少しずつワゴン車に火の手が上がりだした。
ノキセアは、
必死にワゴン車のサイドドアを引っ張るが、
実体化していない天使の力は、非力すぎた。
ノキセア(imageディーンフジオカ)「ま、まってくれ、今助けるから!」
メルはスマホで、何処かに連絡している。
ノキセア「天使長(センター)ッ‼・・・あなたは、目の前に苦しんでる人間を・・・見棄てるんですか?‼」
メル📲(image松井玲奈)「閻魔のおじさん‼」
上杉綾の意識が、朦朧しだす。
綾(image中嶋理乃)「ノキセア・・・だれと・・・話してるの?」
綾の背後に、滲んだ銀色の陽炎が、薄気味悪い女の笑い声を上げる。
鏡、その悪意。
「コノ女は、もうじき私と一体となるのよぉ~っ。(笑)」
ノキセアの背後で、閻魔大王に早口で要件を言うメル
メル📲「おじさん!おじさん!おじさん!、私の速効のお願いを、どーか聴いて欲しいのっ‼」
閻魔大王(image中井貴一)
📱「やぁメル、久方ぶりだのぉ。(笑)・・・地獄に堕ちた男に、子供を会わせた以来じゃな?」
メル📲「ごごごごめん、おじさんっ、そんなこまいことは、後にして欲しいんだけどっ‼」
綾の体から、鏡へ何かが吸い込まれて行く。
鏡、その悪意。
「ノキセア・・・羨ましいかい?・・・さぁ、愛しいものが、目の前で奪われて行く屈辱感を味わえ・・・苦しめ・・・怒り狂え~っ(笑)」
感情(いたみ)を抑える、
ノキセアの右手が、青白く光り出す。
メルがノキセアの背後で叫ぶ‼
メル📲「上杉綾の魂を、連れてかないでぇっ‼」
ノキセアが、メルの叫びに驚き、
振り返ったノキセアに飛び掛かり、
揉み合い、一瞬の隙をつき、左の首筋に噛みつく鏡。
鏡、その悪意。
「(薄気味悪い女の笑い声)コノ傷は、時が重なる程、お前を苦しめていくのょ。(笑)」
綾の姿を現じる、鏡。
ノキセア「返せ・・・・」
鏡、その悪意。
「はぁ?(笑)」
鏡は、綾の魂を吸いきったのか、満足げに深呼吸をしながら両手を広げる。
ノキセア「もう一度言う・・・・」
再びノキセアの右手が青白く光り出す。
ノキセア「綾の魂を・・・返えせぇぇぇぇぇぇっ‼」
ノキセアの突撃を、寸でで完全な上杉綾を現じて止めた鏡。
上杉綾(鏡)「ノキセア・・・」
ノキセア「違う・・・」
上杉綾(鏡)は、薬物中毒(トランス)状態のような笑顔を振り撒く。
上杉綾(鏡)
「愛してる・・・・」
ノキセア「違う‼」
トランス状態のまま、気持ち悪く体を左右にくねり出す綾(鏡)
ノキセア「お前は綾じゃないっ‼」
綾(鏡)「なら、死ねよ(笑)。」
鏡の後ろから、羽交い攻めするメル。
ノキセア「天使長(センター)!」
メル(image松井玲奈)
「ノキセア‼・・・あんた、この子が好きなんでしょ‼」
綾(鏡)「は、ハナセ!・・・」
ノキセア「・・・・でも、人間に恋したら、厳罰を・・・」
いつもはバカしか言わないメルが、本気の表情を表す。
メル「バッカじゃないのっ‼」
ジタバタ始める鏡。
ノキセア「え?」
メル「私、元人間だったから、あんたの気持ちは判るけど・・・
私は逃げない‼・・・
私だったら、絶対逃げない‼・・・
例え、
どんな未来が待っていても・・・・」
鏡、その悪意。
「ギャーハハハ。この女の魂は、我が身となった今、すべては無となるの‼(笑)」
ノキセア「そんな・・・」
メル「ハッタリだよ!ノキセア‼」
ノキセア「周りの時間が止まっている?・・・」
ワゴン車も大破する寸前のままだ。
そのなかに、横たわる上杉綾。
奇声を上げ、アメーバーのように姿を変えようとする鏡。
鏡、その悪意。
「た、魂を・・・・次の弱りきった、人間の魂を、吸わねば・・・」
メルは、羽交い締めする力を強めながら、上空に舞い上がる。
ノキセア「天使長(センター)っ‼・・・何をするんですか?」
ノキセアも、上空に舞い上がる。
鏡、その悪意。
「キモチワルイ存在。離せ!」
体を揺さぶったり、形を変えようとして、もがく鏡。
メルは、形を変える度に、羽交い攻めする手の位置を素早く変えている。
メル「ノキセア!・・・もう、時間がない‼・・・
心の弱った人間を、新たに取り込む前に、私ごと射ぬけ!」
ノキセアの右手から、青白い光の弓と矢が顕れる。
ノキセア「天使長(センター)。」
メル「私の彼はね、年上で優しかったんだけど・・・こんな輩に・・・まぁ、いいや(笑)。
メビウスの輪と言う世界が、何処かにあるなら、
また会えるって、解ってるから。
何度でも信じる‼
だからノキセア。
人間に恋するんなら、
天使として・・・その命を懸けなっ!(笑)」
メルの純粋な想いを、ゲラゲラアザけ嗤う、鏡。
鏡、その悪意。
「得たいの知れぬ存在が、セイギずらかぁ?(気持ち悪く嗤う)」
ノキセアは、光の矢を弓に沿わせ、構えた。
メル「うっせぇよ!・・・あんたの事は、事前に調べてんの(笑)
黒魔術に囚われた、鳥獣(ゲテモノ)の霊の塊だって事を・・・」
ノキセア「その鏡が、人間を使い、心の弱った人間を呼び寄せてた・・・」
躊躇いながらも、矢を引く力を強めるノキセア。
周りの時間がもうじき動き始めるのか、世界が再び色つきだす。
鏡、その悪意。「もう、時間を止める力は無くなるようね~っ(笑)」
再び、上杉綾の姿をとる鏡。
鏡、その悪意。「さぁ、今度こそ、あの女の魂を・・・・」
ノキセア「天使長!、後は私が倒します!・・・さぁ、手を離して!」
首を横に降るメル、
そして鏡は羽交い締めされたまま、
強引に地上に降りようとしている。
メル
「いい?、よく聴きな。
天使(うち)等は、
可愛い後輩の為に、
命懸けられんの・・・
世界が、
人間たちが、
心を歪めても、
得体の知れない者と、
アザけ笑われようと・・・」
ノキセア
「メルっ!・・・そいつから離れるんだ‼」
力尽きながらも、
鏡を羽交い締めしたまま、
自らの背を地上へ向けて墜ちるメル。
メル「絶対・・・逃げない!」
ノキセア
「我が光の矢よ、人間の心に取りつく、深き闇を解き放てーっ!・・・・・エスペランサーアローッ‼」
呪文のような言葉を発して、一本の光の矢を放つ、天使ノキセア。
メル「またね・・・ノキセア。」
刺さった一筋の矢の威力か?くの字に曲がる鏡と天使。
止まっていた、街が動き出した。
(つづく)