空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家の作品を公開しています。

⑧(終)ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

最終回
 好きやねん

#地上

白昼、次々と道端に転がる男達。

それを見ていた、ある女性が、

突然昏睡になり、
寝込んだ、連れの男性を、
必死に揺さぶり起こす。

女性
「ねぇ、起きてよっ!・・・・どうして、いきなりっ!」

幻魔・ケセランパサラン(image・ブルゾンちえみ)「あーっははははは・・・クズな男達は、みーんな、見果てぬ夢に溺れていけばいい。(笑)」

何かを振り撒きながら、街中を練り歩く幻魔。

そして、夢遊病のように、フラフラと幻魔の後を歩く男達。

それはまるで、ハーメルン魔笛のよう・・・。

その後を追う、もう一人の関西天使。

関西天使 ふうちゃん(image矢倉風子fromNMB48)
「なんかアイツ早い・・・、歩いてるはずやのに、なんかスポーツカー並みや・・・」

幻魔ケセランパサランは、しつこく追いかけてくる天使を振り払うために、背高のブリキ男達に顎で合図を送る。

ふうちゃん
「な、なにっ?」

ふぅちゃんの前後に、立ち塞がる男達。

錻男①
ケセランパサラン様の邪魔する奴は・・・」

両脇に刺した長剣を抜く錻男①

錻男②が背後で、2丁拳銃を構える。

錻男②
「絶対に、倒す!」

関西天使が居直り、
視界を広く取るため、

錻男たちが見えるように、
何気に横を向き、

腕を組ながら、仁王立ちする。

関西天使・ふぅちゃん
「へーっ、兄ちゃんたち、ガチでウチと、ケンカするん?(笑)( ̄▽ ̄) 」

錻男①
「当たり前だ‼」

挟み込むように、
天使に向かって、
長剣をスライドさせるが、

ふぅちゃんは、
タイミングよく、
長剣の先端に飛び乗った。

ふぅちゃん
「あかんやん?(笑)( ̄▽ ̄)」

ふぅちゃんが、錻男②に背中を向けた瞬間、発砲音が響く

一発目は、
背後から右ほほを掠め、

二発目は、左脇の下を間一髪で掠めた。

ふぅちゃん
「うちな、もともと人間やってん・・・ダンス好きで、音感は半端ないねん(笑)( ̄▽ ̄)」

錻男の長剣が、再び左右に拡げるようにスライドする瞬間、トランポリンのように飛び上がるふぅちゃん。

関西天使・ふぅちゃん
「よっ!(笑)( ̄▽ ̄) 」

着地し向かい合う、天使と錻男達。

錻男①「アタック!」

突然、掛け声を1つ上げ、
長剣を持った左右の腕を、
ブンブン交差させたりして振り回しながら、

ふぅちゃんに迫ったり離れたりしてる。

ふぅちゃんは、ジタンダを踏む。

ふぅちゃん
「もおっ!なんやねんなぁっ!来んならコイや!」

錻男②「なら、そうするよ。」

突然放たれた、鈍い銃声

ふぅちゃんの眉間の寸でで、誰かが、
ふぅちゃんの目の前に立ち、左手で、
瞬時に、銀の弾丸を握り潰した。

ふぅちゃん
「さ、さや姉❗」

関西天使・さや姉
「またせたなぁ?ふぅちゃん(笑)( ̄▽ ̄) 」

さや姉の姿(けはい)を感じ、振り向く、

幻魔・ケセランパサラン

ケセランパサラン
「あら、消滅しなかったのね?(笑)」

ケセランパサランが、
瞬間移動した時には既に、

さや姉と ふうちゃんが、
刑事ドラマのように、
錻男達を取り押さえていた。

さや姉「どや?(笑)( ̄▽ ̄) 」

ふぅちゃん
「うちらはな、
ガチでやらへんでも、

さや姉が居れば、
お茶の子さいさいやねん!(笑) 」

ちょっと寂しげな表情を浮かべた、さや姉。

ふぅちゃん「さや姉?・・・どないしたん⁉」

さや姉「ん?・・・いや、ナンでもないねん。」

古びたフランス人形の廻りに、複数の薔薇のつたが蠢く、ケセランパサラン

幻魔・ケセランパサラン
「ねぇ、あなた達が抑えてるのって、誰?(笑)」

ふぅちゃん
「そんなん決まってる・・・ん?」

さや姉
「くるみ割り・・・💂人形⁉」

天使達が抑えていたのは、
バッキンガム宮殿を護る、
衛兵の形をした、

くるみ割り人形だった。

ケセランパサラン
「キャリアウーマン、らしくはないわね?(笑)」

ケセランパサランは、複数の薔薇のつたを伸ばし、ふぅちゃんを捕らえて、高く掲げた。

さや姉「ちょ、・・・なにすんや!」

ケセランパサラン
「ねぇ、勝負しない?」

捕らえたふぅちゃんの背後に、もう一人、拘束されたまま、誰かが高く掲げられた。

さや姉「うわ、おっさんっ!」

死にぞこなった男は、生命力を吸われ、かなり窶れている。

さや姉「勝負ってなんや!」

焦らしトークの幻魔。

ケセランパサラン
「キャリアウーマン?・・・貴女も、天使の端くれなら、ちゃんと答えられるわよね?」

さや姉「答え次第で、なにする気や?!」

さや姉の、瞬時の怒りに反応した妖刀・虎鉄が、ゆっくりと鈍った光を放ち出す。

さや姉は、刀から発する妖気に囚われかけている。

さや姉「き、(斬りたいっ・・・コイツから、ごっつう、血を出してみたい・・・)・・・・」

さや姉の後で囁く、姿なき界王

姿なき界王
「怒るは、地獄ですよ。」

妖気に苦しむ さや姉

さや姉「だったら、こんな刀持たすなやっ!」

幻魔には、界王の姿は見えない。

ケセランパサラン
「あら、情緒不安定ね?(笑)」

叫ぶ、ふぅちゃん。

ふぅちゃん
「もう、このおっさん死んどるから、うちを助けてぇ~!」

昏睡状態なのか?、死にかけた男は、うつ向いたままだ。

さや姉
「どするぅ?・・・。どないしょ・・・(めっちゃイライラする。なんでや?)」

ケセランパサラン
「さぁ、答えて頂戴!(笑)・・・天使がぁ、護りたいのは・・・仲間の命か?・・・」

ふぅちゃん
「さや姉❗」

ケセランパサラン
「死に行く、人間達か?・・・・」

妖刀・虎鉄に意識を奪われているのか、天使の形相が、次第に険しくなる・・・・。

ケセランパサラン
「さぁ、答えよ!」

虎鉄の刃が、ケセランパサラン本体の、フランス人形の胸部に突き刺さる!

ケセランパサラン
「なっ!、なにぃ?・・・・」

さや姉の脳裏に、誰かの思い出が飛び込む。

#回想・アンティークショップ

今より美しかった、
フランス人形を中心に、
両脇には近衛兵の姿をした、くるみ割り人形が、
まるでフランス人形を護るように、
ショーケースに佇んでいる。


フランス人形(ケセランパサランの本体)「私は、愛されたかった。・・・・ずっと、ずっと、誰かの側に居たかった。・・・・」

#第一次世界大戦

飛び交う戦闘機、爆撃で焼き付くされる町並み。

店主だろうか?亡くなった老人が庇うように、フランス人形と近衛兵の人形が護られていた。

フランス人形
「ただ、それだけだった。」

時は流れ、数年前、町内会のバザーに出品される人形達。

フランス人形
「私のからだが、古ぼけて行くたびに、拾われても、金と引き換えに棄てられる始末・・・」

さや姉「なんや・・・なんか、おっさんと似てるやん・・・・」

フランス人形
「そう、あの男も、私を捨てたの・・・・」

さや姉「え?」

#(回想)数年後、バザー会場

キャバ嬢と死にかけた男は、日中からへべれけでバザーに現れた。

さや姉「何しとんねん!やっすい女(スケ)つれ回しとって!」

だらだらっと、死にかけた男に甘えるキャバ嬢。

キャバ嬢
「ねぇーえー、フランス人形ちょーだーい?(笑)( ̄▽ ̄)」

死にかけた男
「え?、なにすんの?」

キャバ嬢
「おにぃちゃんが遊びに来ないからぁ~、となりでぇ、ねんねすんのぉ~キャハハ。」

死にかけた男は、何処かで拾った財布から、札束を取り出して封を切り、フランス人形を買った。

さや姉「あんのボケぇ!」

数日後、死にかけた男は、キャバ嬢にフラれた腹いせに、同居してた部屋に、残されたフランス人形を、リサイクルショップへ売ってしまった。

雨が降るなか、寂しそうに野外に置き去りにされる、フランス人形。

フランス人形
「その時私は誓ったの・・・この国の男を食い潰すっ・・・・てねっ?(笑)( ̄▽ ̄)」

闇夜の曇り空の隙間から、

一筋の光が、
人形達に降り注ぐと、

フランス人形達は、人間に成った。

#回想 が終わり、
ケセランパサランの体での一部である、

薔薇のつた達が、
一斉に枯れ始め、

幻魔の体から、
ひかりの欠片達が、
上空に立ち上ぼり出した。

さや姉
「あんたも、寂しかったんやね・・・・?」

フランス人形
「こんど生まれ変わるなら・・・・あなたのような、天使に、なりたい・・・・。」

一瞬、ストロボを焚いたような光が弾けると、フランス人形は、バラバラに成った。

ふぅちゃん
「なんか・・・、なんかしれへんけど・・・切ない・・・・。」

深いため息を、夜空を見上げながら、1つつくさや姉。

さや姉「なぁ、ふぅちゃん?」

ふぅちゃん「なにぃ?改まって(*´ω`*)・・・」

さや姉「うちな、冥界に堕ちてん・・・・」

目を覚ます、死にかけた男。

死にかけた男。(image斎藤工)「あ。・・・?」

困った表情で仁王立ちする、さや姉

さや姉「あ?・・・や、あらへんやろっ?(笑)( ̄▽ ̄)・・・てゆうかあんた、もいっぺん死んだ方がええんちゃう?・・・ごりっごりに痩せとんやから( ̄▽ ̄)このまま。ジャストなうやで(笑)」

ふぅちゃん「さ、さや姉?」

死にかけた男に詰め寄るさや姉

さや姉「しっかし、ホンマあんたな、思い遣り・・・無さすぎや。」

死にかけた男
「え、あの・・・なんかすみません。」

さや姉「あんな?、あんたを苦しめとんのは、ホンマはあんたや。・・・・寂しがりで、立ち回りが下手なのは、よう解ったけど・・・・」

体の消滅が始まる、さや姉。

ふぅちゃん「さや姉っ?」

さや姉「え、?・・・なんでや?、まだ思いを告げてへんのに?」

ふぅちゃん「さや姉、冥界に堕ちたって・・・うそやろ?」

死にかけた男
「あの・・・また、話が遠いんですけど?」

死にかけた男の言葉に、いい加減頭に来た、関西天使・ふぅちゃん。

ふぅちゃん
「はぁ?(怒)・・・

あんた、
何ゆうてんや?・・・・

あんたの為に、
天上界の務めをなげうって、

冥界に堕ちたために、
天使の座を捨てざるを得なかったんやで‼

ほんま解っとんのかっ?!」

今にも食い付きそうな、ふぅちゃんを止めるさや姉。

さや姉
「あかんっ、ふぅちゃん。ルールはルールや。」

さや姉の下半身は、既に消滅している

ふぅちゃん
「さや姉!」

さや姉
「これはうちの運命や。・・・でもうちは、後悔してへん。おっさんには、やきもき?させられたけどな?・・・これも所願満足や(笑)」

死にかけた男は、消滅しかけた、さや姉に詰め寄る

死にかけた男
「ちょっとまってくれ‼、私はまだ、まだ貴女に、聞いてもらいたいことがあるんだ‼・・・・頼む、行かないでくれ‼」

さや姉がふぅちゃんに、何かを伝えた。

ふぅちゃん
「うちには無理や!・・・さや姉から、なんも引き継ぎしてへんのにっ!」

・・・・・・・

#回想・死にかけた男

あれは・・・・
夢だったのか?

神も仏も信じない、
私の目の前に、

舞い降りたセゾン・・・・

彼女は、ちっぽけな私に、何を伝えたかったのだろうか?

#回想が明け・目覚ましの音

死にかけた男が、目覚ましの音を止めると、間髪なしに、

関西弁の女性が、フライパンとお玉で、ガンガン叩きながら、男を起こす。

女性
「おいっ!樫見屋新太郎‼、遅刻すんでっ!」

死にかけた男(樫見屋新太郎・image斎藤工
「え?、なんで君が・・・ここにいるの?」

満面の笑みを浮かべるさや姉。


(おわり)