ。」

幸子「(両親から、愛想つかされ、仕送りが尽きて)もう、いきつまってますが、なにか?(笑)」

(涼太は、座る場所を作るために、雑誌などの山を移動させた。

その時に落ちた、一冊のノートを拾い上げる涼太。)

幸子「あ、ちょっ‼・・・・」

(ぺらぺらと、ページを捲る涼太。)

涼太「ねぇちゃん、これ・・・・」

(驚く涼太から、ノートを引っ剥がすように奪う幸子。)

幸子「ちょっとぉーっ!(怒)」

涼太「ねぇちゃん、凄い文才あるじゃん‼(笑)」

幸子「そんなことないよっ、暇潰しで書き貯めただけだからっ!」

涼太「本出そう‼、ねぇちゃんなら出来るよ‼(笑)」

(涼太が入院した時の回想

ストレッチャーに乗せられ、緊急処置室に運ばれる涼太。

後を追いかける幸子だったが、
看護師達に止められ、やむを得ず、待合室の長椅子に座る、幸子。)

(回想)
幸子:涼太は、ファミレスでの再会後、就職活動しながら、
幸子(わたし)の書き貯めた小説の、
直接出版に向けて走り回っていた。

そんな涼太の優しさに、気付けなかった私は・・・・

(アパートのドアを叩く涼太)

涼太「ねぇちゃん‼ねぇちゃん‼」

(虚ろな目で、ドアを開ける幸子。)

幸子「なあにぃ・・・・私なんか放っといて・・・」

涼太「(うぅわ、酒くせぇ~)ねぇちゃん、直接出版は、いろいろ(お金)が掛かるから・・・・」

(涼太は、酒びたりの幸子にドン引きながらも、新人小説家デビューコンテストのチラシを、幸子に広げるように見せた。)

幸子「あたし(の才能)なんか、どーせ・・・・へへっ(笑)」

(涼太は、
経たり混む、幸子の胸ぐらを掴み引っ張り上げて、

一瞬ためらったが、
右手で幸子の左ほほを叩いた。)

幸子「痛いっ‼」

涼太「どうしようもない奴だね・・・ねぇちゃんは‼」

(涼太の、いままで見たことのない、真剣な眼差しに、泣き出しそうになる幸子。)

涼太「なんで、自分を押さえ込むんだよ‼ねぇちゃん‼・・・ぼくは、そこまで頼りないかよ‼」

幸子「涼太・・・ちがう・・・ちがうの・・・」

(嗚咽を押さえながら、泣き出す幸子をハグする涼太。)

涼太「ねぇちゃん・・・僕が望むのは、幸子ねぇちゃんの幸せなんだ。」

幸子「でも、涼太は・・・一人ぼっち・・・」

涼太「ぼくは、一人じゃないって(笑)・・・ねぇちゃんともう一回、巡り会えたんだか・・・らっ」

突然、腹部を押さえながら、前のめりに倒れて、苦しむ涼太。

幸子「りょ、涼太っ‼」

声も出せぬほど、痛みにもがき苦しみ、大量の汗をかく涼太。

幸子「りょ、涼太っ‼大丈夫?・・・ねぇ‼涼太ぁっ‼」

(回想を掻き消すように、医者が幸子を呼ぶ。)

医者「あなた、羽生涼太さんの、ご家族のかた?」

幸子「あ、えっ?・・・幼・・・馴染みですっ。」

(医者より、涼太が大腸がんの疑いがあると伝えられる。)

大島幸子「完治、するんですよね?」

医者「ですから、詳しい検査を・・・・」

声を上ずらせながら、土下座をする幸子。

幸子「おねがい・・・・・おねがいします😭✨おねがいします😭✨おねがいします😭✨どうか、どうか、涼太を、涼太をたすけてぇっ‼・・・どうか・・・お願いします😭✨・・・・」

床に何度も何度も、頭を擦り付けて懇願する幸子に、あきれる医者。

医者「最善を尽くしますが、念のため、覚悟をしていてください。」

幸子:わたしは、今まで神様も仏様も信じて無かったけど・・・・今は違う。涼太だけは、助けて欲しいと、心から思った。

取り返しが付くか、どうか、判んないけど・・・

(数週間後、涼太が入院する病院のナースセンター)

看護師「あら、大島さん!・・・いーとこ来た!(笑)」

(うつ向きながら、真新しい、男性の肌着や下着の入った紙袋を渡す、幸子。)

幸子「あのっ・・・アイツ、すんごい汗っ掻きだから、・・お願いします。」

看護婦長(image石野真子)「自分で渡したら?(笑)」

看護婦長が
通路を見ろとばかりに、顎で指し示すと、車椅子に乗った、涼太が現れた。

幸子「あ、」

涼太「ねぇちゃん‼(笑)」

幸子「大丈夫なの?」

涼太「ん~、まだ数ヵ月は、抗がん剤とか、色々だけどね(笑)」

(車椅子越しの、涼太をハグする幸子。)

涼太「いたたたたっ‼・・・お、折れる!、折れるっ!、折れちゃうってっ!(笑)」

幸子「ご、ごめん・・・つい、力が・・・(笑)」

涼太「て、病人を殺す気かっ!(笑)」

(微笑む二人。・・・それからまた、数ヵ月後、新人小説家デビューコンテストの会場)

一流ホテルの大広間に、老若男女の人々が、まるで立食パーティーみたいな状態で、ひしめき合っている。

涼太「ねぇちゃん、凄いね?参加者と同伴者は、タダ飯だなんて(笑)・・・」

幸子「う、うん・・・・私は、あんまり、こう言うところは・・・ちょっとぉ~😅」

(涼太が、綺麗な女の子に見とれてるうちに、こっそり会場を抜け出そうとした次の瞬間、会場を割れんばかりの拍手が鳴り響いた。)

司会者「さてぇ、宴もたけなわですが、今回の、新人小説家デビューコンテストの主催者で、衆議院議員の藪沢梅子先生にご来場願いました。(笑)」

(満場一致の大拍手が巻き起こるが、登壇するのかと思いきや、背後から現れる藪沢。)

藪沢梅子(image泉ピン子
「どーも、どーも、藪沢で御座いますぅ(笑)・・・・あ、涼太ちゃぁん!(笑)」

羽生涼太「あ、おばちゃん、酒太りしたぁ?(笑)」

梅子「いやだわ、涼太ちゃんてば(笑)」

大島幸子(image松井玲奈)「ゲッ?(銀縁眼鏡婆ぁじゃん‼)・・・」

藪沢梅子「・・・・げ?( ̄ー ̄)」

大島幸子「あ、いえ・・・何も(^^;(やぁばっ‼)」

幸子と藪沢がにらみ会うが、
司会者が、藪沢を登壇するように促す。

藪沢梅子「今回の新人小説家デビューコンテストは、単なるマスメディア向けの、話題作りでぇわなぁくぅ~、今日の日本の活字場馴れを、私は、深く深く憂いて・・・」

しらける参加者達。

司会者「あの、先生?・・・・恐れ入りますが、発表の方を・・・」

藪沢梅子「あによぉ~、これからだっつうのにっ‼(怒)」

ごそごそと、小豆色のビジネススーツのうちポケットより、茶封筒を取り出す、藪沢。

幸子「涼太?・・・あのババア、知り合い?」

涼太「うん、鎌倉のおばさんだよ。(笑)」

幸子「・・・・えっ?(笑;)」

わざとらしい咳払いをして、茶封筒から、一枚の紙を取り出すと、もう一度、咳払いをする藪沢。

藪沢「最優秀賞は・・・・」

生伴奏の、ドラムロールが鳴り響く

息を呑む、幸子と涼太。

藪沢「smile again・・・大島幸子さんっ‼」

幸子「は?・・・・うそっ?・・・・」

司会者「大島幸子さん、いらっしゃいましたら、ご登壇願いまーす。(笑)」

脳内呆然の幸子。

幸子「(○◇○;)ぽかーん。」

涼太「ねぇちゃん?・・・・ねぇちゃんッ‼」

幸子「(○_○)!!・・・・涼太?・・・・これって、できレースじゃないよね?(疑心暗鬼+猜疑心全開!)」

涼太「僕のおばさん、藪沢梅子は、昔、鎌倉の読女と呼ばれてたんだよ。・・・・僕のために、小細工はしないよ。(笑)」

司会者に促され、登壇する幸子。アシスタントに手渡された賞状を、幸子に渡す時に、ぼそっと呟く藪沢梅子

梅子「この女狐・・・」

幸子「え?」

梅子「涼太ちゃんを渡すもんか‼」

幸子「・・・(なんでぇーっ?)」

幸子:こうして私は、うだつの上がらなかった人生を、涼太の力を借りて、小説家として、軌道修正した・・・。

でも・・・

涼太に想いを告げるチャンスが、遠退いた気がするなぁ・・・


(終わり)

smile again前編(サウンドラブレター・シリーズ)

原案、イメージソング:
「smile again」山口由子より。

(病室内)昏睡状態の、青年の左手を、自らの両手を包む女性。

大島幸子(image松井玲奈)「涼太ぁ・・・私のせいだよね・・・ごめんね・・・」

(幼少期の回想)
大島幸子:
涼太と私は、10年以上の幼なじみで、私はよく、涼太の面倒を見ていた。

(囲まれてからかわれる、幼少期の涼太。)

いじめっ子①
「やーい、涼太のう○こったれぇ~(笑)」

いじめっ子②
「とーちゃん居ない奴は、ケツのしまりが悪いんかー?(笑)」

(練習の帰りか、
剣道の胴着姿の少女が、虐められている涼太を助けるため、

竹刀を振り上げ、絶叫しながらよってきた!)

大島幸子(幼少期)「てめぇらあっ!!」

いじめっ子①
「でぇったっ❗女男❗」

大島幸子
「俺の涼太を、いじめんなっつったろぉ❗」

いじめっ子②
「何だコイツ、こないだ、女子のスカートをめくってたぞぉ❗(笑)」

いじめっ子③
「うっそ、マジきもーい(笑)」

(いじめっ子がチリジリになり、何とか退散させた幸子。

幸子に抱きつく涼太。)

涼太「ねぇちゃーん( ω-、)」

(幼少の回想を終え、ため息をつく幸子)

大島幸子:体が弱かった涼太が、エリート街道へ登り出したって、知ったのは、数年前・・・・

(幸子が勤めるファミレス。

レジに立つ後輩が、
背後の流し場で、

洗い物をする幸子に語りかける。)

ファミレスの後輩(image松田るか)「せんぱーい、今度の三連休ぅ、どっか行くんですかぁ~(笑)」

大島幸子(image松井玲奈)「ん~、アニフェス・・・かなぁ・・・(  ̄- ̄))」

(なんと無く脱け殻の幸子に、ため息をつく後輩。)

後輩「せんぱーい、歳を考えましょーよー、アニフェスなんて歳じゃないでしょー?(笑)」

(ボソッと呟く幸子。)

幸子「もう、恋愛はめんどくさい・・・・」

(ちょっと挑発的な後輩。)

後輩「はぁ?、じゃあ、将来の夢は?・・・」

(表向きは沈黙を装う幸子。)

幸子「・・・・・」

小説家になること。・・・・でも、もう・・・

(何処かのテーブルのチャイムが鳴る。)

幸子「ほらほら、窓際のバーコードさんが、呼んでるわよ。」

後輩「バーコード?!」

(目を細めて、
国道側の窓際の席を見ると、

スーパーで売れ残った、キャベツような頭髪の男性が、

先程から顔を赤らめ、鼻息荒く、何かをぶつくさ言ってる。)

後輩「えーっ、バイトの私が行くんですかぁ~」

幸子「バイトもパートもカンケー無いのっ!」

(しぶしぶ、窓際のキャベツ男の対応をしている、後輩の様子を見ていると・・・)

若い男性「すみませーん、五人くらいなんですけど。」

(うつ向いたまま、いらっしゃいませを言わずに、レジの釣り銭を確認する幸子。)


幸子「(五人くらいってなんだよ。・・・て、えっ?)涼太っ?」

羽生涼太(image須賀健太)「あ、ねぇちゃん?!(笑)・・・」

幸子「涼太ぁ、久しぶりだよね~・・・高校生以来だよね~、へぇ~、馬子にも衣裳ならぬ、う○こったれにも、衣裳だよねぇ~(笑)」

涼太「ねっ、ねぇちゃん、場所わきまえなよっ!(笑;)・・・おまけに大声だしっ!・・・・」

(幼なじみに会えた喜びに、思わずたかが外れた幸子に、ドン引きの客たち。)

幸子「あ。・・・やっちゃった。(^_^;)」

涼太達を、少し広いテーブル席に案内をした幸子。

後輩
「せんぱーい、イケメンですね・・・・彼?・・・」

チラチラ涼太の方をみる、幸子。

幸子「涼太とは、単なる幼なじみだよ。」

後輩「へぇ~(笑)・・・だったら先輩、逆にアドレス渡しちゃえば?」

幸子「え?」

後輩「ここで再会したのも、何かの縁だし(笑)」

幸子「な、なにそのキモい笑いは・・・・」

後輩「いーやぁー、先輩も25年して、やあっと春が、きたんすねぇ~(笑)」

急に真顔になる幸子。

幸子「仕事しましょう。」

大島幸子:涼太と別れたのは、高校時代・・・女子高から、共学になって、六十周年を迎える頃だった。

(回想・高校時代)
昼休み、
眺めのいい空中庭園のような、
屋上のテラスで、
思い思いの昼食を取る、高校生たち。

幸子の高校の友人①
「( ,,-` 。´-)へーい、さっちゃん、おつかれちゃーん(笑)」

幸子(高校生)「あ、おつかれちゃーん(笑)」

幸子の高校時代の友人②「さちこー、知ってる?(笑)」

幸子「え、なになに?(笑)」

(何かを確認するように、顔を見合わす幸子の友人。)

友人②「昨日、物理の安村がぁ~、」

友人①②「自転車で、奥さんを後ろに乗せて、スッ転んだってぇ~(笑)」

幸子「なにそれ、ちょーウケるんですけどぉ~(笑)」

幸子:物理の安村(imageいつも明るい安村)は、涼太の担任の先生で、美人の奥さんをゲットしたそうな。

友人①「でね、その原因が、涼太くんからの連絡だったの。」

幸子「え・・・? 何だろう?」

友人①「あれ、なんもきいてないの?涼太くんから?」

幸子「だからぁ、なんなのぉ?」

友人②「涼太君、鎌倉市の学校へ、転校するんだって・・・」

幸子「えっ・・・・?」

食べかけのサンドイッチを置き去りにして、涼太の教室に走り出す、幸子。

幸子:うそ・・・うそだぁ‼・・・なんで?・・・なんでいきなり、転校すんのよぉ~‼

(後輩の高校生から、涼太が、駅に向かっている話を聞き、用務員の自転車を借りて、校舎を飛び出した。)

幸子:うそだ、うそだっ、うそだーっ!・・・・

あいつに貸しを作られたまま、バイバイなんて・・・出来ないよぉ!

(駅、涼太が一人でタクシーから降りて、改札に向かっている。・・・幸子が、涼太のうしろ姿を観て叫ぶ!)

幸子「ぅおいっ!涼太ぁ~ッ!」

涼太
「あ、ねぇちゃんっ!(笑)」

息を切らせながら、想いを発する幸子。

幸子「あんたさぁ、なんで(深めの咳を二回)・・・あたしに何も言わない・・・んだよっ!・・・うちらの仲は、そんなもんだったのかよぉっ!」

俯き、躊躇う涼太・・・
暫く、幸子の荒立ちが鎮まるまで、黙り混む。

幸子は、涼太の両かたを掴み前後に揺さぶる。

幸子「おい、涼太ぁっ!・・・なんとか言えよっ‼」

涼太は、幸子の熱い想いにも泣きそうになり、

空を見上げるが、
その空も泣き出しそうだ。

涼太
「ねぇちゃん・・・僕の母ちゃん、末期ガンなんだ。」

幸子「え?、涼太のお母さんが?・・・・

え、でも、
東京の方が医療施設が整ってるし、なんで・・・

何も、鎌倉まで行かなくても、

・・・それに私も(いっしょなら)看病してあげられるよっ。・・・

涼太。

東京に居なよ。」

涼太「鎌倉には、おじさんが居るから、暫く厄介になるつもりだよ。・・・もう、ねぇちゃんに迷惑かけたくない。」

幸子「涼太ぁっ!」

年下の涼太が、泣き出しそうな気持ちを押しきり、幸子を叱る。

涼太「ねぇちゃん、午後の授業・・・サボる気か?」

幸子「今はそんな話じゃ・・・・」

涼太「単位・・・足らないんでしょ?・・・卒業出来なくなったら、就職にも困るんじゃないの?・・・名古屋のおじさん、おばさんが心配するよ‼」

幸子「あんなの親じゃない・・・」

涼太「いい加減にしてくれ‼・・・帰ってくれ‼」

歳上の幸子が駄々をこねた。

幸子「帰らない・・・帰らないっ!・・・涼太に貸しを返すまで!」

幸子:涼太からの貸しって話は、私の初恋の話だ。

(つづく)

tokyo-angle⑤終 アイドル×天使の物語

海辺が望める病院で目を覚ます男。

看護師(image渡辺直美)「あ、野澤さん、気がつかれましたか?(笑)」

ノキセアが、ベットから、ガバッと起きようとすると、頭痛が起きた。

野澤と呼ばれたノキセア
「あの・・・痛っ!・・・(実体化した・・・のか?)」

コントのように、力付くでベッドにノキセアを倒す看護師。

看護師「だめですょ~っ。野澤さん、高いところから落ちちゃったんですからぁ~っ。(笑)」

ノキセアは、なぜ自分が野澤と呼ばれているのか?

なぜ実体化したのか?

思い出そうとしたが、頭痛が邪魔して思い出せない。

野澤(天使ノキセア)(imageディーンフジオカ)
「あのぅ、今日は・・・何日ですか?」

看護師「20日?・・・かしら?....で、でも退院はできませんよ!」

野澤(ノキセア)
「医者に会わせてくれ。」

惚けた返事で、ノキセアの病室に入る老医師。

老医師(image藤村俊二
「はいはい~っ(笑)」

野澤(ノキセア)
「あ、貴方は.....」

老医師「はい?(笑)」

ノキセアに、しーっと言う仕草をして、看護師を退室させる老医師。

老医師「やっぱ、バレちゃいましたか?ノキセア君。」

野澤「神職を投げ出し、天上界まで逃げ出して、今更還俗ですか?」

老医師・藤村(天上界管理人)「天上界は、七人の大天使がいますから(笑)・・・」

ノキセア「では、正式な移行手続きを・・・」

藤村「手続きをとりたくても、貴方も今、人間になっちゃってますよ。(笑)」

軽くため息をつく、野澤こと、天使ノキセア。

藤村「ところで・・・この度の魔鏡の処理、大変お疲れ様でした。」

ノキセア「そうだ‼・・・綾や、天使長(センター)は?」

含み笑いで答える藤村。

藤村「あって見ますか?・・・驚きますよぉ~っ(笑)・・・えっとですねぇ・・・東京公演は....」

いてもたっても居られず、病院を出て行くノキセア。

再び入室する看護師。

看護師「いいんですかぁ?あの事伝えなくても・・・」

藤村「すべては、時の流れるままに・・・・ですかね。(笑)」

走り出すノキセアを、病室の窓から見送る藤村。

息を時折切らせながら、上杉綾の、コンサート会場を目指し走り続けるノキセア。

ノキセア「(...綾は生きてる。)」

~コンサート会場~
女性マネージャーが、少し疲労ぎみの綾に話し掛ける。

マネージャー「大丈夫?綾?・・・」

上杉綾
「大丈夫!大丈夫!・・・絶対逃げないで、乗りきるから‼(笑)」

マネージャー「もう少しで開演だからね❗」

綾「うん❗(笑)」

マネージャー「綾?」

綾「なあに?・・・」

マネージャー「すこし、変わった?(笑)」

綾「え?(笑)・・・」

マネージャー
「なんか、
前向きに成ったって言うか・・・?

まさか、誰かに恋してる?」

照れ笑いの綾。

コンサート会場前には、既に長蛇の列が出来ていた。

綾は、公演前コンサート会場の片隅から、外を眺めていると、ノキセアの姿を見付けた。

上杉綾「来たぁ~っ!(笑)」

コンサートを見に来た人々は、ノキセアより年齢の若い人々の多さに、少し気が引けるが、自分の決めた約束を果たすため、歩みを止めなかった。

しかし・・・・

ノキセアのケータイが鳴る。

ノキセア📱「もしもし。?」

天上界通信会社 交信士(imageハライチ澤辺)
📱「おー、ノキセア!(笑)」

ノキセア📱「あ、先輩。」

控え室の窓から、ノキセアが、何処に電話しているのが見える。

上杉綾「あれ?・・・こないのかな?」

綾がいる楽屋がわの窓に、視線を向ける、天使ノキセア。

綾も再び、ノキセアのたたずむ方角に視線を向ける・・・

綾「う、嘘だよね?・・・このまま、さよならなんて・・・・」

光のかけら達が、さらさらした雪のように、背の高い、天使だけにそっと降り注ぐ・・・

ノキセア「綾。・・・君はもう、一人じゃ無いんだよ。・・・大丈夫。」

ノキセアの囁きは、綾には届かなかったが、

綾はノキセアが、何処かに旅立とうとしているのがわかった。

綾「側にいるって、言ってくれたのに・・・・」

嗚咽を圧し殺すように、その場に座り込み、泣き出す綾。

女性マネジャーが、辺りを見渡すが、天使の姿はそこにはなかった。
(終わり)

tokyo-angle ④アイドル×天使の物語

少しずつワゴン車に火の手が上がりだした。

ノキセアは、
必死にワゴン車のサイドドアを引っ張るが、

実体化していない天使の力は、非力すぎた。

ノキセア(imageディーンフジオカ)「ま、まってくれ、今助けるから!」

メルはスマホで、何処かに連絡している。

ノキセア「天使長(センター)ッ‼・・・あなたは、目の前に苦しんでる人間を・・・見棄てるんですか?‼」

メル📲(image松井玲奈)「閻魔のおじさん‼」

上杉綾の意識が、朦朧しだす。

綾(image中嶋理乃)「ノキセア・・・だれと・・・話してるの?」

綾の背後に、滲んだ銀色の陽炎が、薄気味悪い女の笑い声を上げる。

鏡、その悪意。
「コノ女は、もうじき私と一体となるのよぉ~っ。(笑)」

ノキセアの背後で、閻魔大王に早口で要件を言うメル

メル📲「おじさん!おじさん!おじさん!、私の速効のお願いを、どーか聴いて欲しいのっ‼」

閻魔大王(image中井貴一
📱「やぁメル、久方ぶりだのぉ。(笑)・・・地獄に堕ちた男に、子供を会わせた以来じゃな?」

メル📲「ごごごごめん、おじさんっ、そんなこまいことは、後にして欲しいんだけどっ‼」

綾の体から、鏡へ何かが吸い込まれて行く。

鏡、その悪意。
「ノキセア・・・羨ましいかい?・・・さぁ、愛しいものが、目の前で奪われて行く屈辱感を味わえ・・・苦しめ・・・怒り狂え~っ(笑)」

感情(いたみ)を抑える、
ノキセアの右手が、青白く光り出す。

メルがノキセアの背後で叫ぶ‼

メル📲「上杉綾の魂を、連れてかないでぇっ‼」

ノキセアが、メルの叫びに驚き、
振り返ったノキセアに飛び掛かり、

揉み合い、一瞬の隙をつき、左の首筋に噛みつく鏡。

鏡、その悪意。
「(薄気味悪い女の笑い声)コノ傷は、時が重なる程、お前を苦しめていくのょ。(笑)」

綾の姿を現じる、鏡。

ノキセア「返せ・・・・」

鏡、その悪意。
「はぁ?(笑)」

鏡は、綾の魂を吸いきったのか、満足げに深呼吸をしながら両手を広げる。

ノキセア「もう一度言う・・・・」

再びノキセアの右手が青白く光り出す。

ノキセア「綾の魂を・・・返えせぇぇぇぇぇぇっ‼」

ノキセアの突撃を、寸でで完全な上杉綾を現じて止めた鏡。

上杉綾(鏡)「ノキセア・・・」

ノキセア「違う・・・」

上杉綾(鏡)は、薬物中毒(トランス)状態のような笑顔を振り撒く。

上杉綾(鏡)
「愛してる・・・・」

ノキセア「違う‼」

トランス状態のまま、気持ち悪く体を左右にくねり出す綾(鏡)

ノキセア「お前は綾じゃないっ‼」

綾(鏡)「なら、死ねよ(笑)。」

鏡の後ろから、羽交い攻めするメル。

ノキセア「天使長(センター)!」

メル(image松井玲奈
「ノキセア‼・・・あんた、この子が好きなんでしょ‼」

綾(鏡)「は、ハナセ!・・・」

ノキセア「・・・・でも、人間に恋したら、厳罰を・・・」

いつもはバカしか言わないメルが、本気の表情を表す。

メル「バッカじゃないのっ‼」

ジタバタ始める鏡。

ノキセア「え?」

メル「私、元人間だったから、あんたの気持ちは判るけど・・・

私は逃げない‼・・・

私だったら、絶対逃げない‼・・・

例え、
どんな未来が待っていても・・・・」

鏡、その悪意。
「ギャーハハハ。この女の魂は、我が身となった今、すべては無となるの‼(笑)」

ノキセア「そんな・・・」

メル「ハッタリだよ!ノキセア‼」

ノキセア「周りの時間が止まっている?・・・」

ワゴン車も大破する寸前のままだ。

そのなかに、横たわる上杉綾。

奇声を上げ、アメーバーのように姿を変えようとする鏡。

鏡、その悪意。
「た、魂を・・・・次の弱りきった、人間の魂を、吸わねば・・・」

メルは、羽交い締めする力を強めながら、上空に舞い上がる。

ノキセア「天使長(センター)っ‼・・・何をするんですか?」

ノキセアも、上空に舞い上がる。

鏡、その悪意。
「キモチワルイ存在。離せ!」

体を揺さぶったり、形を変えようとして、もがく鏡。

メルは、形を変える度に、羽交い攻めする手の位置を素早く変えている。

メル「ノキセア!・・・もう、時間がない‼・・・

心の弱った人間を、新たに取り込む前に、私ごと射ぬけ!」

ノキセアの右手から、青白い光の弓と矢が顕れる。

ノキセア「天使長(センター)。」

メル「私の彼はね、年上で優しかったんだけど・・・こんな輩に・・・まぁ、いいや(笑)。

メビウスの輪と言う世界が、何処かにあるなら、

また会えるって、解ってるから。

何度でも信じる‼

だからノキセア。
人間に恋するんなら、

天使として・・・その命を懸けなっ!(笑)」

メルの純粋な想いを、ゲラゲラアザけ嗤う、鏡。

鏡、その悪意。
「得たいの知れぬ存在が、セイギずらかぁ?(気持ち悪く嗤う)」

ノキセアは、光の矢を弓に沿わせ、構えた。

メル「うっせぇよ!・・・あんたの事は、事前に調べてんの(笑)

黒魔術に囚われた、鳥獣(ゲテモノ)の霊の塊だって事を・・・」

ノキセア「その鏡が、人間を使い、心の弱った人間を呼び寄せてた・・・」

躊躇いながらも、矢を引く力を強めるノキセア。

周りの時間がもうじき動き始めるのか、世界が再び色つきだす。

鏡、その悪意。「もう、時間を止める力は無くなるようね~っ(笑)」

再び、上杉綾の姿をとる鏡。

鏡、その悪意。「さぁ、今度こそ、あの女の魂を・・・・」

ノキセア「天使長!、後は私が倒します!・・・さぁ、手を離して!」

首を横に降るメル、
そして鏡は羽交い締めされたまま、

強引に地上に降りようとしている。

メル
「いい?、よく聴きな。

天使(うち)等は、
可愛い後輩の為に、
命懸けられんの・・・

世界が、

人間たちが、
心を歪めても、

得体の知れない者と、
アザけ笑われようと・・・」

ノキセア
「メルっ!・・・そいつから離れるんだ‼」

力尽きながらも、
鏡を羽交い締めしたまま、
自らの背を地上へ向けて墜ちるメル。

メル「絶対・・・逃げない!」

ノキセア
「我が光の矢よ、人間の心に取りつく、深き闇を解き放てーっ!・・・・・エスペランサーアローッ‼」

呪文のような言葉を発して、一本の光の矢を放つ、天使ノキセア。

メル「またね・・・ノキセア。」

刺さった一筋の矢の威力か?くの字に曲がる鏡と天使。


止まっていた、街が動き出した。

(つづく)