空想携帯小説家作品集ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家の作品を公開しています。

④ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

第4話 難儀やなぁ


※東京・神田・古本屋街


天使と死にかけた男が、
平日の昼間に、
出版社を散策している。


さや姉
「なぁ、ほんまこっちでエエんか?」

死にかけた男
「あ、はい。」

さや姉
「せやかて、出版社ゆうても、この不景気で、どっこも開けっ広げで、作品を募集せぇへんとちゃう?・・・ある意味博打やで?あっちも。」

死にかけた男「・・・・・」

さや姉「また黙りかいっ❗」

死にかけた男「あれっすね。」

男が指差した先に、
築70年近い雑居ビルの二階に、怪しげな出版社が見える。

さや姉
「は?・・・
ここ、やばいんとちゃう?・・・

きぃつけへんと、

ぼられんで?(笑)」

今にも床が抜けそうな階段を昇ったら、

目の前に、木造の引き戸が見えた。

死にかけた男は、軽く深呼吸をする。

さや姉
「なぁ、おっさん?。

基本、
天使(うちら)が、
人間のやることに、

口出ししたらあかんねんけど・・・・

なんかおっさん、
ボッチにしとったら、

何ヘマするか解らんな。」

死にかけた男
「こんどこそっ、大丈夫です。」

さや姉
「ほんまか?(笑)・・・

ところで、

なんでそんなん文字書きに拘るん?」

死にかけた男
「私は中卒で、趣味も、取り柄も、何にも無いんですよ。」

さや姉
「うそやろ?(笑)・・・50年近く生きとったら、なんかエエことあったんちゃう?」

死にかけた男「実は、恋愛も中途半端で・・・・」

突然木製の引き戸が開く

出版社編集長(imageブルゾンちえみ)
「あら、なにか?」

さや姉は、
人間とは異なる、
異様な妖気を、
一瞬で感じとった。

さや姉
「(なんや、コイツ?・・・妙に重たい視線やないか?)・・・」

テンパる死にかけた男。

死にかけた男
「あっ、あっ、あっ・・・・」

吹き出す編集長。

出版社編集長「ふふっ。何かようでしたら、どうぞ・・・とっておきの、アールグレイを入れましょう。(笑)」

怪しむ目線のさや姉。

編集長「そちらの、関西弁の彼女さんも・・・、よかったらどうぞ(笑)」

さや姉
「あ、はい。(コイツ、うちの姿、ガチで見えとる。・・・難儀やなぁ。)」

古びた部屋に案内される、死にかけた男と天使。

編集長「ごめんなさいね?・・・昔は職員が、20名ぐらい居たの・・・」

さや姉「カビクサッ‼・・・(・・・ぐらいって、どうゆう意味や?・・・)」


身長の高い男二人が、
紅茶とモンブランを二人分持ってきた。

さや姉「あ、どーも。(コイツら・・・人間や無いかも知れん。)」

猜疑心で3人をみる、さや姉。

死にかけた男
「どーしちゃったんですか?、さっきっから、なんか・・・顎がしゃくれてますけど(笑)・・・」

さや姉「うちは般若かっ?!」

死にかけた男「いやいやそれほど、高価なものでは(笑)」

さや姉「うぉいっ!(笑)」

死にかけた男と、天使のやり取りに微笑む編集長。

編集長「ふたりは、恋人かしら?(笑)」

さや姉「はぁっ?何でや!・・・・なんで、こんなんおっさんの彼女やなんて・・・、パトロンでもイヤや❗」


編集長「ふふっ・・・おかしな二人ね?(笑)・・・・じゃあ、出逢った切っ掛けは、なに?」


死にかけた男「私が、すべてに失望して、電車に飛び込もうとした所を、彼女に助けて貰ったんです。」


遠巻きで、さや姉を警戒する背の高い男たち。


編集長「じゃあ、あなたたちは、お互いの名前を聞かないで居たの?(笑)」

さや姉「そうゆえば?」

死にかけた男「してませんね?」

(つづく)

③ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

#この作品はフィクションです。

第3話

いてこますぞっ!

翌朝、キッチンの椅子に座り込んだまま、とうとう、一睡も出来なかったさや姉。


さや姉(image山本彩fromNMB48)「はぁぁ・・・(うっわ~、天使がオールしてもうた。・・・てゆうか、ふぅちゃん、大丈夫やったろうか?)」

あくびをしながら、
こっそり、
隣の部屋を覗くと、

死にかけた男が、
大イビキをかいて寝ている。

さや姉
「(( ̄_|くっそォー、それにしても、なんやねん!このオッサン!・・・・掴み所がないっちゅうか?、腹割らへんっちゅうか?」

モゾモゾと寝返りをうつ男。

死にかけた男「お母さん・・・」

さや姉「(うっわっ!、なにっ?寝言ぉっ?・・・・どーみても、このオッサン四十越えてんでぇ(笑))・・・」

ふと、目線を上げると、死にかけた男の母親の遺影があった。

さや姉「なんかぶっ細工やなぁ?(笑)」

とは言いつつも、素直に手を合わした さや姉。

さや姉「さてと、オッサンの死にたい病の、原因がわかった所で、おいとまするか?。」

さや姉の腰を、むんずと掴む、死にかけた男の右手。

びびるさや姉。

さや姉「うぅわっ!なんや、起きてたんかいっ!」

死にかけた男「私の悩み・・・まだ終わってませんよ!」

さや姉「んな、知らんがな。」

死にかけた男「あなたが何者かは知りませんけど・・・私の悩み、終わってませんよ。」

さや姉「知らんがな。仕事行けや!」

死にかけた男「仕事に行くくらいなら・・・・死にます。」

頭を抱えるさや姉。

さや姉「あー、ちょっとまてぇいっ!(;-ω-)ノ・・・・オッサン、一体何がしたいねん!(怒)」

死にかけた男「・・・」

さや姉「なんや、答えんのかーいっ!」

死にかけた男「さぁ、乗り掛かったバス・・・」

さや姉「とーとつなボケやけど、船やろ?・・・・てゆうか、オッサン!いいかげんにせぇよっ❗いてこますぞ❗」

若い天使にどやされる、男。



死にかけた男「実は、私には、叶えたい夢が出来たんです。」

さや姉「ほぉ。ええやない?・・・なんや?(笑)」

死にかけた男「小説家です。」

さや姉に、自分のガラホを渡す男。

※10分後・・・・

さや姉「ん~っ、なんやろなぁ・・・・」

手渡した自らの携帯を覗きこむ男。

死にかけた男
「な、何がですっ?・・・」

さや姉「顔チカッ❗・・・セクハラかっ❗

・・・・ん~っ、確かにおもろいよ、単純なよみもの・・・・としてやったら・・・」

天使に土下座する男。

死にかけた男
「おっ、教えてください!、どうやったら、小説家になれますか?」

さや姉「知らんがな、又吉先生に聞けや。」

死にかけた男
「そんなぁ!、ちょっと貴女❗無責任過ぎますよ❗」

さや姉「はぁ?!・・・・無責任は、どっちや?・・・悪いのは、朝の通勤時間帯に、飛び込もうとした、おっさんがあかんとちゃうんか?」

死にかけた男「・・・・」

さや姉「また、だんまりかーいっ❗(笑)」

淀んだ空気を掻ききるような、口調になる さや姉。

さや姉「はぁ。(笑)・・・こんなんやっても、らちあかんなぁ?・・・」

死にかけた男「そうです・・・ねぇ・・・・」

さや姉「なんか、ツテ?・・・・あるんか?・・・」

死にかけた男「・・・・ツテってなんですか?」

あっけらかんな表情のさや姉。

さや姉「どっか、応募したりとか、しとんのかって、話や?・・・・自費出版?・・・無理か?(笑)(しゃあない、目星をつけておさらばするか?)」

天使と、死にかけた男が一つの夢を叶えるために動き出した。

(つづく)

②ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

第2話 なんでやねん

おさらい
天上界と言う、人間の見えない世界にも、人材不足からの終焉に迎えつつあった。

そのなか、関西から対策会議に参加した天使、さや姉と、ふぅちゃんだったが・・・

※地上、渋谷駅近辺

渋谷駅から、へこへこ天使に付きまとう中年男

死にかけた男「お願いしますよぉ~。」

ただでさえ、あまりにも粘着質な男の追尾の上に、人ごみのなかで飛び立つ事を禁じられてるため、人目と男を避けるように、はや歩きするさや姉。

さや姉「あ゛ぁっ!?・・・めちゃ、くっどいわー、このオッサン!(ま、まぁ、とはゆーてみたけど、オッサンの猿芝居で、警察に通報されへんかったから、・・・ちぃとは話聞いたるか?)・・・・」

公園のベンチに腰掛けるさや姉。

スボンの前ポケットを、もぞつかせながら、男は自販機の商品枠を、覗き込んでいる。

さや姉「おっちゃん?・・・さっきっから、なにしてん?」

さや姉のきつい問い掛けに、どぎまぎする男。

死にかけた男「あ、あのう・・・な、なに飲みます?」

軽く呆れたようなため息を1つ着くさや姉。

さや姉「ん~、じゃあ、コーラでええわ。」

男は小銭を投入して、ボタンを押すが、品物が出てこない。

男「あれっ?・・・あれ、(゜∀。)あれっ?」

舌打ちする天使

さや姉「たくぅ・・・(おっちゃん、)鈍腐っ!」

自販機を背にした男に、ぐいぐい近づく さや姉。

男「あ、あのっ、おか・・・お金は入れたんですけど・・・ど、(((((゜゜;)どうしよう?」

壁ドンならぬ自販機ドンする、さや姉。

死にかけた男「うわっ!」

ペットポトルのコーラが、つぎつぎ取り出し口に、落ちてくる。

年甲斐もなくテンパる男。

死にかけた男「あ、あのっ、こっ、今度は、とまんないんですけどぉ~」

さや姉「ほっとけや!(笑)」

関西弁の天使は、発言とは裏腹に、少し微笑んでいるように見える。

死にかけた男「わ、笑い事じゃないと、思うんですけど・・・」

さや姉と、死にかけた男は、場所を移して、改めて話をする。

さや姉「で、なんで死のうとしたんや?・・・他人の人生を変えようとしてまで?」

死にかけた男「はい。・・・」

うつむく男に、優しく語りかけるさや姉。

さや姉「はい。・・・や、あらへんやろ?。ここで会ったのも、何かの縁や。・・・話してみ。」

死にかけた男「わたし、将来に夢や、期待が持てないんです。」

唖然とする天使

さや姉「ぽっからかーん(○◇○;)・・・(は?、まぢか・・・まぢなんか?、このかるーい脳みそは、w)」

天使のあんぐり顔に、言葉を選ぶ男。

死にかけた男
「わたし、あなた方を否定する新興宗教をやってたんですよ。」

さや姉「(やってた?・・・)えっ、ええがな、何かを信じる事は、ええこっちゃ。(笑)」

真顔になる男

死にかけた男「あの・・・本気ですか?」

さや姉「え?」

死にかけた男「宗教の教えって言いますのは、高低浅深に別れていまして、それで尚且つ・・・」

引き笑いの天使。

さや姉「おっちゃん・・・(話)長くなるん?」

死にかけた男「あ、長すぎました?」

さや姉「あ、( ̄▽ ̄;)あん。・・・うちは別にかまへんのやけど、うちののーみそが、追い付いてけーへん。(笑)」

死にかけた男「あ、すみません。」

さや姉「あ、こちらこそ。」

向かい合わせにお辞儀して、思い出し笑いする二人。

さや姉「なんやさっきから、「あ」・・・ばっか つけとんなぁ?(笑)」

死にかけた男「あっ?、そうでしたっけ?(笑)」

さや姉「鈍感かっ?!(笑)」

※一方、天上界では、会議が続いていた。

さや姉の様子を、タブレット端末で見ながら、馴れない会議に参加してる、関西天使ふぅちゃん。

ふぅちゃん(image矢倉楓子fromNMB48)「ねー、さや姉。・・・まだ帰らへんのぉ?・・・うちには(議題が)難しすぎて難しすぎて、もう難波に帰りたい~。」

太めの幹部天使(image六角精児)「えー、つづきまして、東北支部から、クラウディアさん、意見をお願いします。」

天使クラウディア(image守屋茜from欅坂46)「私は、上級天使の端くれとして、皆さんにいいたいっ!・・・・」

何処の世界の会議も一緒。

社蓄のような人や、其っぽく振る舞う人、そして・・・

ふぅちゃん「あーん、帰りたい~。」

裁判ゲームのように、ふぅちゃんに指差すクラウディア。

クラウディア「そこっ!なんで、へにゃってんのよ!」


指を指され、想わずガバッと起き上がるふぅちゃん。

ふぅちゃん「え、うち?」

クラウディア
「あなた以外、だれがいるんですかっ?」

ふぅちゃん「あ、はい。?(さや姉ぇ~、助けてぇ~)」

※深夜、死にかけた男のアパート

さや姉「まぁまぁな広さやね。」

死にかけた男「今日、泊まってくれるんですよね?」

両手で胸を隠し、絶叫するさや姉。

さや姉「なんでやねんっ!うちら初対面やでっ!(なんか雰囲気でついてきてしもうた。)」

(つづく)

①ここにも、天使は居る。#image原案:NMB48

第1話 どないすんねん⁉

渋谷駅。よれよれのスーツを着た中年男性が、ぼおっと、山手線の進入方向を見ている。

一方、神と天使長(センター)無き天上界に、関西支部の天使が、今後の、運営対策会議に来ていた。

さや姉(image山本彩fromNMB48)「はぁーっ?、何が一体、どないなってんねん?・・・メルが天使長(センター)やらへんのやら、
どないすんねん?これから・・・
てゆうかメルは、今どこおんねん?」

関西天使・ふぅちゃん(image矢倉楓子 fromNMB48)「さや姉、さっきから、なにイラついてん?」

さや姉「は?、別にイラついてないよ。」

ふうちゃん「うーそやっ!(笑)。

みるきーさんや、
他の子が、
人間になってから、
さや姉の、イラつきが半端ないやん。

・・・まさか、更年期⁉(笑)」

さや姉「ほっとけ。だれが、こー年期やねん!(笑)」

#地上監視部

後輩天使たちが、さや姉達の姿を見つけ、頭を下げて行く。

さや姉「ちぃーすっ!、ちーすっ!・・・あ、おつかれぇーっ!(笑)」

ちょっと小太りの天使に、質問するふぅちゃん。

ふぅちゃん「あのっ、ちょっと聞きたいんやけど、最近の東京の天使って、もう双眼鏡つかってへんの?」

天使(image六角精児)「あ、はいっ・・・、関東本部では、テレビモニターを、数年前から設置するようになりまして・・・・」

呆れ顔のさや姉。

さや姉「なぁんや、おおちゃくになったもんやなぁ~(笑)(これだから東京もんは・・・)・・・あ?・・・あ゛ぁっ⁉」

なにかを見つけ、
突然声をあげ、うごかなくなるさや姉。

ふうちゃん「へ?・・・どないしたん⁉」

さや姉「ちょっと、地上(した)行ってくるわ‼」

ふうちゃん「えっ⁉・・・ちょっとまってぇっ!・・・なんでなん?いきなし‼」

#渋谷駅

中年男性「もう、いいや・・・」

目を閉じ、進入してくる山手線のタイミングを見て、身を投げる男。

さや姉「くぅおらぁっ!」

飛び込もうとする、男のYシャツの、襟後ろをむんずと掴み
一気にホームに引っ張るさや姉。

男は尻餅をつき、後頭部を打つ

中年男性「痛ッ!頼むっ、死なせてくれっ!」

腕を組み、ドS構えするさや姉。

さや姉「は?、別におっさん死ぬのは、ジャストなうで、かまへんけどなっ!」

さや姉が指を鳴らすと、背後に多面体モニターが現れて・・・

さや姉「あんたが勝手に死んだら、こんなに他人(ひとさま)に迷惑掛けんねん。解るかぁ?」

面接に遅れたために、採用を断られた青年。

仲直りデートに遅れた為にフラれた女性。

危篤に近い母親の見舞いに行くはずだった夫人が、間に合わず、その場ですすり泣き出す。

男性「わ、私には関係ないっ!」

さや姉は呆れながらも、男に相槌をうつ。

さや姉「うんうん、おっちゃんも、転職ばっかしてんねんやろ?(笑)・・・上司も、似たよなアホばーかっで、しんどかってんやろ?(笑)」

自殺しかけた男
「な、なんで解るんですか?」

駅員が二人に近付く。

駅員A「お客様!お怪我は有りませんか?」

駅員B「けっ!・・・警察呼びましょうか?・・・ち、痴漢・・・されたたんですよねっ!(笑)」

さや姉「うちが、男の人、痴漢するとおもん?(`´) 」Donaiyanen!

駅員B「は、はい。昨今は、性癖が多様化して・・・ますからぁ(笑)」

死にかけた男より、さや姉をなめ回すように見る、駅員に違和感を出すさや姉。

さや姉「うーわっ!、なんか、そっちのおっさん、キモっ!。」cothi minnaya!

取り残される死にかけた男。

死にかけた男「あ、あの・・・私の件は?」

さや姉が、男の問い掛けに答えようとしたその時、ティアドロップ型の携帯が鳴る。

さや姉📲「はい。どないしたん?」

ふぅちゃん📲
「もー、さや姉ぇ・・・会議始まるってぇ~。早よぉ戻ってぇ。」

さや姉📲「ん。わかった。今もどるぅ。」

突然、さや姉の左足にすがり付く、死にかけた男。

さや姉「えっ?・・・えっ?、なになに?」

死にかけた男「ちょっと待って下さいよぉ~。」

さや姉「は?・・・うち、これから会議やから。」

死にかけた男「そんなこと言わないで、私の話を、聞いてくださいっ!」

ふぅちゃん📲「もしもし、さや姉?きいてる?」

さや姉、想わず頭抱えて絶叫

さや姉「もーっ、どないすんねんっ!」

(つづく)

(後編)angel song

前編のおさらい。
(この作品は、妄想フィクションです。)

クリスマスイブの朝、突然添い寝している、ラブラドールレトリバーに驚く島崎遥香
 だが、このメス犬、突然言葉を喋りだし、自分が天使で、ノルマを達成できないせいで、犬のなかに封じ込められたと言う。
 更に厄介な事に、島崎遥香の彼氏の命を、天使として復活するために寄越せと言う。
 タイムリミットは、赤い月が出ると言う、クリスマスを告げる鐘が鳴るまでと言う、とっぴな話に困惑する島崎遥香だった。

(本文)
イブの朝、頭を抱えて、部屋の中をウロウロする島崎遥香

島崎遥香(元AKB 48)
「あーんっ、やっぱ話がみえなーい‼・・・なんで家にラブラドール?・・・なんで、なんで犬がしゃべるの?可笑しくない?そんで、彼の命をちょーだいって、どゆこと‼・・・イブの鐘ってどこよ?」

ラブラドールのマルは、だらけている。

島崎遥香「ちょっとーっ‼話聞いてるっ?⬆」

マル(image谷花音
「決まったぁ?・・・ぱるちゃんが決めてくれないと、私帰れないんですけど。」

島崎遥香
「あーのぉーさっ、

いきなりあんた、
自己中過ぎでしょっ?・・・

私のアイドル卒業と
彼の命を、

引き換えにさせるなんて、

天使のやることじゃないんじゃない?」

マル
「あれぇ、知らないんだ?(笑)」

島崎遥香
「な、なにっ?」

マル
「天使だって、死神と変わんないよ。」

島崎遥香
「え?・・・貴方たちは、人間を助けてくれないの?」

仰向きになり、ハッハッと呼吸するラブラドールレトリバーのマル。

マル
「ぱるちゃーん、天使は「天」(天上界)の、「使」いと書くの。つまり、うちらは、天上界の指示でしか、出来ないの。」

島崎遥香
「でも、彼の命を・・・って・・・」

マル
「ごめーん、事前調査してましたー(笑)」

島崎遥香は、ため息をつきながらも、話を続けた。

島崎遥香
「彼が死ぬ・・・それって、決定事項?」

マル
「うん。でも、ぱるちゃんの最終確認してからにしようと、考えてた。・・・そうすれば、ポイントも付くし・・・(笑)」

島崎遥香
「ポイント・・・・」

島崎の宅電が鳴る。

島崎遥香
「もしもし、えっ!」

通話を切り、自宅マンションを飛び出し、病院へ走る島崎遥香

後を、全力疾走で追う、マル。

マル
「ぱるちゃん、待ってぇ~💦」

すれ違う人々は、喋る犬に驚く。

通行人「いま、喋んなかった?」

島崎もマルも、息を切らせて、病院にたどり着くが、マルは犬ゆえに、施設内に入れない。

島崎が病室に入ると、真っ黒なスーツを着た、がたいの良い男が、島崎の彼氏の顔を覗きこんでいる。

死神(image吉田鋼太郎
「やぁ、来たんだ?・・・・」

島崎遥香
「何してるの?」

死神
「あれっ?・・・私の姿、見えちゃう?」

島崎遥香
「えぇっ、ガッツリと。」

度なし眼鏡を、ゆっくりはずし、ため息をつく死神。

島崎遥香
「見えたらなんだって言うの?・・・で、でてって!天使なんて信じないっ‼」

首を左右にコキコキやりながら、ゆっくり島崎を睨み付ける死神。

死神「天使が、居る?・・・だと?(笑)」

死神の瞳の黒点が、濃紺に変わり、両手が枯れ木の根っこの様に、島崎の首にまとわりつく。

島崎は声が出ないまま、そのまま立ち尽くす。

島崎遥香
「(や、やだ・・・死にたく・・・ないっ!)」

緊急処置室の外窓をブチ破って、飛び込むラブラドールレトリバー

マル
「このお兄ちゃんは、私のものっ‼」

島崎遥香
「え?そっちぃ?」

もみ合う大型犬と、黒スーツの男。

死神「死に優先順位は、ないっ!」

島崎遥香の手を離しあわてふためく死神。

マル
「ぱるちゃん、そこのお兄ちゃんのことをおねがいっ‼」

マルは死神の左足に必死に食い付き離さない。

死神「はっ、離せっ!くそぉっ‼」

粉々に割れた処置室の窓枠から逃げる死神。

マル「まーてーっ‼」

黒スーツを追うラブラドール。

島崎遥香「まって!マル‼」

窓枠から、外を眺めても、北風が落ち葉を舞い上げるだけだった。

やがて日が落ち、数時間たった頃、傷を追ったラブラドールのマルが、よれよれに成りながら、島崎の待つ病院にたどり着いた。

マルの頭を抱き抱える島崎遥香

島崎遥香「マル、おかえりぃ。」

複数の怪我を負いながらも、ヘラヘラと、経緯をかたるマル。

マル「あの死神さぁ、私の稼ぎを、いっつも横取りしてたから、・・・今度は噛んじゃうつも・・・り(笑)・・・」

意識が薄らぐマル。

島崎遥香「マル、もういい、もうしゃべんなくて良いからっ‼・・・ねっ‼」

マル「お兄ちゃんは・・・大丈夫だった?」

島崎遥香「うん。」

マル「よかったぁ~(笑)」

12月24日 23:00

島崎はマルに言われるがまま、ある雪山に登った。

島崎遥香
「マル?・・・まじここら辺なの?」

マル
「そぉだよ。・・・イブの朝、私とぱるちゃんが見た、夢の場所。」

マルを乗せた、プラスチックのそりを引く島崎遥香

たどり着いた洋館は、バラの鎖はなかったものの、ほぼ同じ佇まいを醸し出していた。

島崎遥香「ついたよ。マル。・・・え?・・・マル?・・・マルっ‼」

島崎はそりに横たわる、ラブラドールを揺さぶり起こすが、反応がない。

島崎遥香「体・・・冷たくなっちゃったね?・・・ごめんね?」

島崎は首に巻いていた、赤いロングマフラーを、蛇腹おりにして、横たわる、ラブラドールの上に乗せた。

そして、何処からかクリスマスを告げる、鐘の音が響く・・・・

島崎は、ゆっくり空を見上げると、赤い月が雲の隙間から見える。

島崎遥香の背後に、真っ白なロングコートを羽織った、老紳士が顕れた。

老紳士(image藤村俊二
「おや?・・・寒いなか、何かようですか?・・・ま、ここでは何ですから、お部屋のなかへ。」

島崎は無言のまま、軽く会釈して、マルをのせたそりと一緒に、屋敷のなかに入った。
 部屋の奥にある、石積み煉瓦の暖炉は、パチパチと燃え上がる。

老紳士「お嬢さん?・・・アッサムティーは好きですかぁ?」

老紳士はいそいそと、紅茶を入れる準備をしながら、島崎に話し掛けている。

島崎遥香「あ、私はカモミールも、結構好きです。(マルの事、話してみようかな?)」

そっと、テーブルの上に置かれたティーカップのなかに、とぽとぽと注がれる紅茶の色は、冴え渡る色を醸し出していた。

島崎遥香「あのっ、この犬・・・言葉しゃべってたんですけど・・・信じます?」

老紳士は含み笑いで、話を始めた。

老紳士「私、この犬の飼い主なんです。」

島崎遥香「やっぱり神様?」

老紳士は瞳を閉じ、静かに首を左右に振る。

老紳士「神は、辞めました。今じゃぁ、単なるじじいですけどねぇ(笑)・・・あ、そうそう、この子は、約束を守れなかったので、残念ながら、地獄に墜ちます。」

マルの体から、光のかけらがキラキラと舞い上がる。

何かを察したのか、横たわるマルに覆い被さり、声をかける島崎。

島崎遥香「ま、マルっ‼・・・ちょっと待って!・・・・でも、マルは、彼と私の命を護ってくれたんです‼」

もう仕分けなさげに、意を告げる老紳士

天使たちが、何かを唄いながら、覆い被さる島崎をどかして、犬の体から、天使を引き出す。

老紳士「でも、約束は約束なんですぅ。」

ついイライラが、顔に出てしまう島崎。

島崎「あのっ、約束約束っていうのは、そっちの勝手ですけどぉっ、私と・・・彼を助けた件は、マルの・・・マルの評価に繋がらないんですかっ‼?」

イブの鐘が鳴り終わった瞬間、あたりは一気に真っ暗になった。

12月25日 8:10

スマホのアラームが、しつこく音を鳴らす。

島崎遥香「夢?・・・だった?」

キッチンの方から、なにやら犬の鳴き声が聞こえる。

島崎遥香「え?・・・まさか・・・嘘でしょ?」

大型冷蔵庫を開いたまま、なかを引っ掻き回す。ラブラドールレトリバー

マル「あ、おはよー(笑)」

島崎遥香「なにしてんのよっ!(泣)」

ヘッドロックするように、マルに抱き付く島崎。

島崎遥香「おかえりっ。おかえりっ、マル‼」

マル「ぱるちゃーんっ?」

島崎遥香「なあに?」

マル「チーズ抜きのラザニア作ってぇ~(笑)」

島崎遥香「知るかっ‼こんな散らかしてっ‼(笑)」

angel song おわり。