空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家の作品を公開しています。

「フィヨルドの恋人」 水曜どうでしょう❌空想携帯小説家

cast

放浪のカメラマン・鈴井
・・・・・・・鈴井 貴之

鈴井の妻/謎の女性 ・" ムンク "
・・・・・・・藤田 朋子

編集長・藤村
・・・・・・・藤村忠寿

副編集長・嬉野
・・・・・・・嬉野雅道

鈴井の後輩・大泉
・・・・・・・・大泉 洋

原案・題材、
水曜どうでしょう
北海道テレビHTB

「ヨーロッパ・リベンジ」より

フィクションストーリーアレンジ・
空想携帯小説家

scene
前奏曲

春近き2月・・・・

街は少しづつ、
ゆっくりと、

明るく色づき出してきたのに・・・・

(週刊紙編集室・・・

鈴井の写真を見て、
業を煮やし、

怒りに任せて、
スリッパの片方を、

鈴井に、
思いっきり投げ付ける、編集長・藤村)

編集長・藤村
「バカ野郎‼・・・

ぬぁんで、
たけぇカメラ使って、

こんなシケタ写真ばっかり、上げてんだぁ?・・・

金になんねぇだろっ❗」

(苦い顔をしたまま、うつ向く鈴井)

鈴井「僕の写真は、事実を伝えているんです。」

藤村
「あーっ、

くだらねぇ~っ‼・・・・、

まぁだ、
アイドル達の、

男漁りの瞬間(スキャンダル)のほうが、

よっぽど、金になったなぁ~っ‼(苦笑い)」


(専用の椅子に、どすんと座り、飽きれがおで、両腕を上げながら、あくびをする、藤村。)

鈴井「変ですか?」

(鈴井の顔を、下から覗き込むように睨む、藤村)

藤村「あ?・・・

なぁに?・・・

俺にいってんの?(笑)・・・・

今なぁ、鈴井ぃ~っ・・・

御上から、
いわれてんだっ。

・・・・現実(リアル)から、目をそらせるようにな(笑)。」

(遠くのデスクから、鈴井と藤村を、心配そうに、見つめている嬉野)

藤村「ところで、スリーエスってしってるか?鈴井?」

鈴井「コンビニ?・・・いや、服の・・・?」

(藤村のデスクに近付く、嬉野。)

副編集長・嬉野「鈴井くぅん、スリーエスっていのは、スクリーン(映画)、スポーツ、セックス(性産業、風俗)の事を言って、大衆先導になってるんだよ。」

鈴井「大衆先導・・・・」

藤村「あぁ、

かつてのダッコちゃん人形だって、

パンダだって、

ルーズソックスだって、

俺ら(出版業界)が、
流行らせたんだ。(笑)・・・・

そこら辺の、下手(のーたりん)な政治家より、

俺らの方が、

よっぽど、
ましだぜ。(笑)」

(・・・・その時、鈴井は、決意した。)

鈴井「もういいです。僕がしたいのは、大衆先導じゃない。」

藤村「はぁっ⁉なにがだぁ!・・・・現実を知らされたら、市民は何もしなくなるだろ?・・・そしたら・・・・」

(辞表を差し出す、鈴井。)

嬉野「まぁ、まあ、藤村君も、血筋を上げないで、ねっ・・」

(藤村達に目を向けず、スタスタと、その場を後にする鈴井。

・・・一方、地方へ取材にいくために、車に機材を詰め込む、大泉。)

鈴井の後輩・大泉
「あ、鈴井さん、地方取材に行きますよ!(笑)」

(伏し目がちに、早口で別れを告げる鈴井。)


鈴井「僕はもう、雑誌社(ここ)へは来ない。」

大泉「えっ?・・・・はぁっ?・・・ちょ、すすす、鈴井さぁん!」

(鈴井の後を追い、大泉に制止を促す、嬉野。)

嬉野「ちょっと、大泉くぅん、鈴井さんを止めなさいよっ!」

大泉「止めなさいよって言われても、スタコラ行っちゃったじゃないのっ‼」

(大泉、駐車場内のママチャリで、鈴井の後を追う。)

大泉「鈴井さん、仕事をほっぽりだして、どこ行くんですか?」

鈴井「フィヨルド・・・」

大泉「は?」

鈴井「妻と想いでの、フィヨルドへ行く・・・。おまえは、着いてくるな。」

大泉「鈴井さん、編集長と何かトラブったんですか?」

鈴井「意見が合わないから、殴る前に辞めたんだ。

・・・・大泉君、君は、

世の中が嘘まみれでも、生きていたいかい?」

大泉「鈴井さん、何を突拍子の無いことを・・・・」

鈴井「真実を知るのは、ツラいよ・・・・

でも、乗り越えていくためには、知るしかないんだよ!」

(ヨーロッパへ旅立つ飛行機のなか、

鈴井は、景色を眺めながら、妻との想い出を振り返る。)

(回想)
鈴井:僕が、あの時・・・

君を止めていたら・・・

(食器が壁にぶつけられ、粉々になる音が、数回続く、新築の一軒家。)

鈴井「やっ、止めないかっ‼」

妻(藤田朋子)「じょーだんぢゃないわよっ‼・・・

いつまでも、゛釣った魚 ゛に、餌をやらない奴に、

何がわかんのよぉ!」

鈴井「僕はカメラマンを生業としてるから、仕方ないじゃないかっ‼」

(食器を掴みながら、夫の鈴井に食って掛かる妻。)


「貴方は、戦場カメラマンじゃないのぉっ‼・・・

普通のカメラマンなのっ‼・・・・

それがっ・・・・
それが、なんで原発事故のあった、

港町に行くのよぉ!おかしくない?」

(うつ向きながら、反論する鈴井)

鈴井「僕は、現場が、戦場であれ、ジャングルであれ、・・・・それが、原発事故の、港町だったとしても、真実を遺したい。人の営み、町並み、子供たちの笑い声・・・・」

(鼻で笑う妻)

妻「は?・・・そんなんで、食べていくの?今後も?この先も?」

(妻の前で、静かに正座する鈴井)

鈴井「生活が成り立ってないのは、ほんと、申し訳ないっ‼」

(荷物が詰まった、
キャリーバックを、二階から音をたてながら、引き摺り降ろす妻。)

鈴井「ちょっ・・・どこいくんだいっ‼」

(玄関の扉前、出ていく妻の右肩を掴みながら、自分に振り向かせる、鈴井。)

妻「十年目の新婚旅行。」

(妻は、鈴井と目を合わせること無く、自宅を後にした。)

(回想、飛行機の客席なかの鈴井。)

鈴井・いまも、あの時の失敗は、僕の中の思い出(トラウマ)さ・・・・