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②ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

第2話 なんでやねん

おさらい
天上界と言う、人間の見えない世界にも、人材不足からの終焉に迎えつつあった。

そのなか、関西から対策会議に参加した天使、さや姉と、ふぅちゃんだったが・・・

※地上、渋谷駅近辺

渋谷駅から、へこへこ天使に付きまとう中年男

死にかけた男「お願いしますよぉ~。」

ただでさえ、あまりにも粘着質な男の追尾の上に、人ごみのなかで飛び立つ事を禁じられてるため、人目と男を避けるように、はや歩きするさや姉。

さや姉「あ゛ぁっ!?・・・めちゃ、くっどいわー、このオッサン!(ま、まぁ、とはゆーてみたけど、オッサンの猿芝居で、警察に通報されへんかったから、・・・ちぃとは話聞いたるか?)・・・・」

公園のベンチに腰掛けるさや姉。

スボンの前ポケットを、もぞつかせながら、男は自販機の商品枠を、覗き込んでいる。

さや姉「おっちゃん?・・・さっきっから、なにしてん?」

さや姉のきつい問い掛けに、どぎまぎする男。

死にかけた男「あ、あのう・・・な、なに飲みます?」

軽く呆れたようなため息を1つ着くさや姉。

さや姉「ん~、じゃあ、コーラでええわ。」

男は小銭を投入して、ボタンを押すが、品物が出てこない。

男「あれっ?・・・あれ、(゜∀。)あれっ?」

舌打ちする天使

さや姉「たくぅ・・・(おっちゃん、)鈍腐っ!」

自販機を背にした男に、ぐいぐい近づく さや姉。

男「あ、あのっ、おか・・・お金は入れたんですけど・・・ど、(((((゜゜;)どうしよう?」

壁ドンならぬ自販機ドンする、さや姉。

死にかけた男「うわっ!」

ペットポトルのコーラが、つぎつぎ取り出し口に、落ちてくる。

年甲斐もなくテンパる男。

死にかけた男「あ、あのっ、こっ、今度は、とまんないんですけどぉ~」

さや姉「ほっとけや!(笑)」

関西弁の天使は、発言とは裏腹に、少し微笑んでいるように見える。

死にかけた男「わ、笑い事じゃないと、思うんですけど・・・」

さや姉と、死にかけた男は、場所を移して、改めて話をする。

さや姉「で、なんで死のうとしたんや?・・・他人の人生を変えようとしてまで?」

死にかけた男「はい。・・・」

うつむく男に、優しく語りかけるさや姉。

さや姉「はい。・・・や、あらへんやろ?。ここで会ったのも、何かの縁や。・・・話してみ。」

死にかけた男「わたし、将来に夢や、期待が持てないんです。」

唖然とする天使

さや姉「ぽっからかーん(○◇○;)・・・(は?、まぢか・・・まぢなんか?、このかるーい脳みそは、w)」

天使のあんぐり顔に、言葉を選ぶ男。

死にかけた男
「わたし、あなた方を否定する新興宗教をやってたんですよ。」

さや姉「(やってた?・・・)えっ、ええがな、何かを信じる事は、ええこっちゃ。(笑)」

真顔になる男

死にかけた男「あの・・・本気ですか?」

さや姉「え?」

死にかけた男「宗教の教えって言いますのは、高低浅深に別れていまして、それで尚且つ・・・」

引き笑いの天使。

さや姉「おっちゃん・・・(話)長くなるん?」

死にかけた男「あ、長すぎました?」

さや姉「あ、( ̄▽ ̄;)あん。・・・うちは別にかまへんのやけど、うちののーみそが、追い付いてけーへん。(笑)」

死にかけた男「あ、すみません。」

さや姉「あ、こちらこそ。」

向かい合わせにお辞儀して、思い出し笑いする二人。

さや姉「なんやさっきから、「あ」・・・ばっか つけとんなぁ?(笑)」

死にかけた男「あっ?、そうでしたっけ?(笑)」

さや姉「鈍感かっ?!(笑)」

※一方、天上界では、会議が続いていた。

さや姉の様子を、タブレット端末で見ながら、馴れない会議に参加してる、関西天使ふぅちゃん。

ふぅちゃん(image矢倉楓子fromNMB48)「ねー、さや姉。・・・まだ帰らへんのぉ?・・・うちには(議題が)難しすぎて難しすぎて、もう難波に帰りたい~。」

太めの幹部天使(image六角精児)「えー、つづきまして、東北支部から、クラウディアさん、意見をお願いします。」

天使クラウディア(image守屋茜from欅坂46)「私は、上級天使の端くれとして、皆さんにいいたいっ!・・・・」

何処の世界の会議も一緒。

社蓄のような人や、其っぽく振る舞う人、そして・・・

ふぅちゃん「あーん、帰りたい~。」

裁判ゲームのように、ふぅちゃんに指差すクラウディア。

クラウディア「そこっ!なんで、へにゃってんのよ!」


指を指され、想わずガバッと起き上がるふぅちゃん。

ふぅちゃん「え、うち?」

クラウディア
「あなた以外、だれがいるんですかっ?」

ふぅちゃん「あ、はい。?(さや姉ぇ~、助けてぇ~)」

※深夜、死にかけた男のアパート

さや姉「まぁまぁな広さやね。」

死にかけた男「今日、泊まってくれるんですよね?」

両手で胸を隠し、絶叫するさや姉。

さや姉「なんでやねんっ!うちら初対面やでっ!(なんか雰囲気でついてきてしもうた。)」

(つづく)

①ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

第1話 どないすんねん⁉

渋谷駅。よれよれのスーツを着た中年男性が、ぼおっと、山手線の進入方向を見ている。

一方、神と天使長(センター)無き天上界に、関西支部の天使が、今後の、運営対策会議に来ていた。

さや姉(image山本彩fromNMB48)「はぁーっ?、何が一体、どないなってんねん?・・・メルが天使長(センター)やらへんのやら、
どないすんねん?これから・・・
てゆうかメルは、今どこおんねん?」

関西天使・ふぅちゃん(image矢倉楓子 fromNMB48)「さや姉、さっきから、なにイラついてん?」

さや姉「は?、別にイラついてないよ。」

ふうちゃん「うーそやっ!(笑)。

みるきーさんや、
他の子が、
人間になってから、
さや姉の、イラつきが半端ないやん。

・・・まさか、更年期⁉(笑)」

さや姉「ほっとけ。だれが、こー年期やねん!(笑)」

#地上監視部

後輩天使たちが、さや姉達の姿を見つけ、頭を下げて行く。

さや姉「ちぃーすっ!、ちーすっ!・・・あ、おつかれぇーっ!(笑)」

ちょっと小太りの天使に、質問するふぅちゃん。

ふぅちゃん「あのっ、ちょっと聞きたいんやけど、最近の東京の天使って、もう双眼鏡つかってへんの?」

天使(image六角精児)「あ、はいっ・・・、関東本部では、テレビモニターを、数年前から設置するようになりまして・・・・」

呆れ顔のさや姉。

さや姉「なぁんや、おおちゃくになったもんやなぁ~(笑)(これだから東京もんは・・・)・・・あ?・・・あ゛ぁっ⁉」

なにかを見つけ、
突然声をあげ、うごかなくなるさや姉。

ふうちゃん「へ?・・・どないしたん⁉」

さや姉「ちょっと、地上(した)行ってくるわ‼」

ふうちゃん「えっ⁉・・・ちょっとまってぇっ!・・・なんでなん?いきなし‼」

#渋谷駅

中年男性「もう、いいや・・・」

目を閉じ、進入してくる山手線のタイミングを見て、身を投げる男。

さや姉「くぅおらぁっ!」

飛び込もうとする、男のYシャツの、襟後ろをむんずと掴み
一気にホームに引っ張るさや姉。

男は尻餅をつき、後頭部を打つ

中年男性「痛ッ!頼むっ、死なせてくれっ!」

腕を組み、ドS構えするさや姉。

さや姉「は?、別におっさん死ぬのは、ジャストなうで、かまへんけどなっ!」

さや姉が指を鳴らすと、背後に多面体モニターが現れて・・・

さや姉「あんたが勝手に死んだら、こんなに他人(ひとさま)に迷惑掛けんねん。解るかぁ?」

面接に遅れたために、採用を断られた青年。

仲直りデートに遅れた為にフラれた女性。

危篤に近い母親の見舞いに行くはずだった夫人が、間に合わず、その場ですすり泣き出す。

男性「わ、私には関係ないっ!」

さや姉は呆れながらも、男に相槌をうつ。

さや姉「うんうん、おっちゃんも、転職ばっかしてんねんやろ?(笑)・・・上司も、似たよなアホばーかっで、しんどかってんやろ?(笑)」

自殺しかけた男
「な、なんで解るんですか?」

駅員が二人に近付く。

駅員A「お客様!お怪我は有りませんか?」

駅員B「けっ!・・・警察呼びましょうか?・・・ち、痴漢・・・されたたんですよねっ!(笑)」

さや姉「うちが、男の人、痴漢するとおもん?(`´) 」Donaiyanen!

駅員B「は、はい。昨今は、性癖が多様化して・・・ますからぁ(笑)」

死にかけた男より、さや姉をなめ回すように見る、駅員に違和感を出すさや姉。

さや姉「うーわっ!、なんか、そっちのおっさん、キモっ!。」cothi minnaya!

取り残される死にかけた男。

死にかけた男「あ、あの・・・私の件は?」

さや姉が、男の問い掛けに答えようとしたその時、ティアドロップ型の携帯が鳴る。

さや姉📲「はい。どないしたん?」

ふぅちゃん📲
「もー、さや姉ぇ・・・会議始まるってぇ~。早よぉ戻ってぇ。」

さや姉📲「ん。わかった。今もどるぅ。」

突然、さや姉の左足にすがり付く、死にかけた男。

さや姉「えっ?・・・えっ?、なになに?」

死にかけた男「ちょっと待って下さいよぉ~。」

さや姉「は?・・・うち、これから会議やから。」

死にかけた男「そんなこと言わないで、私の話を、聞いてくださいっ!」

ふぅちゃん📲「もしもし、さや姉?きいてる?」

さや姉、想わず頭抱えて絶叫

さや姉「もーっ、どないすんねんっ!」

(つづく)

(後編)angel song

前編のおさらい。
(この作品は、妄想フィクションです。)

クリスマスイブの朝、突然添い寝している、ラブラドールレトリバーに驚く島崎遥香
 だが、このメス犬、突然言葉を喋りだし、自分が天使で、ノルマを達成できないせいで、犬のなかに封じ込められたと言う。
 更に厄介な事に、島崎遥香の彼氏の命を、天使として復活するために寄越せと言う。
 タイムリミットは、赤い月が出ると言う、クリスマスを告げる鐘が鳴るまでと言う、とっぴな話に困惑する島崎遥香だった。

(本文)
イブの朝、頭を抱えて、部屋の中をウロウロする島崎遥香

島崎遥香(元AKB 48)
「あーんっ、やっぱ話がみえなーい‼・・・なんで家にラブラドール?・・・なんで、なんで犬がしゃべるの?可笑しくない?そんで、彼の命をちょーだいって、どゆこと‼・・・イブの鐘ってどこよ?」

ラブラドールのマルは、だらけている。

島崎遥香「ちょっとーっ‼話聞いてるっ?⬆」

マル(image谷花音
「決まったぁ?・・・ぱるちゃんが決めてくれないと、私帰れないんですけど。」

島崎遥香
「あーのぉーさっ、

いきなりあんた、
自己中過ぎでしょっ?・・・

私のアイドル卒業と
彼の命を、

引き換えにさせるなんて、

天使のやることじゃないんじゃない?」

マル
「あれぇ、知らないんだ?(笑)」

島崎遥香
「な、なにっ?」

マル
「天使だって、死神と変わんないよ。」

島崎遥香
「え?・・・貴方たちは、人間を助けてくれないの?」

仰向きになり、ハッハッと呼吸するラブラドールレトリバーのマル。

マル
「ぱるちゃーん、天使は「天」(天上界)の、「使」いと書くの。つまり、うちらは、天上界の指示でしか、出来ないの。」

島崎遥香
「でも、彼の命を・・・って・・・」

マル
「ごめーん、事前調査してましたー(笑)」

島崎遥香は、ため息をつきながらも、話を続けた。

島崎遥香
「彼が死ぬ・・・それって、決定事項?」

マル
「うん。でも、ぱるちゃんの最終確認してからにしようと、考えてた。・・・そうすれば、ポイントも付くし・・・(笑)」

島崎遥香
「ポイント・・・・」

島崎の宅電が鳴る。

島崎遥香
「もしもし、えっ!」

通話を切り、自宅マンションを飛び出し、病院へ走る島崎遥香

後を、全力疾走で追う、マル。

マル
「ぱるちゃん、待ってぇ~💦」

すれ違う人々は、喋る犬に驚く。

通行人「いま、喋んなかった?」

島崎もマルも、息を切らせて、病院にたどり着くが、マルは犬ゆえに、施設内に入れない。

島崎が病室に入ると、真っ黒なスーツを着た、がたいの良い男が、島崎の彼氏の顔を覗きこんでいる。

死神(image吉田鋼太郎
「やぁ、来たんだ?・・・・」

島崎遥香
「何してるの?」

死神
「あれっ?・・・私の姿、見えちゃう?」

島崎遥香
「えぇっ、ガッツリと。」

度なし眼鏡を、ゆっくりはずし、ため息をつく死神。

島崎遥香
「見えたらなんだって言うの?・・・で、でてって!天使なんて信じないっ‼」

首を左右にコキコキやりながら、ゆっくり島崎を睨み付ける死神。

死神「天使が、居る?・・・だと?(笑)」

死神の瞳の黒点が、濃紺に変わり、両手が枯れ木の根っこの様に、島崎の首にまとわりつく。

島崎は声が出ないまま、そのまま立ち尽くす。

島崎遥香
「(や、やだ・・・死にたく・・・ないっ!)」

緊急処置室の外窓をブチ破って、飛び込むラブラドールレトリバー

マル
「このお兄ちゃんは、私のものっ‼」

島崎遥香
「え?そっちぃ?」

もみ合う大型犬と、黒スーツの男。

死神「死に優先順位は、ないっ!」

島崎遥香の手を離しあわてふためく死神。

マル
「ぱるちゃん、そこのお兄ちゃんのことをおねがいっ‼」

マルは死神の左足に必死に食い付き離さない。

死神「はっ、離せっ!くそぉっ‼」

粉々に割れた処置室の窓枠から逃げる死神。

マル「まーてーっ‼」

黒スーツを追うラブラドール。

島崎遥香「まって!マル‼」

窓枠から、外を眺めても、北風が落ち葉を舞い上げるだけだった。

やがて日が落ち、数時間たった頃、傷を追ったラブラドールのマルが、よれよれに成りながら、島崎の待つ病院にたどり着いた。

マルの頭を抱き抱える島崎遥香

島崎遥香「マル、おかえりぃ。」

複数の怪我を負いながらも、ヘラヘラと、経緯をかたるマル。

マル「あの死神さぁ、私の稼ぎを、いっつも横取りしてたから、・・・今度は噛んじゃうつも・・・り(笑)・・・」

意識が薄らぐマル。

島崎遥香「マル、もういい、もうしゃべんなくて良いからっ‼・・・ねっ‼」

マル「お兄ちゃんは・・・大丈夫だった?」

島崎遥香「うん。」

マル「よかったぁ~(笑)」

12月24日 23:00

島崎はマルに言われるがまま、ある雪山に登った。

島崎遥香
「マル?・・・まじここら辺なの?」

マル
「そぉだよ。・・・イブの朝、私とぱるちゃんが見た、夢の場所。」

マルを乗せた、プラスチックのそりを引く島崎遥香

たどり着いた洋館は、バラの鎖はなかったものの、ほぼ同じ佇まいを醸し出していた。

島崎遥香「ついたよ。マル。・・・え?・・・マル?・・・マルっ‼」

島崎はそりに横たわる、ラブラドールを揺さぶり起こすが、反応がない。

島崎遥香「体・・・冷たくなっちゃったね?・・・ごめんね?」

島崎は首に巻いていた、赤いロングマフラーを、蛇腹おりにして、横たわる、ラブラドールの上に乗せた。

そして、何処からかクリスマスを告げる、鐘の音が響く・・・・

島崎は、ゆっくり空を見上げると、赤い月が雲の隙間から見える。

島崎遥香の背後に、真っ白なロングコートを羽織った、老紳士が顕れた。

老紳士(image藤村俊二
「おや?・・・寒いなか、何かようですか?・・・ま、ここでは何ですから、お部屋のなかへ。」

島崎は無言のまま、軽く会釈して、マルをのせたそりと一緒に、屋敷のなかに入った。
 部屋の奥にある、石積み煉瓦の暖炉は、パチパチと燃え上がる。

老紳士「お嬢さん?・・・アッサムティーは好きですかぁ?」

老紳士はいそいそと、紅茶を入れる準備をしながら、島崎に話し掛けている。

島崎遥香「あ、私はカモミールも、結構好きです。(マルの事、話してみようかな?)」

そっと、テーブルの上に置かれたティーカップのなかに、とぽとぽと注がれる紅茶の色は、冴え渡る色を醸し出していた。

島崎遥香「あのっ、この犬・・・言葉しゃべってたんですけど・・・信じます?」

老紳士は含み笑いで、話を始めた。

老紳士「私、この犬の飼い主なんです。」

島崎遥香「やっぱり神様?」

老紳士は瞳を閉じ、静かに首を左右に振る。

老紳士「神は、辞めました。今じゃぁ、単なるじじいですけどねぇ(笑)・・・あ、そうそう、この子は、約束を守れなかったので、残念ながら、地獄に墜ちます。」

マルの体から、光のかけらがキラキラと舞い上がる。

何かを察したのか、横たわるマルに覆い被さり、声をかける島崎。

島崎遥香「ま、マルっ‼・・・ちょっと待って!・・・・でも、マルは、彼と私の命を護ってくれたんです‼」

もう仕分けなさげに、意を告げる老紳士

天使たちが、何かを唄いながら、覆い被さる島崎をどかして、犬の体から、天使を引き出す。

老紳士「でも、約束は約束なんですぅ。」

ついイライラが、顔に出てしまう島崎。

島崎「あのっ、約束約束っていうのは、そっちの勝手ですけどぉっ、私と・・・彼を助けた件は、マルの・・・マルの評価に繋がらないんですかっ‼?」

イブの鐘が鳴り終わった瞬間、あたりは一気に真っ暗になった。

12月25日 8:10

スマホのアラームが、しつこく音を鳴らす。

島崎遥香「夢?・・・だった?」

キッチンの方から、なにやら犬の鳴き声が聞こえる。

島崎遥香「え?・・・まさか・・・嘘でしょ?」

大型冷蔵庫を開いたまま、なかを引っ掻き回す。ラブラドールレトリバー

マル「あ、おはよー(笑)」

島崎遥香「なにしてんのよっ!(泣)」

ヘッドロックするように、マルに抱き付く島崎。

島崎遥香「おかえりっ。おかえりっ、マル‼」

マル「ぱるちゃーんっ?」

島崎遥香「なあに?」

マル「チーズ抜きのラザニア作ってぇ~(笑)」

島崎遥香「知るかっ‼こんな散らかしてっ‼(笑)」

angel song おわり。

(前編)angel song(不定期更新読み切り小説)

12月24日 24 : 00

島崎遥香の夢の中)

蔵王か、湯沢のような雪景色が、目前に広がり、

凍てつく夜空には、赤い月。

さ迷いながら、何処かの屋敷前にたどり着く、島崎遥香

たどり着いた屋敷は、
ベル薔薇か、
キャンディキャンディに出てくる

少女マンガのような、古臭い洋館だ。

フードつき白装束の女(image谷 花音)
「後悔は、しないんですね?」

島崎遥香
「あ、はい。」

フードつき白装束の女
「次に赤い月が現れたら・・・・」

島崎遥香
「あのっ、それって・・・・?」

門柱に絡まる、薔薇の鎖を引く白装束の女。

島崎遥香
「あのっ、ちょっと!」

12月24日 09:30

ふと、夢から覚めると、
島崎遥香の左どなりに、
少々毛が長い
ラブラドールレトリバーが、目を覚ました。

島崎遥香
「いっ !・・・犬っ!・・・な、なんで?・・・てか、なんなのよぉっ!(汗)」

島崎遥香に、羽毛枕で数回頭を叩かれたラブラドールが口を開く。

ラブラドールレトリバー(image谷 花音)
「痛い痛い‼・・・暴力反対!児童虐待で通報するよっ!・・・てゆうか、こっちが聞きたいよぉ!」

ベットから転げ落ち、腰を抜かす島崎遥香

島崎遥香「うそぉっ!・・・犬が・・・しゃべっ・・・た。」

ラブラドールレトリバー「えーえー、喋りますけど、なにか?・・・あ、私の名前は、【マル】」

噴き出すの堪えて、惚ける島崎遥香

島崎遥香「え?(∩゚д゚)(笑)」

マル「あーっ、今聞こえないフリしたでしょっ?・・・タチ悪っ。」

島崎遥香「聴こえてましたけどなにか?(笑)・・・てゆうか、貴女は何者?」

マル「私は元天使。わけあって、ラブラドールレトリバーの身体を借りてまーす。」

島崎遥香「わけ?」

島崎遥香の顔に、マルは顔を寄せる。

マル「私と観たでしょ?・・・雪景色と赤い月。」

フンフンと、ラブラドールレトリバーの鼻息意外、聞こえない

暫く無音状態がつづくが・・・

島崎遥香「はいっ?(∩゚д゚)(笑) 」

マル「だーかーらぁ、私がぁ、貴女の願いを叶えたのっ!。#自由になりたかったんでしょ?」

島崎遥香「・・・・」

姿はラブラドールレトリバー故に、島崎遥香に甘える
もと天使、マル。

マル「今度わ、私の願いを叶えてほしいなぁ~(笑)」

島崎遥香「え?マジなんなの、突然‼」

外見の可愛らしさと、
何が原因で喋る犬が、
目の前に居るのか?
少々困惑気味の島崎。

マル
「明日のクリスマスが、終わるまでに、

貴女の大事なものをちょうだいっ?・・・

実は天使仲間で、
私だけノルマが足らなくて、罰としてラブラドールの体に閉じ込められちゃったの・・・・」

島崎遥香「え?・・・急すぎでしょ?・・・」

部屋のなかを物色し始める、ラブラドールのマル。

マル「次に赤い月が登って、イブの鐘が成るまでに、ぱるちゃんが、大事にして・・・あっ!」

島崎遥香「あのっ、人のへやウロチョロされるのめいわ・・・それ、止めてくんない?Σ(゜Д゜)」

マルがくわえてきたものは、写真縱だ。

マル「このお兄ちゃん、だーれ?(笑)」

口ごもる島崎。

マル「🙉きこえませーん。(笑)」

島崎遥香「私の・・・彼氏。」

マル「へぇ~、そうなんだぁ~(笑)」

島崎遥香「・・・・なにっ?」

マル「この人の命ちょーだいっ!(笑)」

島崎遥香「えっ😱💥!」

(前編終わり。)

image song

angel song ~イブの鐘~

the brilliant green

smile again後編(サウンドラブレター・シリーズ)

幸子:涼太からの貸しって、
私の初恋話だ。

誰かが、誰かを好きになる・・・・
それは、誰しも必ずあること・・・・

私の場合、
あのときだけ・・・

女の子が好きだった・・・。

(高校時代・幸子の回想)

幸子:あれは、いつかのバレンタインデーだった。

(体育倉庫の裏、可愛い包装とリボンで括られた、チョコレートと、少々のかすみそうを背後に持ちながら、誰かを待つ幸子。

そこに、走り寄る女生徒。)

幸子「ごめんね、突然呼び出して(笑)」

下級生:日奈子(image桜井日奈子)「何ですかぁ、改まったはなしって?(笑)」

(もじもじしながら、チョコレートと、かすみそうを渡す幸子。)

幸子「あ、はいっ!これっ!」

(日奈子は、一瞬喜んだが・・・)

日奈子「先輩・・・気持ちは嬉しいんですけど・・・」

幸子「え?(笑)」

(柔らか目な言葉を探す日奈子。)

日奈子「私たち、そんなかんけいじゃぁ・・・・無いですよ・・・ねっ?」

(人影の少ない体育倉庫の裏とあって、日奈子にグイグイ迫る幸子。)

幸子「そ、そんな関係って?・・・わたし、日奈ちゃんの事・・・」

(キスしようとする幸子を、完全拒絶した日奈子。)

日奈子「やめてっ!・・・先生と相談して❗」

(チョコレートと、かすみそうを落とす幸子。)

幸子「え?・・・ワケわかんないんですけど・・・」

日奈子「わたし、高校を辞めて、結婚するんです。・・・・」

幸子「そんな・・・」

(膝を落とし泣き出す幸子を置き去りに、立ち去る日奈子。

そして、サッカーの部活を終えた、涼太が日奈子と入れ違いで、幸子に声をかける。)

涼太「ねぇちゃん?・・・ねぇちゃん、大丈夫?」

幸子「私、・・・振られちゃった・・・。私、女の子を好きになっちゃ・・・可笑しいかな?」

(涼太は、一瞬引いたが、幸子の想いを理解した。)

涼太「ねぇちゃん、カラオケ行こう‼(笑)」

幸子「いまそんな気分じゃない・・・・」

(傷心の幸子を立ち上がらせ、ハグして慰める涼太。)

涼太
「ねぇちゃん、メソメソしたって、仕方ないじゃん‼(笑)・・・

こー言うときは、
ぱあっと、

こう・・・(北島三郎の力むマネ)

大声だして、スッキリしちゃおうよ‼(笑)」

幸子:いま考えると、涼太
はカラオケはヘタクソだったなぁ(笑)・・・・

そして、高校をでても働く気に成らなかった私に、涼太が・・・
夢を与えてくれた。

(ぷーたろう時代の幸子の回想)

幸子:そんな涼太の奴、
昔っから、お金もそんなに持ってないのに、
ボロアパートに引きこもって居た私に、
よく差し入れを持ってきたっけ・・・

(二人分の牛丼を置く涼太。)

幸子「なあに?・・・また買ってきたの?」

(山積みになった、就職誌をパラパラめくる涼太。)

涼太「ねぇちゃん、大学行かないんだったら、アルバイトしなよ(笑)・・・生活行きつまっちゃうよぉ。」

幸子「(両親から、愛想つかされ、仕送りが尽きて)もう、いきつまってますが、なにか?(笑)」

(涼太は、座る場所を作るために、雑誌などの山を移動させた。

その時に落ちた、一冊のノートを拾い上げる涼太。)

幸子「あ、ちょっ‼・・・・」

(ぺらぺらと、ページを捲る涼太。)

涼太「ねぇちゃん、これ・・・・」

(驚く涼太から、ノートを引っ剥がすように奪う幸子。)

幸子「ちょっとぉーっ!(怒)」

涼太「ねぇちゃん、凄い文才あるじゃん‼(笑)」

幸子「そんなことないよっ、暇潰しで書き貯めただけだからっ!」

涼太「本出そう‼、ねぇちゃんなら出来るよ‼(笑)」

(涼太が入院した時の回想

ストレッチャーに乗せられ、緊急処置室に運ばれる涼太。

後を追いかける幸子だったが、
看護師達に止められ、やむを得ず、待合室の長椅子に座る、幸子。)

(回想)
幸子:涼太は、ファミレスでの再会後、就職活動しながら、
幸子(わたし)の書き貯めた小説の、
直接出版に向けて走り回っていた。

そんな涼太の優しさに、気付けなかった私は・・・・

(アパートのドアを叩く涼太)

涼太「ねぇちゃん‼ねぇちゃん‼」

(虚ろな目で、ドアを開ける幸子。)

幸子「なあにぃ・・・・私なんか放っといて・・・」

涼太「(うぅわ、酒くせぇ~)ねぇちゃん、直接出版は、いろいろ(お金)が掛かるから・・・・」

(涼太は、酒びたりの幸子にドン引きながらも、新人小説家デビューコンテストのチラシを、幸子に広げるように見せた。)

幸子「あたし(の才能)なんか、どーせ・・・・へへっ(笑)」

(涼太は、
経たり混む、幸子の胸ぐらを掴み引っ張り上げて、

一瞬ためらったが、
右手で幸子の左ほほを叩いた。)

幸子「痛いっ‼」

涼太「どうしようもない奴だね・・・ねぇちゃんは‼」

(涼太の、いままで見たことのない、真剣な眼差しに、泣き出しそうになる幸子。)

涼太「なんで、自分を押さえ込むんだよ‼ねぇちゃん‼・・・ぼくは、そこまで頼りないかよ‼」

幸子「涼太・・・ちがう・・・ちがうの・・・」

(嗚咽を押さえながら、泣き出す幸子をハグする涼太。)

涼太「ねぇちゃん・・・僕が望むのは、幸子ねぇちゃんの幸せなんだ。」

幸子「でも、涼太は・・・一人ぼっち・・・」

涼太「ぼくは、一人じゃないって(笑)・・・ねぇちゃんともう一回、巡り会えたんだか・・・らっ」

突然、腹部を押さえながら、前のめりに倒れて、苦しむ涼太。

幸子「りょ、涼太っ‼」

声も出せぬほど、痛みにもがき苦しみ、大量の汗をかく涼太。

幸子「りょ、涼太っ‼大丈夫?・・・ねぇ‼涼太ぁっ‼」

(回想を掻き消すように、医者が幸子を呼ぶ。)

医者「あなた、羽生涼太さんの、ご家族のかた?」

幸子「あ、えっ?・・・幼・・・馴染みですっ。」

(医者より、涼太が大腸がんの疑いがあると伝えられる。)

大島幸子「完治、するんですよね?」

医者「ですから、詳しい検査を・・・・」

声を上ずらせながら、土下座をする幸子。

幸子「おねがい・・・・・おねがいします😭✨おねがいします😭✨おねがいします😭✨どうか、どうか、涼太を、涼太をたすけてぇっ‼・・・どうか・・・お願いします😭✨・・・・」

床に何度も何度も、頭を擦り付けて懇願する幸子に、あきれる医者。

医者「最善を尽くしますが、念のため、覚悟をしていてください。」

幸子:わたしは、今まで神様も仏様も信じて無かったけど・・・・今は違う。涼太だけは、助けて欲しいと、心から思った。

取り返しが付くか、どうか、判んないけど・・・

(数週間後、涼太が入院する病院のナースセンター)

看護師「あら、大島さん!・・・いーとこ来た!(笑)」

(うつ向きながら、真新しい、男性の肌着や下着の入った紙袋を渡す、幸子。)

幸子「あのっ・・・アイツ、すんごい汗っ掻きだから、・・お願いします。」

看護婦長(image石野真子)「自分で渡したら?(笑)」

看護婦長が
通路を見ろとばかりに、顎で指し示すと、車椅子に乗った、涼太が現れた。

幸子「あ、」

涼太「ねぇちゃん‼(笑)」

幸子「大丈夫なの?」

涼太「ん~、まだ数ヵ月は、抗がん剤とか、色々だけどね(笑)」

(車椅子越しの、涼太をハグする幸子。)

涼太「いたたたたっ‼・・・お、折れる!、折れるっ!、折れちゃうってっ!(笑)」

幸子「ご、ごめん・・・つい、力が・・・(笑)」

涼太「て、病人を殺す気かっ!(笑)」

(微笑む二人。・・・それからまた、数ヵ月後、新人小説家デビューコンテストの会場)

一流ホテルの大広間に、老若男女の人々が、まるで立食パーティーみたいな状態で、ひしめき合っている。

涼太「ねぇちゃん、凄いね?参加者と同伴者は、タダ飯だなんて(笑)・・・」

幸子「う、うん・・・・私は、あんまり、こう言うところは・・・ちょっとぉ~😅」

(涼太が、綺麗な女の子に見とれてるうちに、こっそり会場を抜け出そうとした次の瞬間、会場を割れんばかりの拍手が鳴り響いた。)

司会者「さてぇ、宴もたけなわですが、今回の、新人小説家デビューコンテストの主催者で、衆議院議員の藪沢梅子先生にご来場願いました。(笑)」

(満場一致の大拍手が巻き起こるが、登壇するのかと思いきや、背後から現れる藪沢。)

藪沢梅子(image泉ピン子
「どーも、どーも、藪沢で御座いますぅ(笑)・・・・あ、涼太ちゃぁん!(笑)」

羽生涼太「あ、おばちゃん、酒太りしたぁ?(笑)」

梅子「いやだわ、涼太ちゃんてば(笑)」

大島幸子(image松井玲奈)「ゲッ?(銀縁眼鏡婆ぁじゃん‼)・・・」

藪沢梅子「・・・・げ?( ̄ー ̄)」

大島幸子「あ、いえ・・・何も(^^;(やぁばっ‼)」

幸子と藪沢がにらみ会うが、
司会者が、藪沢を登壇するように促す。

藪沢梅子「今回の新人小説家デビューコンテストは、単なるマスメディア向けの、話題作りでぇわなぁくぅ~、今日の日本の活字場馴れを、私は、深く深く憂いて・・・」

しらける参加者達。

司会者「あの、先生?・・・・恐れ入りますが、発表の方を・・・」

藪沢梅子「あによぉ~、これからだっつうのにっ‼(怒)」

ごそごそと、小豆色のビジネススーツのうちポケットより、茶封筒を取り出す、藪沢。

幸子「涼太?・・・あのババア、知り合い?」

涼太「うん、鎌倉のおばさんだよ。(笑)」

幸子「・・・・えっ?(笑;)」

わざとらしい咳払いをして、茶封筒から、一枚の紙を取り出すと、もう一度、咳払いをする藪沢。

藪沢「最優秀賞は・・・・」

生伴奏の、ドラムロールが鳴り響く

息を呑む、幸子と涼太。

藪沢「smile again・・・大島幸子さんっ‼」

幸子「は?・・・・うそっ?・・・・」

司会者「大島幸子さん、いらっしゃいましたら、ご登壇願いまーす。(笑)」

脳内呆然の幸子。

幸子「(○◇○;)ぽかーん。」

涼太「ねぇちゃん?・・・・ねぇちゃんッ‼」

幸子「(○_○)!!・・・・涼太?・・・・これって、できレースじゃないよね?(疑心暗鬼+猜疑心全開!)」

涼太「僕のおばさん、藪沢梅子は、昔、鎌倉の読女と呼ばれてたんだよ。・・・・僕のために、小細工はしないよ。(笑)」

司会者に促され、登壇する幸子。アシスタントに手渡された賞状を、幸子に渡す時に、ぼそっと呟く藪沢梅子

梅子「この女狐・・・」

幸子「え?」

梅子「涼太ちゃんを渡すもんか‼」

幸子「・・・(なんでぇーっ?)」

幸子:こうして私は、うだつの上がらなかった人生を、涼太の力を借りて、小説家として、軌道修正した・・・。

でも・・・

涼太に想いを告げるチャンスが、遠退いた気がするなぁ・・・


(終わり)