空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

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18 クリスマス企画小説(後)

Another songs(後編)

サンタクロースのトラックは、小雪舞う軽井沢駅のロータリーに着いた。

 

Another MEL(image芦田愛菜)

「ありがと、おじさんっ❤️」

 

サンタクロース(image小日向文世)

「メルちゃん、ボクはいま、サンタだから、サンタさんって、言ってね?(笑)」

 

メル「ごめんなさい。」

 

小井戸勇気(image小関裕太)

「さ、寒いっ!・・・は、早く暖を取りたいっ!」

 

トナカイ・オオタケ(image大竹一樹)

「うっせーな、ワケぇくせに。」

 

トナカイ・ミムラ(image三村マサカズ)

「まままま、オオタケさん、人間に噛み付いてもしょうがねーし。(笑)」

 

小井戸「あなたたちも、見た目は、人間に見えますけど?」

 

ミムラ「ほんと、こまけーな、コイツ。死んで当然かもな(笑)?」

 

オオタケ「でも、こっちが迷惑だわ!」

 

バインダーに着けていたリストを、見終わったサンタが、メルたちに声をかける。

 

サンタクロース

「いいかい。本来、時間は帰らないもの。

挫折にまみれ、一瞬を燃えるように、

生きる人も居れば、

 

変化を求めず、

たんたんと、日々を重ね、

一生を終える人もいる。

 

私は、何かを強いる事はしないが、

自分の判断(意思)で、

後悔しない、一生を送って欲しい。

ただ、それだけさ。」

 

ミムラ

「でちゃったよ、お言葉。」

 

オオタケ

「俺らには、そんなこと言ってくんねーし。」

 

再びエンジンキーを回すサンタクロース。

 

サンタクロース

「君らは、私の私財だから、特に言うことはない。(笑)」

 

ミムラ「私物かよっ!」

小井戸に、防寒着を渡すオオタケ。

オオタケ「あー、だりぃ~」

 

サンタクロースのトラックは、静かにその場を立ち去った。

 

小井戸「・・・・」

メル「どしたー?」

小井戸「いや、なんでも・・・・」

 

小井戸の手を握り、何処かへ行こうとするメル。

小井戸「どっ、どこ行くんだよ?」

メル「別荘。」

小井戸「お、俺、ロリコンじゃ、ないし。(・・;)(;^_^A」

メル「となりの国の風習じゃあるまいし、バカじゃん!(笑)・・・これから行くのは、あんたんちの別荘!」

 

ズンズン手を繋ぎながら、茂みを進むメル。

空から、粉雪が散り始めた。

小井戸「な、なんで、俺んちの別荘ナンだよ。(もう、人のものだろうけど・・・)」

メル「さぁ、着いたら、ちゃんと、相田よし子にコクりなさい!わかった?(さもなければ・・・・)」

 

うっそうな森林の中に、ひっそりと、たたずむ別荘は、高級感ある、二階建てログハウスだ。

小井戸「結構、車が停まってんなぁ。」

メル「クリスマスパーティーみたい。」

小井戸「高給取りで、いいご身分ですなぁ~」

 

背の高い、小井戸の突飛な大声に、飛び掛かるように、鼻と口を塞ぐメル

メル「うっさいっ!」

小井戸「(( ̄  ̄;)(い、息ができね。)」

 

別荘から、数人の女性が出てきた。

女子アナ③「ほんま、これでよし子が幸せになってくれたら、うちは、言うこと無しや(笑)」

首を傾げる、女子アナ仲間たち

 

女子アナ②「これって、不倫でしょ?」

女子アナ③「何ゅうてん?先輩、奥さんと別れるってゆうてたやん?」

 

女子アナ①「うちら、それ、初ネタですけど。」

 

女子アナ②「え?、うそ、よし子の憧れの先輩と、つき・・・」

 

全力で体で否定する女子アナ

女子アナ③「うそやんっ!うそ、うそぉっ!うちが、不倫なんかするわけないやん!バカクサ(笑;)」

 

買い出しでも行くのか、女子アナたちを乗せた、一台のワゴン車が、別荘を離れて行った。

 

小井戸「大したことないなぁ、まるで、所詮酒畜乱輪(犬猫)じゃね~か?・・・で、よし子さんは・・・・」

 

先輩アナウンサーが、酔いにまかせて、よし子に迫っている。

先輩アナウンサー「良いじゃないか?、相田君。」

スーツの上着を脱ぎ捨てながら、長テーブルの周りを逃げ惑うよし子を、ジリジリと、追い詰めてる。

 

小井戸「あーあ、こりゃ、スッポリだな?(笑)」

メル「さっさと、コクりなさいよ!小井戸勇気!」

小井戸の右足を、ギュッと踏むメルだったが、何故か痛みを感じないらしい。

メル「?!」

 

相田よし子

「あ、あの、ちょっと、困りますっ!」

 

先輩アナウンサー

「君、ほんとは、僕が目かけなければ、採用されなかったんだよ。」

 

よし子に、疑念がはいり、その場で動きが止まる。

    男は、ベリーロールのように、テーブルの上を滑り、よし子の両手を、手錠が掛かったような掴みかたをした。

 

先輩アナウンサー「俺の女になれよ。俺が潰されない限り、出世ができるぞ。」

よし子の瞳から、悔し涙が流れる。

よし子「・・・・」

 

男は、よし子の唇を奪ってしまった。

 

小井戸「あー、やっちまったなぁ~(笑)」

降り積もる雪の上で、時短打を踏むメル。

 

メル「ふざけんなっ!ばかちん!」

メルの両手の平が、柔らかくひかりのかけらとなり、空に昇ってゆく。

それはまるで、逆さ雪のように。

 

メル「う、うそだ・・・」

小井戸の両足も、静かに爪先から、消滅しだした。

小井戸「終った・・・。これでいい。これで。」

別荘の雨樋に、背を向け、天を仰ぐ小井戸。

メル「ちょっとまってぇ!」

その小井戸に走りよる、メル。

そして、その背後に、クラッシックカーが近づき、軽くクラクションを鳴らす。f:id:toorimagari20120708:20181227230355j:image

トナカイ・オオタケ「おー、小娘ぇ~(笑)」

トナカイ・ミムラ「あれ、手のひら、どうした?」

 

あっ!、て、気が付き、背後に手を回すメル。

 

すべてを知っていたのか、サンタクロースが私語く。

 

サンタクロース「さて、時間の旅に行きましょうか?(笑)」

ミムラとオオタケは、真っ白な、ずたぶくろを消滅仕掛けている、小井戸に被せ、押さえ付けている。

 

オオタケ「早くいっちめ~よ、間に合わねぇぞ、このままだと。」

 

ミムラ「おまえが帰ってくるまで、こいつ、抑えとっから!」

 

メル「わかった!」

 

サンタクロースが運転する、クラッシックカーは、別荘から離れ、山を離れた。

 

メル「おじさん、どこ行くの?」

サンタクロース「彼の、死の直前に行くよ。」

 

一年前の首都高。

軽井沢に向かう、小井戸の車が、煽り運転に巻き込まれ、その後の追突事故から、炎に包まれている。

 

煽り運転の加害者

「おっ・・・おめぇが、わりいんだからなっ!」

 

腰を抜かしながらも、向かいに来た車に飛び乗る男。

ワッと、炎が、クリスマスイブの夜空に立ち上る。

 

小井戸 勇気

「あっちぃ・・・腹から、血がドバドバ出てる・・・

 

焼き魚の焼かれる気持ちって、・・・・こんな感じかなぁ(笑)・・・」

 

遠くで、小井戸を呼ぶ声がする。

 

小井戸「だ、だれっ・・・」

メル「いっ、いま、助け出すからっ!」

 

車の後方に積んだ、もみの木に火が移る。

 

小井戸「む、無理だ。腹は・・・・血が出て、ひっ・・・左足は、挟まってる。」

 

煙に咳き込みながら、運転席のドアを引っ張ったり、後方席のドアを引っ張ったりして、小井戸を励ますメル。

 

メル「大丈夫!、私が、何とかするからっ!」

 

段々、意識が遠退く小井戸。

小井戸「もう、いい。・・・・ほっといてくれ。」

 

体が再び消滅を始めるメル

メル「だ、だめっ!・・・・。まだ消えないで....貴方が、・・・いま、あなたが死ねば、・・・・私は、生まれないのっ!・・・・・だから、・・・だからっ。生きろぉーっ!、パパぁ~っ!(泣)」

 

メルの襟首を掴んで、燃え盛る車から、引き離す、大柄の男。

 

角がない青鬼(imageくっきーfrom野性爆弾)

「おまえ、さがれ。」

メル「え。・・・・」

 

青鬼「この山、おれの庭。」

 

運転席のドアを、引き剥がす青鬼。

 

青鬼「おまえ、死ぬに至らず。」

 

力ずくで、燃え盛る車から、血まみれの、小井戸をひきずり出す青鬼。

 

意識を取り戻しかけた、小井戸の視線は、青鬼の足元で、フェードアウトするように途切れた。

 

そこから、半年を過ぎた、今年のクリスマス。軽井沢の別荘に華やかな、飾りと、色とりどりな、食事が並んでいる。

 

小井戸(相田)よし子

「また、ここで、クリスマスを家族と過ごせる何てねぇ~(笑)」

 

小井戸 勇気

「俺もまさか、親父から、別荘を譲ってくれるとは、思わなかったさぁ。」

 

写真立てを、丁寧に磨く少女。

 

小井戸

「おい、恵留。あんまり力入れると、割れちまうぞ(笑)」

 

恵留「じーちゃんは、私の恩人だから?」

 

小井戸「は?」

写真立てを見詰めると、サンタクロースと、あの冷徹だった、父(小日向文世二役)と重なって見えた。

 

小井戸「まさか、・・・・」

 

背広姿の父が、小井戸に頬笑む。

 

(終わり)