空想携帯小説家ht2355(20120708)'s blog

空想携帯小説家(山本 繁一)の作品を公開しています。

(一話後編)TOKYO CROW ~最期の烏天狗~

※おさらい

集中治療室に、瓜二つの男がいる。

ひとりは、もうじき命を落とすと言う、

「良輔」

もうひとりは、自らを烏天狗と名乗る

「九郎」

九郎は、良輔の寿命と引き換えに、 

最後に逢いたい人に、心(メッセージ)を伝えることにした。

   まず、最初に、失恋後に好きになった女優、赤坂公子。子役からの経歴が長く、恋愛もののドラマや、映画に多数出演しているが、あるSNSの記事を見付けた良輔は、妻子ある芸人と不倫を匂わせる投稿に、愕然とした。

 

〈本編〉

成宮夫妻、赤坂公子、そして烏天狗の九郎。

成宮「け、警察に電話だ!」

宅電のコードレス受話器を持ち上げると、

九郎は、そこにも羽根を、ダーツのように投げ付けた。

 

九郎「警察を動かせば、マスコミが騒ぐって、いってんだろ?なぁ?。.....この臀部バカ女優の、未来を奪う気か?(笑)」

 

自分の置かれてる状況が、理解してないのか?、気まぐれな猫が、喉を鳴らすように、九郎に近く公子。

 

赤坂公子「ね、あなた、良輔さんよね?(笑)そうよね?(笑)」

 

あきれた眼差しの九郎。

 

烏天狗の九郎

「あんたは、そうやって、誰に対しても、胸や脚を、開くのか?(苦笑)」

 

公子「えっ。」

成宮の妻「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

成宮「あぁっ、だ、だめぇっ!」

公子が、気を抜いた瞬間、凶行を制止している成宮を、左に押し倒し、

成宮の妻は、持っていた包丁の刃先を、上部に向け、そのまま背中の腰部分へ、抉る様に突き刺した。

苦痛に歪む公子に、追い討ちをかけるように、窓辺に立つ九郎に押し付けるように、体当たりをする成宮の妻。

 

成宮「や、止めてくれ!2人とも、ベランダから、おっこっちまうっ!」

 

成宮の妻「生きてるうちに、生きてるうちに、心中にみせかけてやるぅっ!」

 

九郎は、赤坂公子の瞳の奥に、何かを見てしまう。

 

烏天狗の九郎

「...........」

 

赤坂公子の幼少期、ステージママに連れられ、劇団養成所の日々

やっともらった、仕事が上手くできず、罰として、押し入れに入れられたり。

ドラマの仕事を貰っても、授業を中抜けしたり、同年代の友達と遊べなかったり

中学生になり、恋愛ドラマの主役を得るも、本気で相手役の男の子に恋するが、母親に寝とられ、怒りを出せず、傷心のヨーロッパ旅行。

 

九郎「そうか、ここで歪んだか.....」

ガラス戸を破り、ベランダから落ちる、九郎と、公子。その腰には、刃先が上向いたまま突き刺さった包丁が、月の光に怪しく照らされている。

 

成宮の妻「や、やった!.....やった!......泥棒猫を狩ってやったわ!」

 

振り向く瞬間、成宮の右手が、成宮の妻の左頬にあたる。

成宮の妻「何すんのよ!」

成宮「彼女は....公子は、コンビがぐだぐたになった俺に、レコードデビューさしてくれたんだよっ!」

 

妻「は?、あんたは、芸人でしょ?(怒)」

成宮「彼女は......」

 

成宮の後ろには、死んだはずの九郎がいる。

 

九郎「他人との繋がりかたが、片寄りすぎた。いや、上手く出来ないまま、大人に成ってしまった。」

 

驚く成宮の妻。

 

成宮妻「はぁっ?!、な、なんで?!こ、ここは三階?!」

 

九郎は、成宮の寝室を開けると、シングルベッドに横たわる、純白のウエディングドレスをつけた、赤坂公子の遺体が見えた。その顔は、寝顔と変わらない健やかな死相だった。

 

九郎

「公子の最後の居場所を、あんたらが作ってやれ。」

 

成宮の妻

「ふ、ふざけないで!。なんで、泥棒猫の後始末をしなきゃいけないのよぉ!」

成宮「そ、そうだ!公子が言った、良輔?そいつと、連絡つかないのかい?」

 

九郎は、人間の底意地の悪さに、ため息をついた。

 

九郎

「あんたらは、俺の話を、はなっから聴いてないな。」

 

顔の大半が、カラスに戻っている。

その異様な形相に、パニックを起こす成宮。

 

成宮「だ、だって、良輔と、君が瓜二つなら、君が、君が......」

 

九郎「俺は烏天狗。バケモンなんだよ!」

ドアを叩く、警官達。

動揺が収まらない成宮夫妻。

 

九郎「いいか?、人間が、唯一正しいなら、てめぇの不始末(ケツ)は、てめえで拭け。」

 

ドアを壊して雪崩れ込む、警官達。四方八方銃口を向けたが、烏天狗の九郎の姿は、消えていた。

 

烏森神社の上空。良輔の魂と九郎が向かい合っている。

 

九郎「お前の想い。赤坂公子に伝わるか否か、俺には、保証ができない。......済まなかった。」

 

足元から、段々と消滅を始める、良輔の魂。

それを悟ったか、若干早口になる良輔。

 

良輔「貴方と知り合えて良かった。思いは通じなかったけど、はなっから、届かないって、解ってた。」

 

九郎「良輔。」

良輔「最後に僕の顔、使って。」

 

完全消滅した良輔の魂。

 

(一話終了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(一話前編)TOKYO CROW ~最期の烏天狗~

scene 2020

今年も、年が代わり、

すべてが、変わったようで、

相変わらず変わらない

 

人間の醜さ。

 

自己の幸福(欲求)を満たすため、

他者に対する

嫉妬、怨みを重ね、

 

他人の幸福に依存して、破壊し尽くすまで、気持ちを仕向け

 

共感を獲るために、

自己正当を主張しつづける。

 

そんな、美しく、

悲しい人間(ピエロ)の実像を、

 

今日も、なにも知らない、

外面から、善悪を決めつける人々を、

だまくらかしている。

 

ほんとに

人間は、外見がすべてか?

人間は、嘘をつく

人間は、見栄を張る

 

お前たちの栄華は、

生きているうちだけなのに、

 

生と言う砂城の中に、

永遠の宝珠は無いのに、

 

その刹那主義が災いをよぶのか?

自分の名誉や、

立場を護るための、

正当防衛を気取るが、

 

所詮は、臆病者(へたれ)の言い訳でしかない。

 

(回想)

集中治療室に横たわる、酸素マスクを着けた男。(image井浦新)

 

その男を覗き込む、

瓜二つの黒づくめの男。(井浦新/2役)

 

黒づくめの男(image井浦新)

「なぁ、これで良かったのか?」

 

三本足のカラスが、失念していた男を呼び戻すように、頭を男に擦り付ける。

 

黒づくめの男。

「・・・・そうだったな、生きてるうちに、やること、やらなきゃな。」

独り言を呟き、針金ハンガーで出来た鳥の巣から、右目がスキャニングレンズになった、特殊ゴーグルを取り付け、

口許には、烏のくちばしのような、鋼鉄製の口あてを、

まるで、マスクをつけるように取り付けた。

 

imagesong TAKーZ「生きてるうちに feat.SHINGO★西成 & 般若」

 

男の体は、カラスに姿を変え、夜明けのビル街を、颯爽と飛び回る。

 

倉庫の屋根にとまったカラスは、

男の姿に戻ると、

目の前に、何かの撮影をしている集団を見付けた。

 

黒づくめの男。

「あの女・・・・」

 

笑顔をふりまく女性の回りに、黄色い歓声を上げる集団から、持ちきれないほどのプレゼントをもらい受け、大型のワゴン車に乗り込んだ。

 

笑顔を振り撒いていた女性は、車のサイドドアを閉めた途端、不適な笑みを浮かべる。

 

「ふっ、・・・・馬鹿な連中。(笑)」

 

車の運転席に座る、背広の男は、女優に振り向きもせず、独り言のように喋りだした。

 

女優のマネージャー

「なぁ公子。また、あの芸人の所に行くのか?」

さっきまで、子供のような笑顔を振り撒いていた女性が、手鏡をみた瞬間・・・

 

公子「・・・(私は、・・だれ?)は?、あたしが誰に会おうと、あたしの勝手。」

 

マネージャー「あのさぁ、今は、落ちこぼれたコンビ芸人でも、彼には妻子がいる。」

 

周囲の安全確認をして、黄色い悲鳴の中、車を発進させるマネージャー。

 

公子「は?あんな、なんちゃって日本人?、良く妻に出来たよねぇ~。ヤり婚だったのかな?(笑)」

 

マネージャー「おい!」

公子「彼の仕事部屋に行って。」

 

公子と、マネージャーのワゴン車の上で、話を聞き取る、黒ずくめの男。

 

黒ずくめの男

「相変わらずか?この女。想いをさんざん無視して、男漁りか?」

 

公子のたどり着いたマンションは、世田谷の静寂を醸し出す、一等地にあった。

運転席から、マネージャーが野球帽を深く被り、大きめの布マスクで口元を隠した、公子を呼び止めた。

 

マネージャー「週刊紙には、気を付けろよ。次のドラマが..?!」

 

ツカツカと歩み寄り、マネージャーの唇を奪う公子。

マネージャー「なっ、なんだよ!」

公子「それは、あんた次第。ふふっ。(笑)」

 

マンションの窓から、やり取りを観ていた成宮。(タバコでひと息吹かす。)

成宮「もう、潮時かな。」

 

ドアチャイムがなり、成宮がドアを開けると、満面の笑みを浮かべた公子がいた。

 

成宮「おう。」

公子「おっす!(笑)」

 

成宮は窓を閉め、カーテンを閉めると、漆黒のカラスが舞い降りた。

部屋の中では、成宮と、公子が下着姿で、隣に座りながら、ワインを呑んでいる。

 

公子「ねぇ、奥さんと別れてくれるよね?」

成宮の首に手を回し、キスをせがむ公子。

 

成宮「えっ。あ、あぁ。」

ちらっと、クローゼットに視線を飛ばしながらも、話の確信を話そうとする成宮。

そのクローゼットの中には、出刃包丁を持った成宮の妻が息を潜めている。

 

成宮の妻「殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。」

 

黒ずくめの男

「生きてるうちに、真実の愛にたどり着けるか.....」

 

成宮は、渋々公子と、深めのキスを、時間をかけ、ネットリとしめはじめたとき、クローゼットのドアを蹴り開ける、成宮の妻が現れた。

 

成宮の妻

「ぶっ殺してやる!」

公子の前で、全裸で土下座をする成宮。

 

成宮「ま、待ってくれ!、彼女とは、わ、別れる!」

 

包丁を、縦横無尽に振り回す、成宮の妻。

下着姿で逃げ回る公子。

公子の前に立ち、妻の攻撃を交わす成宮。

 

成宮の妻「うるせぇ!泥棒猫と一緒に、いま始末してやる!」

 

いつの間にか、部屋にいる、黒ずくめの男は、だまって修羅場を見学している。

黒ずくめの男は、心で、意識不明の、病室の男に語りかける。

 

黒ずくめの男

「本来は、ここで、野垂れ死ぬはずの、この女。今から助けて、お前の気持ちを伝えてもいいが....どうする?」

 

病室の男

「寿命をあげるから、話をさせてほしい。」

 

突然カラスの騒ぎ声をあげ、姿を顕す黒ずくめの男。

 

公子「良輔さん?」

甲高の、黒ずくめの男に驚く成宮夫妻。

 

黒ずくめの男

「俺は九郎。烏天狗だ。」

成宮の妻が、スマホを取り出した瞬間、スマホを目掛けて、羽根を投げつけ、通報を阻止した。

 

成宮「か、烏天狗....?!」

九郎「司法機関に連絡しても、無駄だ」

公子「良輔さんに、そっくり。」

 

.....つづく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェル 君の歌は僕の歌 2020(scene1992東宝)

三話 「    命の価値    」

(天使たちとの会話を思い出しながら、ゆりの行方を捜し、街を疾走する、大川淳)

 

淳「う、嘘だ。(ゆりが、死ぬわけない!・・・・死ぬわけない!)」

 

(大川淳の回想)

六路凜祢(むつみ りんね)

「入沢ゆり。あなた、大川淳が思いを寄せる女は・・・・」

 

死亡確定書を握り締め、動揺する淳に、諦めろと言いたげに、ビジネスバックから、懐中時計を取り出す凜祢。

 

凜祢「・・・・悪いけど、あんたの彼女。あと、2日で亡くなるわ。」

 

淳「う、嘘だ。ゆりが、なんで?」

凜祢「大分前から・・・・」

 

首を横にふり、凜祢の言葉を遮る、神係爽子。

 

淳「な、なんだよ。ばぁちゃん、あんたもガチで、天使だったのかよ!」

 

爽子「ごめんなさい。今は、・・・・元天使として、言葉を選べば、」

 

爽子は、懐から、白銀に輝くペアリングが入った小箱を、淳に差し出した。

 

淳「ばあちゃん。・・・・これ、」

 

爽子「貴方が、あの人の、甥っ子だと知ったから言うけど・・・・後悔しないように、今をしっかり生きて。」

 

(真昼の街中を疾走する淳は、かつて眠れぬ夜を、二人で過ごした牛丼屋や、コンビニ、野外のカフェを捜し回るが、ゆりの姿が見つからず、ヘトヘトのまま、その場を膝をつき、空を仰ぐと、無情にも、静かに雨が降りだした。)

 

(淳の回想)

白銀のペアリングを渡した爽子に、意見する凜祢。

 

凜祢「二度と人間に関わらないように、罰を与えたのに、いまだに干渉するなんて、とんでもない話ね。」

 

微笑する、爽子の体が輝きだし、指先から、光のかけらが、空に舞い上がる。

 

爽子「下の世界に、居すぎたせいかしら・・・命の儚さが、いとおしくてね、仕方ないの。」

 

手を握ろうとした、淳の目の前で消滅する神係爽子。

 

淳「ばあちゃん・・・・。」

 

呆れたように溜め息をつく、六路凜祢。

 

凜祢「もう、この世界も、私が悪知識を吹き込んだ、愚かな人間により、滅ぶことは、避けられない。」

 

大川淳

「何だよそれ。なんの権限があって、人間の命を弄ぶんだよ!」

 

淳を嘲笑う天使。

 

六路凜祢

「は?弄ぶ?・・・それが、人間(あんたら)の、命の価値だから。(笑)」

 

淳「命の・・・価値?」

 

六路凜祢

「驕り、偽り、見下し、怒り、他人を試みない愚か。 こんなことばかり続けて、戦火や大災害を降す度に、その場で反省や、後悔しても、月日が経って忘却する、こんな人間たちがのさばるなんて、ただただ、許せないの。(笑)」

 

大川淳「何だよそれ。」

 

(淳の回想が一旦終わると、入沢ゆりは、空港のゲート前で、腕時計を見ながら、執拗に、出発時間を確認している。  淳は、小雨に打たれながら、神係爽子から貰った、ペアリングを取り出して見つめている。)

 

淳「ばあちゃん。やっぱり、だめだわ、俺。」

 

(ブランドショップの店頭にある、天使のオブジェから、項垂れる淳を見詰める六路凜祢。)

凜祢

「フッ・・・情けない。もう少し硬骨な人間(やつ)だと思ったのに。」

 

(天を仰ぎ、ため息をついた淳が、叔父の、大川竜彦との回想する。)

 

竜彦のオーストラリア移住に伴い、淳を、鎌倉までのドライブに連れていったその日の帰り。

(夕暮れ空から、小雨が振りだす。)

 

淳(少年期)

「おじさーん、車置いて帰ろうよぉ~」

 

大川竜彦

「いや、ダメだ!」

 

「明日から、オーストラリアに行くのに、間に合わないよぉ?」

 

助手席から、ちょこんと顔をだし、竜彦に問いかける淳。

竜彦は、水色のビートルの、後部エンジン内の故障箇所を、まさぐるように修理している。

 

竜彦

「淳。おまえさぁ、クラスのなかで好きな子いるか?」

 

淳「なんでぇ?」

 

車の後部ボンネットを閉め、

ため息に近い、含み笑いをする、竜彦は、びしょ濡れのまま、運転席の窓から顔を出す。

淳は、自分のリックサックから、タオルを竜彦に渡す。

 

竜彦

「お前はまだ、小学生だから、まだわからないだろうけど。きっといつか、お前の大好きな、イチゴミルクのかき氷を越える、恋人(かのじょ)が出来るさ。その時に、いった意味がわかるさ。」

濡れた髪を、運転席で拭き終わると、エンジンをかけ、車を発車させる。

(回想を終え、何かを思い出す淳。)

大川 淳「おじさん。」

(一方、空港内で、突然吐血し、荒い呼吸のまま、横たわる、入沢ゆり。)

 

外国人老紳士「あんた、大丈夫かい?」(英語)

(頷く、ゆり。)

 

空港グランドスタッフ

「離れてください!感染症の恐れがあります!離れて‼️」

 

入沢ゆり「(ま、まいったなぁ・・・こんなとこ、アイツに見せらんない。)」

(遠くで、ゆりの名前を呼ぶ、男の声が聴こえる。)

 

ゆり「(う、嘘だよね。・・・あいつが、・・・淳が・・・・来るわけ・・・・)」

 

(ゆりの瞳のなかに、淳が映る。)

大川 淳「ゆり!・・・ゆりっ!」

(救急車🏥🚑️に乗せられるゆり。同車を願い出るが、防護服の救急隊員に拒絶される淳。・・・・都心の大学病院に担ぎ込まれるゆり。淳は、水色のワーゲンビートルで、一歩遅れて、後を追うが、ここでも感染リスクを考えてくれと、待合室で待つ事になる。)

 

六路凜祢「残念ね。」

 

(待合室の長ベンチで、背中合わせに座っていた、六路凜祢が、呟く。)

 

大川 淳「何しに来た?人殺し。」

鼻で笑う凜祢。

 

六路凜祢「ご無体ね。人間の寿命は、予め決められてる訳じゃないの。」

 

淳「あんた、さっきと言ってることが、矛盾してないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェル 君の歌は僕の歌 2020(scene1992東宝)

二話 翼のない天使

(明くる日、作業着姿の、大川淳が、学童施設を覗き込んでいる。外は晴天にも関わらず、室内でマスク越しで、子供たちに何かを教えている若い女性。淳の姿に気がつき、可愛く手を振る。)

 

大川 淳「あ、(やべっ!)」

 

(門外の淳を、手招きする女性に、遠慮がちながらも、門前から、庭先に入る淳。ガラス戸をガラッと開けて、マスク越しで、淳に語りかけるゆり。)

 

ゆり「おーい。どした?昼休みだろ?(笑)

 

(淳に語りかける、ゆりの口まねをする子供たち。)

 

淳「あ、あぁ。(コイツ、何時もながら、おないどしとは、想えない態度だな?w)」

 

(ゆりは、デニムの後ろポケットから、鎖つきの、ながざいふを取り出す。)

 

ゆり「金なら、貸すよ。・・・・お馴染みの、十一でね?(笑)」

 

(ざわつく子供たちに動揺しながらも、話を続ける淳)

 

大川淳「あ、ちがうんだ。今日は。」

 

ゆり「あら?残念(笑)。」

 

(ながざいふをしまう、ゆりの隙をつき、意を決し、何かを伝えようとする淳。)

 

淳「あの、ゆり。けっ。・・・・」

 

ゆり「ん?、んっ?(笑)・・・」

 

(ゆりは、淳の言葉に期待しながら、マスクをゆっくりはずす。)

 

淳「俺と、結婚してくださいっ!」

 

(その意味を、知ってか知らずか、学童施設の子供たちは、拍手するが。)

 

ゆり「ごめん。私、叶えたい夢が在るんだ。

 

淳「国連の海外派遣?。」

 

子供「えー、先生っ、やめちゃうのぉ~😱」

 

 (スポーツカーの運転席側の窓から、淳と、ゆりを見つめる、無表情の若い女性)

 

ゆり「ん~、まだやめないけど、何れ、おねぇさんは、海外で、困ってる人の手助けをしたいと思ってまーす!(笑)」

 

(ゆりを、呼び出し、学童施設の庭先で、小声で話し出す淳。)

 

淳「なぁ、聞いてねーよ、そんな話。(まさか本気か?)」

 

ゆり「ふふっ、言うかバーカ。(笑)」

 

淳「いまさぁ、世の中が、どうゆう状況か、解ってる?」

 

ゆり「ウイルス感染拡大による、全国的な、自粛自粛自粛自粛自粛。テレビを点ければ、死んだ人の数や、閉鎖を選ぶお店の話ばっかり!」

 

(宥める淳。)

 

淳「あ、あぁ。わかるけど。(やべ、火を着けたかな?)」

 

ゆり「淳。あんたはなんも、わかってない!・・・・あんたは、生活必需品の工場だから、収入は、ある程度保証されてるけど、

 

私は、

大学出て、漸く就職に漕ぎ着けたのに、内定先からの、

どさくさ紛れの自粛要請に託つけた、

事実上の内定取り消し喰らった、

私の気持ちなんか。」

 

淳「じゃ、じゃあ、学童施設(ここ)に来てるのは?・・・(俺の借金がらみじゃねーのか?)」

 

ゆり「お金を使わず、食費を浮かすためっ、かな?。でも、このままで居たくない。」

 

淳「それよりいまは、マジで海外渡航は、難しいぞ。本気なのか?」

 

ゆり「コネはあるよ。前の彼氏が、国連組織の関係者で、ボランティアを捜してるから?。」

 

淳「じゃ、何時?行くんだ?」

 

ゆり「言わない。あんたに未練たらたら、付きまとわれても、ウザいし(笑)。」

 

淳「おまえ、はなっから、元サヤ狙ってたのか?」

 

ゆり「は?、私の話聞いてた?

・・・もういい。」

 

(思考停止の様に、言葉を止める淳に対して、うつ向きながら背を向け、学童施設の中にもどるゆり。

一方、

スポーツカーの女は、

淳に気付かれないように、

車を発進させた。

そして暫く、途方にくれる大川淳。)

 

神係爽子(元天使)

「いらっしゃい。(笑)」

 

(神係爽子(元天使)の居るアンティークショップの、木目調のドアが開くが、爽子は、店内の観葉植物達に水やりや、手入れをしてるから、誰が入ってきたか見ていない。)

 

スポーツカーの女

「爽子。久しぶりね。・・・」

爽子

「え?・・・・凜祢(りんね)。?!」

 

六路凜祢(むつみ りんね)

「どお、?下の世界は?」

 

爽子

「いつ、終わり果てない日々を、過ごさしてもらってます。」

 

凜祢、爽子

「波風立てずに・・・・(笑)」

 

(言葉を合わせた爽子と凜祢は、まるで昔のクラスメイトの様に、暫し話を弾ませたが。)

 

爽子「私の、後任?」

凜祢「あの方から、世界を終収せよとの、指示を受けた。」

爽子「まって、それは私が人間に・・・」

(凜祢は、爽子の話を遮った。)

凜祢「誰か来た。」

 

大川淳「すんませーん。(よしっ!、やっぱ、指輪買うぞ!ケジメだ!ケジメだ!)」

 

爽子「あら、貴方は、こないだの?(笑)」

 

(何かを思いだし、爽子に話し出す淳。)

 

淳「あ、ばぁちゃん、表に真っ白なスカG停まってるけど、ここは、駐禁じゃね?」

 

(舌打ちして、慌てて店外にでようとする凜祢。)

 

凜祢「あ、すいません。(クソっ!人間の分際で!)」

 

(淳に体当たりしたとき、凜祢の少し大きめの、ビジネスバックが床に落ち、

 

その鞄から、キラキラと蛍のように舞い上がる、光のかけら達と、床に散らばる

履歴書らしきファイル。

 

爽子は、光のかけら達が、天井をすり抜けていくさまを、優しい視線で追い、

凜祢と淳は、散らばった履歴書らしき

書類を、拾い集めるが、)

 

大川 淳

「あ、あぁ、なんかすい・・・えっ?、死亡・・・・確定証書?!・・・こないだ亡くなった芸人、・・・・こっちは、近所のおばさんの名前!なんで?」

 

六路凜祢(むつみ りんね)

「人間のくせに、干渉しないで。」

 

大川淳

「は?、あんただって、人間だろうが!」

 

(秘密を知られたと、察した爽子は、そっと溜め息を付いた。)

 

神係爽子

「見掛けはね?」

「え?」

 

(夜、廃病院の屋上に、爽子、凜祢、淳がつどい、凜祢は、もう一度、鞄から死亡確定証書を取り出した。)

 

爽子「私たちは、人の生き死にを任された天使。」

 

(天使と言う概念が、既に固定されていた淳には、目の前の2人の女性が、疑いの産物に見えた。)

 

淳「嘘でしょ?、天使って、翼があって・・・・、」

 

(淳の心を先読みして、言葉を発する六路凜祢 )

 

凜祢「頭には、蛍光灯だか、白色灯の光の輪があって、何時でも優しく微笑む・・・・、ふっ、バカじゃないの?これだから人間は、信念がない、ご都合主義だって?言うの。」

 

(続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェル 君の歌は僕の歌 2020(scene1992東宝)

f:id:toorimagari20120708:20200410054031j:plain
 
一話 回り出す羽車。
 
(あれから、時はながれて、
どこかの町の工場の昼休み。
職人たちが、食堂の列に並び、食べたい惣菜を、
それぞれ取っていく。
 
そのなかにいる、
物語の主人公の青年は、
イヤフォン型のBluetoothを、
両耳に詰め込み、
 
同じように、惣菜を取りながら、列に続いていく。食堂のテレビには、相変わらず昼下がりの、ワイドショーが垂れ流れている。)
 
テレビの中の人気司会者。
「さ、つぎの記事からなんですけどねっ!」
 
(司会者は、突然、タンが絡んだような、咳を一回した瞬間、呼吸が出来なくなり、その場に崩れるように倒れた。)
 
テレビディレクター
「おいっ!、な、、なんなんだ!いきなり!」
 
(司会者の急病に、テレビカメラの回りを、右往左往するスタッフクルーや、他の出演者たち)
 
ディレクター「おい、なにやってんだ!、こ、コマーシャルだ!コマーシャルっ!」
 
(主人公の青年は、耳から入る音楽と、テレビのなかのパニックな光景に、身が固まり、思考が止まった。)
 
そうだ・・・。
 
たしか、昔・・・、
伯父に聞いたことがある。
 
東京(ここ)で、謎の突然死が多発したって事件。
 
でも、まさか・・・・な。
 
(工場の仕事を終え、帰路途中の、緩やかな坂道)
 
大川 淳「(たしか、ここら辺に、願いが叶う、アンティークショップがあるって、事だけど・・・・)」
 
(主人公の青年は、
静かに木目調のドアを開けると、
カランカランと、
ドアに括り付けた、
 
古びたカウベルの、
乾いた音がした。
 
その音に気がつき、
古びたレジ台の近くで、
浅く居眠りをしていた主人が、声をかける。)
 
アンティークショップの主人・
神係爽子(元天使)
「あら、いらっしゃい。」
 
(アンティークショップの主人は、淳に、満面の笑みで見詰めている。)
 
大川 淳「(あ、やべぇ。やっぱ、こー言うとこは、苦手だ。およそ、縁がねーし。)」
 
(淳は、主人の顔を見ると、うつ向いて何かを探す為に、棚から棚へと渡り歩き出す。)
 
神係爽子
「あら、彼女さんか、誰かに、贈り物かしら?(笑)」
 
大川 淳
「あ、はい。(綺麗な、おばあちゃんだな?。そこら辺のババァだったら、あんまりしつけぇと、とっくに、キレてんだけどな?)」
 
(淳の、心の声が聴こえたのか、可愛らしく吹き笑いをする、神係爽子)
 
大川 淳
「あのっ?ナニか?(な、なんだ?)」
 
神係爽子
「あ、いえ、・・・・もしよかったら、こんなのはどうかしら?」
 
(神係爽子は、
臼緑色のエプロンの、
前ポケットから、
小さな小箱を取り出し、
中を開けて見せた。
 
それは美しく、
磨かれたような、
白銀のペアリングが見える。)
 
大川 淳「はぁっ?!、(とーとつっ!)なんで、エンゲージリング!!・・・・
あ、あの。おばあちゃんとは、まだ、そーゆう関係じゃねーし、てか、いまさっきの、初対面ですよね⁉️(笑)」
 
(動揺を隠せない素直な淳に、可愛く意地悪そうに笑う、神係爽子)
 
神係爽子
「この指輪は、大切な人と、永遠結ばれる為に、約束を念じた物なの。」
 
大川 淳
「へぇ~、ただの指輪じゃ無いんだね?・・・・でも、高いんでしょ?おれ、工場勤めだから、ローン組めないよ。(笑)」
 
(神係爽子は、淳に見せた箱を、自分に向け、微笑しながら、ゆっくり首を横に振った。)
 
神係爽子
「もう、いくさきもない、私には、無縁の代物だから、お代は要らないわ。」
 
(店先に、突然激しく打ち立てる雨。それはまるで、神係爽子の発した言葉を掻き消していくようだった。)
 
大川 淳「あ、やべっ!替えの作業着、干しっぱだった!」
 
神係爽子「あ、だったら傘を・・・」
 
(振り向きもせず、店の外へ飛び出す淳。)
 
神係爽子「あの、ちょっと!傘!」
 
(坂道を、叫びながら、ずぶ濡れになり、走る淳。)
 
大川 淳
「あ、いいよ!工場の寮が、ちょちょっと走ればあるから!(笑)」
 
(誰かに語りかけるように呟く神係爽子。)
 
神係爽子
「あの人と、何となく似てる・・・かな?。面影が。」
 
(神係爽子の回想。店の中から、記憶を失ったまま再会する、若き男女を見詰めている。)
 
そう、
 

あの時の2人にも、

エルトンジョンがながれていた。

(続く)