空想携帯小説家(20120708)'s blog9875321

空想携帯小説家(山本 繁一)の作品を公開しています。

#5 天使セシル

好きと言う、気持ちを捨てたのは、

君が悪い訳じゃなくて、

未来を、君と紡ぐことが出来ないと、確信を持ってしまったから・・・・

君には選択肢(みらい)がある。

光指す場所を離れようが、

暗闇の中を、今も模索し続けようが、

必ず、未来がある。


#5 棄てられたもの

(真夜中、ベランダから、桜が散る公園を眺める天使。)


天使セシル
「・・・・(ため息)」

(歯ブラシをくわえながら、セシルに声をかけるメル。)

天使メル
「てち子ちゃん、どうしたの?」

(てち子)セシル
「ぼくは、このまま・・・地上にいてていいのかな?」

(リビングの流しで口をゆすぎ、近くにある、タオルで口をふきながら、答えるメル。)

メル
「なーにを今更、どしたの?暇があれば、

ため息か、
不安ばっかじゃん?」

セシル
「・・・・・・」

(メルは、セシルが見ている公園の桜に、視線をおとす。)

メル
「まあね、うちら・・・・元人間でも、感覚が違うから・・・うん。・・・・」wakaruyoo

セシル
「違うんです。・・・・ぼくが、(おじさんへの)想いを伝えたのに、(おじさん)・・・なんにも、答えてくれない・・・・」

メル「(ガチだ・・・この子。)うーむ・・・・でもさぁ、うちらの居る、

元々、この空間は、

本来の流れじゃないのは、
わかるよねぇ?」


セシル「わかってます。
無意識とはいえ、おじさんに会いたい一心で、

空間をねじ曲げてしまったのは、事実だし・・・

これから、
どうすればいいかも分からないし・・・・」

メル「んで、冥府の騎士(アポロガイスト)の攻撃をくらい、なんとか追いやったけど、実は、(空間を戻そうとする)ラスボスが居るんだよ・・・」

セシル「ラスボス?」

メル「そ、私を追っ掛けてきた、とんでもなく、デカイ・・・闇・・・・・。

そんで、はっきしさせないといけないのが、

本多のおっさんが、
マジで、魔属の血を組んでるかもしれないってこと。」

セシル「メルさん。もし、ぼくが曲げた空間を、戻せたら、どうなるのかな?・・・・・だれとも、戦わなくてすむのかな?」

メル「それは、本多のおっさんが、魔属(カルキ)って前提?・・・・」

(メルに顔を向け、頷くセシル。)

メル「それはないよ。」

セシル「え。」

メル「うちらが居る空間(じかん)は、

こしゃこしゃになった、
毛糸の玉みたいなもので、

そのほつれた毛糸(時間)を、

今、無理して引っ張れば、

反って戻せなくなるよ。・・・・・って、聞いてる?

てち子ちゃん(笑)」

(セシルは再び、桜散る、夜の公園に、視線を向けると、ポツンと、ネオンライトのような明かりが見える。)

メル「ありゃ?・・・最近の人間界は、真夜中の花見をすんのかな?」

(セシルが、目を細めてみると、灯りのまわりに、数人の人影が倒れている。)

メル「ちょっと降りてみようか?」

(二人の天使は、音をたてないように翼を広げ、公園に舞い降りた。)

全身に、電気製品や機械を纏う男。(image宇梶剛士
「天使・・・か?」

(向かい合う天使と男。)

メル「ダメっ・・・亡くなってる。」

(倒れている男の、首筋の脈を図るが、反応がないことに、気落ちするメル。)

セシル「これは、貴方の仕業?・・・」

全身に電気製品や機械を纏う男。「だとしたら、何だっていうんだ?」

倒れている女性の顔に、自らの足を、グリグリ押し付ける男。

全身に電気製品や機械を纏う男。「この女のせいで、窃盗犯の濡れ衣を着せられ、職場を追われた・・・・」

(男。は、踏みつけてた女性の頭を、蹴飛ばすと、何かが折れる、鈍い音がした。そして右側で、男。に背を向けたまま倒れた男の後頭部に指を指す。)

男。「で、こいつは、職場の問題を、もみ消した奴。」

(男。の人差し指から、熱線が出た瞬間、セシルの両手が、男。の手を包んだ。)

セシル「こんなこと・・・こんなことしたって、答えなんか・・・ないっ。」

メル「セシルっ‼」

(メルは、セシルの両手を取り上げ、ゆっくり開くと、熱線で爛れた、手のひらが現れた。)


全身に電気製品や機械を纏う男。「俺の名は、キングジョー。棄てられた物達の憤りの塊。」

セシル「棄てられた・・・もの・・・・」

(何処で、モーターを回す音がし出した。)

キングジョー(image宇梶剛士)「棄てられたものの、拭えぬ苦しみ・・・お前達に何がわかる?」

キングジョーと言う男の背中から、垂直にチェーンソー2機が飛び出し、刃先がまっ逆さまに、セシルの頭上を目掛けて落ちてきた。

キングジョー
「消えろ。」

メル
「てち子(セシル)ちゃん上っ‼」

セシルは身動きするどころか、キングジョーの目線をとらえている。

キングジョー「?」

2機のチェーンソーは、セシルの身体すれすれにかすめ、アスファルトを突き刺した。

キングジョー「たいした玉だな?」

セシル
「元人間の貴方なら、一瞬の迷いが出るって、信じてた。・・・・」

発狂する、キングジョーは、セシルに向かって飛び掛かる。

セシルはわざと腰を落として、キングジョーの体当たりを避ける。

キングジョー「甘いな?(笑)」

キングジョーは、前転飛びをしながら、突き刺さる2機のチェーンソーを抜き、セシルの背後に立つ。

セシルは、キングジョーに背を向けながら、語り出す。

セシル「僕だって、ほんとは、(天上界に)棄てられたんだと思う。・・・最初から、わかってたことだけど・・・」

メル「セシル!」

回転数を上げ、唸りを上げる、キングジョーのチェーンソー。


セシル「メルさん、手を出さないで‼」

メル「でもっ・・・」

巡回中の、数台のパトカーが、静かに近ずいてくる。

キングジョー「俺の悲しみが、わかると、いいたいのか?(笑)」

うつ向きながら、小さく首を降るセシル。


セシル「僕は、そんなに感受性は、強くない。」

キングジョー「てめぇ舐めてんのか‼」

セシルの両腕を、背後から、キングジョーのチェーンソーが降り下ろされる。

セシルは、光の弓を取りだし、振り向き様に、2機のチェーンソーの刃先を受け止める。

キングジョーの背後で、光の弓をかまえ、いぬこうとするメル。

メル「ごめん。うちら、人間(あんた)に構ってる暇ないの・・・・」

ヘラ笑いするキングジョー

キングジョー「人間が、天使の姿を見たら、(どのみち)一週間後に、死ぬんだろ?(笑)・・・殺れよ。・・・廃材(こいつら)と死ねるなら、何も恐かない。」

セシル
「辛かったんだね?・・・でも、そこまで開き直る強さがあるなら、やり直せるよ。」

パトカー数台から、警察官達が降りてくる。

そのなかに、セシルの記憶の中にいた男が居る。

天神
「やぁ、セシル(笑)」

セシル
「天神・・・」

再生・アポロガイスト
「おぢょうちゃーん(笑)」

メル「アポロガイスト?・・・(やっぱ、生きてた。)」

キングジョーは、数人の警察官達に押さえつけられている。

天神「折角、空間をねじ曲げたのに、時間切れだね?(笑)」

夜空に深い雨雲が敷き渡る。