空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家の作品を公開しています。

(後編)日テレドラマ❎空想携帯小説家「恋のバカンス~it's a Heartful comedy?」

(後編)
(渋谷のライブハウスから、駆け付けた萌琉、玉緒、小野寺太一、そして、ボーイフレンドの孝。

そして、薄暗い病室に、酸素マスクをつけた、萌琉の母である、晶が、目の前に横たわっている。)

黛萌琉
「あ、あのっ・・・マッ(あ、違っ。)・・・母の具合は・・・」

(問われた担当医は、キョトンとした顔で、晶の姉である玉緒に視線を向けた。

玉緒は、必死に首を横に降り、言いたくなさげだ。

そして萌琉たちの向かい合わせには、勘九郎達が、晶の様子を伺っている。)

勘九郎
「・・・・」

(死しても何時もは、口数の多い勘九郎だったが・・・)

中村金次郎
「黛君。・・・・だいじょぶだ。・・・・晶は、(病に)負けんさ。(笑)」

(わかりやすく強がる勘九郎。)

勘九郎
「ハァッ(笑)。そんなん解ってまんがな、あの女が、そんな容易くくたばりまっかいなぁーっ(笑)」

(真顔で言葉をつまらせる、金次郎)

中村金次郎
「・・・・・」

勘九郎「・・・・すんまへん。」

(突然誰かが、勘九郎の背中を叩く、いや、どつく。)

勘九郎「なんや・・・いま、取り込み中や・・・」

(だんだん背中を叩く力が強くなる)

勘九郎「やかましなぁーっ‼誰やっ‼・・・って、ありゃりぁっ?↗️」

(両手を、仁王立ちのように腰に手を回してる晶 )

黛(旧姓・中村)晶
「しっ‼・・・それは、こっちがしりたいわょぉぉぉ‼・・・」

(なぜか、小声になる晶。)

勘九郎「晶おま、だいじょぶなんか?身体?」

晶「・・・数ヵ月前にね、お医者さんにいったら、子宮筋腫だって。」

勘九郎「悪性なんか?」

晶「さぁ?。来月検査入院することになってたんだけど、このザマ。(笑)・・・・

てゆうか、
なんで、勘九郎(あなた)がこんなとこ、彷徨いてんのよぉっ‼」

勘九郎
「知らんがな!

なぁ、おとうはんっ?(笑)・・・うぅわ、ありゃりゃぁ~」

(笑顔で、背後にいると思っていた金次郎に、愛想を振り撒きかけた勘九郎だが・・・)

閻魔大王(image大竹しのぶ
「黛勘九郎っ‼・・・」

勘九郎
「は?・・・あれっ?おとーはんっ?」

(閻魔の顔を見ないように、金次郎の姿を探す勘九郎。)

晶「ちょっと、勘九郎‼」

勘九郎の右耳を吊り上げる晶。)

晶「あーんたが、あんなつまんない死に方してから、一人で、大変だったんだからっ!」

(左耳を吊り上げる、もう一人。)

閻魔大王
「黛勘九郎。・・・もう、年貢の納め時だ❗」

勘九郎「いたたたたっ‼・・・俺は、スポック星人かっ?!・・・二人とも、ちょと待ってくれっ!。・・・

晶‼・・・晶は、このままでええんか?」

晶「なにがよっ?」

勘九郎「かっわいい、一人娘が、路頭に迷うんやどっ?」


(ライブハウスから駆け付けた、黛萌琉達だったが、数時間経ち、気が付けば孝と、二人っきりで、晶の様態を見守っていた。)

黛萌琉
「私のせいだ・・・」

孝「は?・・・なにいってんだよ?。」

萌琉
「おまけに、今日のライブだって、作詞が間に合わなかったし・・・」

孝「小野寺オーナーには、黛のおかげで、(退去を)待ってもらってる。」

萌琉「それは、オーナーが、勘九郎(親父)の旧友(ダチ)だっただけで・・・・」

(花びんに、華をいけて、病室に戻ってきた小野寺太一)

小野寺太一
「萌琉ちゃん、ゆうたかな?・・・それは、ちゃうで。」

(花瓶にいけた華を、そっと晶の枕元に置くと、

鞄のなかにしまっていた、
タブレットから、高校生時代の萌琉が、作詞部門で最優秀賞をとった記事を検索して、萌琉に見せる太一。)


萌琉「・・・」

小野寺「おっちゃんな、確かに、先輩後輩の仲やったけど、萌琉ちゃんがうまれとったこと、ぜんっぜん知らんかった。」

(突然ボケる萌琉)

萌琉「て、事は、私っ・・・誰かの隠し子っ?」

孝&小野寺太一
「て、なんでよっ‼」

(困惑ぎみだが、ケラケラ笑う、太一)


小野寺太一
「ほんま、ゴリッゴリに、先輩の娘やなぁ~(笑)」

(何か安心したのか、堰を切ったように、うつ向きながら呟く萌琉)

萌琉「私、なにやっても、続かなかった。・・・

高校通っても、

マジ友は、
一人も出来なかったから、

バスケとか、

書道とか、

腕をあげて、
誰かに、認めてほしかった。・・・

空気みたいに生きてるのが、
息苦しくて、息苦しくて、堪らなかった。・・・

家に帰れば、将来のことを詰問されてばかりで、

何をどうしたらいいか、解んなくて・・・」

(瞳に涙を溜め、今にも泣き出しそうな芽琉に・・・)

孝「おいで。ハグしてやるよ。」

(いてもたまらない芽琉は、孝の胸に飛び込み、その胸で、声を殺すように泣く芽琉。)

孝「俺は、黛のそばにいっから・・・・
本命じゃなくても、いい。

お前の親父さんの、
真似事が、させてもらえればいい。

・・・ただ、それだけでいい。」

金次郎「いまどき、珍しい青年ですな・・・」

勘九郎「ほんまでんな。」

(深夜。病室の外で、ライブ用の作詞をする芽琉。)

(回想)
「世間知らずだった少年時代から」

晶にひっぱられ、桜の花びらが舞う、小雨混じりの、小学校の門をくぐる芽琉。

「自分だけを信じてきたけど」

高校時代、当時の親友に裏切られ、

どしゃ降りのなか、
交差点で泣きながら、立ちつくす芽琉。

「心ある人の、支えの中で、
何とか生きてる、現在の僕で」

就活しながらも、
作詞家の夢が捨てられず、

東奔西走を繰り返す芽琉。


「弱音さらしたり グチをこぼしたり

他人の傷みを 見て見ないふりをして」

将来を心配する晶に、
愚痴をこぼしたり、

晶が時折具合悪いのを知りながら、自室にこもる芽琉。

「幸せすぎて大切な事が
解りづらくなった 今だから」

漸く、大手商社の採用が決まり、ホームパーティーの中で、喜びを分かち合う芽琉。


「歌う言葉さえも見つからぬまま、

時間に追われ途方に暮れる」

そして今、晶が緊急入院して、動転する芽琉。

「愛すべき人よ 君も同じように
苦しみに似た 想いを抱いてるの」

就職先で、
使えないやつと苛められ、

女子トイレの中で、
ガラホの待ち受けの、
勘九郎の写真を見つめて、

無言の助けを求める芽琉。

「STAY

何を犠牲にしても 守るべきものがあるとして」

せっかくの就職先を辞め、
作詞家の道を、模索し始める芽琉。


「僕にとって今君が それにあたると思うんだよ」

渋谷のライブハウスで働く、孝と出逢う芽琉。


「夢追い人は、旅路の果てで、
一体何を、手にするんだろう」

ウエディングドレスで、

砂浜を歩いてるなか、

熊のぬいぐるみを、

両手で救い上げるが、

すべて芽琉の指先から、

すべてが、零れ落ちて行く・・・


「嘘や矛盾を両手に抱え

『それも人だよ』と悟れるの?」

真夜中に帰宅する、両手にコンビニの袋を抱えた、勘九郎を問い詰める晶。

襖からちょこっと顔をだし、二人の口喧嘩を見ている、幼少の萌琉。

「愛すべき人よ 君に会いたい

例えばこれが 恋とは違くても」

勘九郎の墓前で、手を合わせながら、何かの思いをぶつける萌琉。



「STAY

僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て

君は新しいドアを 開けて進めばいいんだよ」

渋谷のライブハウス。

萌琉の作詞の曲を、
丁寧に歌って行く孝。

その曲の間奏に、舞台袖から、エレキギターを奏でながら、壇上する萌琉。

(萌琉が演奏する、エレキギターをみて、絶句する勘九郎。)

勘九郎
「あれ、ワシの大事にしとった、デニムのずぼんやないかいっ!あんの、バカ娘!ズタズタに切り裂いて、ギターに貼り付けおってからに!」

(舞台に飛び出そうとする、勘九郎の肩を掴む晶。)

晶「あたしが、萌琉に言っとくから。」

(薄い光の粒達が、晶を飲み込んでいく)

勘九郎「まぁ、たの・・・・むわ。」

(勘九郎が、背後を振り向くと同時に、微笑みを残しながら、消えて行く晶。)


勘九郎「晶・・・・」



「STAY

何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして

それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして

自分を犠牲にしても いつでも

守るべきものは ただ一つ

君なんだよ

いつでも 君なんだよ 。」

(曲が終わり、ライブハウスは、大盛況で幕を閉じた。

翌朝、二日酔いで、ベッドのなかでモゾモゾしている萌琉。)

中村玉緒(晶の実姉)「でも良かったわね?、単なる貧血で。(あきれ顔)」

黛 晶(旧姓・中村)
「まー、よかったんだか、悪かったんだか(笑)」

(晶と玉緒が、朝食の支度をしている二階では・・)

勘九郎「ワシのお気にのデニムを、ギターに貼り付けよって!」

(勘九郎から、エレキギターを取り上げ、デニムの張り付き具合を見てる、中村金次郎)

金次郎「ほぅ、なかなか器用な仕上がりじゃないか?・・・」

勘九郎「そぅでっしゃろ?(笑)」

金次郎「さて、どっちに似たのやら(笑)」

(可愛く くしゃみする晶)

玉緒「あら、風邪?」

晶「ううん、なんか、・・・・勘九郎(あいつ)かな?」

(大きいくしゃみをする、勘九郎に驚き、ベッドから転げ落ちる萌琉。)

勘九郎「大丈夫か?萌琉?」

(頭に被ったシーツを取ると、目の前に、亡くなった、勘九郎の笑顔が)

萌琉「うそ・・・-」

勘九郎「ワシや(笑)。」


萌琉「出っ歯・・・・(笑)」


勘九郎「なんでや!(笑)」


(勘九郎には、上から聞きなれた声がする)


閻魔大王「黛勘九郎!」


勘九郎「はあい(笑)・・・、わ!」



(終わり)