空想携帯小説家ht2355(20120708)'s blog

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エンジェル 君の歌は僕の歌 2020(scene1992東宝)

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一話 回り出す羽車。
 
(あれから、時はながれて、
どこかの町の工場の昼休み。
職人たちが、食堂の列に並び、食べたい惣菜を、
それぞれ取っていく。
 
そのなかにいる、
物語の主人公の青年は、
イヤフォン型のBluetoothを、
両耳に詰め込み、
 
同じように、惣菜を取りながら、列に続いていく。食堂のテレビには、相変わらず昼下がりの、ワイドショーが垂れ流れている。)
 
テレビの中の人気司会者。
「さ、つぎの記事からなんですけどねっ!」
 
(司会者は、突然、タンが絡んだような、咳を一回した瞬間、呼吸が出来なくなり、その場に崩れるように倒れた。)
 
テレビディレクター
「おいっ!、な、、なんなんだ!いきなり!」
 
(司会者の急病に、テレビカメラの回りを、右往左往するスタッフクルーや、他の出演者たち)
 
ディレクター「おい、なにやってんだ!、こ、コマーシャルだ!コマーシャルっ!」
 
(主人公の青年は、耳から入る音楽と、テレビのなかのパニックな光景に、身が固まり、思考が止まった。)
 
そうだ・・・。
 
たしか、昔・・・、
伯父に聞いたことがある。
 
東京(ここ)で、謎の突然死が多発したって事件。
 
でも、まさか・・・・な。
 
(工場の仕事を終え、帰路途中の、緩やかな坂道)
 
大川 淳「(たしか、ここら辺に、願いが叶う、アンティークショップがあるって、事だけど・・・・)」
 
(主人公の青年は、
静かに木目調のドアを開けると、
カランカランと、
ドアに括り付けた、
 
古びたカウベルの、
乾いた音がした。
 
その音に気がつき、
古びたレジ台の近くで、
浅く居眠りをしていた主人が、声をかける。)
 
アンティークショップの主人・
神係爽子(元天使)
「あら、いらっしゃい。」
 
(アンティークショップの主人は、淳に、満面の笑みで見詰めている。)
 
大川 淳「(あ、やべぇ。やっぱ、こー言うとこは、苦手だ。およそ、縁がねーし。)」
 
(淳は、主人の顔を見ると、うつ向いて何かを探す為に、棚から棚へと渡り歩き出す。)
 
神係爽子
「あら、彼女さんか、誰かに、贈り物かしら?(笑)」
 
大川 淳
「あ、はい。(綺麗な、おばあちゃんだな?。そこら辺のババァだったら、あんまりしつけぇと、とっくに、キレてんだけどな?)」
 
(淳の、心の声が聴こえたのか、可愛らしく吹き笑いをする、神係爽子)
 
大川 淳
「あのっ?ナニか?(な、なんだ?)」
 
神係爽子
「あ、いえ、・・・・もしよかったら、こんなのはどうかしら?」
 
(神係爽子は、
臼緑色のエプロンの、
前ポケットから、
小さな小箱を取り出し、
中を開けて見せた。
 
それは美しく、
磨かれたような、
白銀のペアリングが見える。)
 
大川 淳「はぁっ?!、(とーとつっ!)なんで、エンゲージリング!!・・・・
あ、あの。おばあちゃんとは、まだ、そーゆう関係じゃねーし、てか、いまさっきの、初対面ですよね⁉️(笑)」
 
(動揺を隠せない素直な淳に、可愛く意地悪そうに笑う、神係爽子)
 
神係爽子
「この指輪は、大切な人と、永遠結ばれる為に、約束を念じた物なの。」
 
大川 淳
「へぇ~、ただの指輪じゃ無いんだね?・・・・でも、高いんでしょ?おれ、工場勤めだから、ローン組めないよ。(笑)」
 
(神係爽子は、淳に見せた箱を、自分に向け、微笑しながら、ゆっくり首を横に振った。)
 
神係爽子
「もう、いくさきもない、私には、無縁の代物だから、お代は要らないわ。」
 
(店先に、突然激しく打ち立てる雨。それはまるで、神係爽子の発した言葉を掻き消していくようだった。)
 
大川 淳「あ、やべっ!替えの作業着、干しっぱだった!」
 
神係爽子「あ、だったら傘を・・・」
 
(振り向きもせず、店の外へ飛び出す淳。)
 
神係爽子「あの、ちょっと!傘!」
 
(坂道を、叫びながら、ずぶ濡れになり、走る淳。)
 
大川 淳
「あ、いいよ!工場の寮が、ちょちょっと走ればあるから!(笑)」
 
(誰かに語りかけるように呟く神係爽子。)
 
神係爽子
「あの人と、何となく似てる・・・かな?。面影が。」
 
(神係爽子の回想。店の中から、記憶を失ったまま再会する、若き男女を見詰めている。)
 
そう、
 

あの時の2人にも、

エルトンジョンがながれていた。

(続く)